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小売業と万引きの 切っても切れない話

小売にとって万引きは永遠の課題


小売業者にとって、万引きは永遠の課題と言えます。
長らく小売の店舗責任者として働いてましたが、
感覚が麻痺するほどの万引き犯を見てきました。

彼ら彼女らには、様々な背景があるのですが、
小売店にとっては、とても容認できるものではありません。
会社の利益、果ては社員の給与に直結するからです。

利益の流出を防ぐためにも、
防犯ゲートの設置、私服警備員、防犯カメラの設置など、
高いコストを払ってでも、万引きを防ごうとしています。

しかし、全ての万引きを撲滅することは困難です。
お店に人が来る限り、万引きを行う人は必ず現れます。
まさに二律背反といえます。

日本における万引き事情

日本においては、
売り上げに対して、
およそ1%は万引きによって損失が発生しているそうです。

ある企業の売り上げが100億円だった場合、
その内の1億円が万引きによって失われている計算です。

小売にとっての売り上げ1%の重さ

「なんだ、100億のうちのたった1億か」
そう思うかもしれませんが、小売業にとっては
その1%が苦しいのです。

ご存知の通り、
売値丸ごとが店の利益にはなりません。
メーカーからの仕入れ原価に対して、利益を上乗せしたのが
売価だからです。

仕入れ値が90円なら、売価を100円にして、
差額の10円が店の粗利益となリマス。
1個売ってやっと数円、数十円稼げる世界で、
それごと万引きされてしまうことの痛さは半端じゃないです。

誰が万引きしててもおかしくない

常連さんは万引きの常連だった

いつも見かける常連さん。実は万引きしてました。
よくある話です。

毎日のように夕方買い物にくる女性がいました。
いつも子供と一緒に来ていて、お菓子や日用品を買っていました。
見た目は少し怖いのですが、従業員に対しては割と丁寧に接していました。

ある日、エナジードリンクの在庫がズレていることに気づき、
防犯カメラで確認したところ、
なんとその常連の方が万引きしていたのです。



非常に手慣れており、カメラの位置も気にしながら
死角になるようなところで、
商品を袖やポケットに入れていました。

万引きの頻度も高く、毎日夕方頃に来ては、
お菓子やエナジードリンクを
万引きしていたようです。

警察にも相談しましたが、
ポケットに入れる瞬間がはっきり
映っていないことと、徒歩で来店している為、現行犯でなければ
難しいとのことでした。

マークを続けていたそんなある日、
ついに逮捕の時は来ました。

子供の前で逮捕される母親

万引きのパターンというのも人の癖が出るのか
決まったような動きをするようです。

いつものように、エナジードリンクをカゴに入れ
日配コーナーに向かい、人目がないことを確認し袖に入れる。

この瞬間を確実に目視した私は、
未精算のまま、店外に出たところで声掛け。

私「先ほどのエナジードリンクはどちらに戻されましたか?」

犯人「え、ああ、$%''(&(案内しますよ」

店内へ足早に戻り、
飲料コーナーに差し掛かったところで

犯人「ほらここにありますよ!(袖から万引き商品ポロっ!)」

明らかに袖から商品を売り場に出してから、そう言い放ちました。

私「いやいや、袖から出したの見えましたよ。
バックヤードまでついてきてください。」

犯人「はい・・・」

この後警察へ通報し、現行犯逮捕となりました。
子供が一緒にいたのですが、
母親が目の前で警察に連行される様子を
どんな心境で状況を見ていたのでしょうね。

警察の方曰く、
過去にも万引きで2回捕まっているらしく、
常習犯だということでした。

過去の万引きについても
問いただしたのですが、今回以外の万引きは認めませんでした。
非常に腹立たしいのですが、明確な映像がなければ
追求は難しいとのことでした。

おそらく、過去の被害額を合計すると
数万円から、数十万はくだらないと思われます。

世の為人の為に働けるが、人間不信になる人も

小売業は世の中にとって不可欠なものと思っています。
一般消費者との距離も近いので
”人のためなっている”と実感しやすい良い職業だと思います。

ただ、一般消費者の中でも
様々な人がいますので、そんな中で
人の悪意に触れることも多々あります。
暴言、クレーマー、万引犯などなど。

そんな中で、この仕事に見切りをつけたり
悩んでしまう方も少なくありません。

綺麗事だけではやっていけないのがこの業界なのかもしれません。



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