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大根一本 今日いくら?

10月には300円近かった(消費税込みで300円超えていた)大根が、11月の終わりには98円で売られていた。今日は「広告の品 95円」。時期によって価格が2倍にも3倍にもなる。

大根自体の価値は変わらないのに価格は変わる。

私は小売店で野菜を買う。
野菜が小売店に届くまでには農協、運送業者、市場などなど、それぞれに色々なところを通ってきている。誰かが収穫し、誰かが洗浄し、誰かが選別し、誰かが箱詰めし、誰かがトラックに積み、誰かが運転し、誰かがトラックから下ろし、誰かが袋詰めし、誰かが陳列し、誰かが販売する。
だけど私から直接見えるのは小売店だけ。

野菜ができるまでに多くの作業がある。土をつくったり種をまいたり管理したり。そこでは様々な機器や資材が使われている。耕運機だったり肥料だったりマルチシートだったり。そういったものの中には外国からきたものもある。化学肥料の原料は、ほとんど輸入だと聞く。それなら私がスーパーで買う野菜は外国にもつながりがあるかもしれない。私が理解できない言葉を話す人が私の買う野菜に施した肥料をつくったのかもしれない。

一本の大根にもたくさんの人や場所や物が連なっていて、それはお金で結びついている。

生産・流通側の人からすれば、商品はたくさん売れたほうがいいだろう。しかし消費者が出せる食費には限りがある。その中でどの食材にどれだけ配分するか考えなければならない。野菜の気の毒なところは「今日は大根高いから別のものにしよう」という選択が可能なこと。天候などですごく高値のときはどの野菜も高値、ということもあるけれど、それでも冷凍野菜という逃げ道もある。値段が安定しているモヤシやキノコに頼ることも。

結果的に何がいくらでどれだけ売れたかで、一連の生産流通の流れの中では、儲かるところもあれば損をしてしまうところもあるだろう。消費者の消費行動は見知らぬ誰かの財布にも影響する。今誰の財布にどれだけ入っているかは、これからの消費者の生活にも影響してくる。お金が入ってこない事業は持続不可能になる。持続してもらいたい事業にお金が入るように買い物をするのがよさそうだ。

私はなるべく近隣の生産者さんの野菜を買う。運ぶ距離は短いほうが環境負荷が少ないと思うし鮮度もいい。「広告の品」の大根が95円のところ、こちらは150円だったりするが、たいていしゃっきりした立派な葉っぱもついていたりするので大差ない。野菜の種類は少なめだけど、大きさが不ぞろいだったりキズがあったりするB級品を安く出してくれていることもあるので、そういうのに出会えればとてもお買い得。不ぞろい結構、キズあり結構。品数少なくてもその時期とれるものだけで結構。一番とれるときがおいしいとき。

お金で取引きされる限り、野菜の価値に関わらず価格は変わる。私は野菜はつくれなくて買うばかりだけど、その価格の裏に何があるのか、そしてどう買えば持続可能な未来につながるのかを気にして買い物をしたい。

#お金について考える

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