見出し画像

【10回連載小説】タケルとスミカ(6)

【大方の期待を裏切るように、スミカの5ターン目:やはり女子トークは盛り上がりがちなのか…】

ええーーー‼ミクも、タケルの事、気になってんのお?
私に間に入れって? それ、困る。絶対にイヤだから。何でって、訊かれても… イヤなもんは、イヤなんだよ。
 
ホント、タケルは、止めた方がいいよ。絶対に後悔するから。それはマジで私が保証する。
何でって?さっきも言ったけど、ホント、アイツ、いい加減だし、ルーズだし、あっ、それって一緒の事か?
カッコよくないって、マジで。近くにいてごらん、ダサいから。
背は高いよ。だけど、ちょっと、気持ち猫背だし。細いけど、細マッチョじゃないし。あっ、大体ねえ、アイツ、口、臭いんだよ、昔っから。歯医者が嫌いでねえ。なかなか、虫歯、治さないの。だから、いっつも、何か、口、臭い。何で、知ってんのって、言われても…そばにいたら分かるじゃん。電車でさあ、隣に座ってたりしたら、何となく、口臭いなあって。
 
ええ?マジでない。ホントない。アイツとキス?あり得ない。
 
だから、悪い事は言わないから、ミクちゃんもやめときな。もっといい子、絶対にいるから。
 
私?私はいいんだあ。だって、タケル、この学校に入れた身でしょう?
そうそう、私が、アイツを医学部に入れたんだよ。
だからさあ、最後まで面倒見ないと、アイツのお母さんに怒られちゃうんだよ。
 
ええーーー?まだ、信用してないのお?私は、アイツとは、そんな関係じゃないから。
 
百歩譲ってよお、私がアイツの事好きでも、アイツは、私の事、何でもないもん。
いつも、横にいるスミカ、それだけだよ。
 
イヤ、私、好きだとか、そんなんはないけど、でもやっぱりさあ、幼稚園の年少から、ずっと一緒だよお。
どうしても、他の男の子とは、違うじゃん。
思い入れ、しちゃうよねえ。
だから、それは好きとかじゃないから。
 
ね、分かって。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?