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小説

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【9月21日更新】過去に書いた小説をまとめています。
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記事一覧

【小説】風の中を #2

ウーロン茶が喉を通って、食道を通った。胸の下あたりまでくると、冷たさは感じなくなる。 液…

港かなで
2年前
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【小説】夜景につられて【短編】

小学生の頃、ジャングルジムで足を滑らせて地面に落っこちた。 落ちたのは2メートルくらいで…

港かなで
2年前
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【小説】風の中を #1

俺は少し小走りに近づきながら、待っている2人に声をかけた。 「悪い、待たせたな」 俺の声…

港かなで
2年前
4

【小説】僕は君の天使になりたい ♯1

「おいお前、行ってこいよ。金は出してやるから」  赤い顔をした先輩がバシバシと僕の肩を叩…

港かなで
2年前
3

【小説】不調和【超ショートショート】

彼女は噴水の前にしゃがんで、 手に持ったバラをゆっくりと水たまりに近づけた。 茎が水に触…

港かなで
2年前
4

【小説】ギブは夕立の中【短編】

多分見つからないだろうな。 生暖かい風を感じながら、僕は思った。  ことの始まりは10分ほ…

港かなで
2年前
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【小説】11月、落ちる紅葉を受容する【後編】

「すごい! きれいだね!」  家に着いて一息ついてから娘に紅葉の写真を送ったら、意外にもすぐに返事が返ってきた。今日は仕事が早く終わったらしい。 「でしょう。あなたと一緒に行きたかったわ。」 「仕事だから行けないよ~。」 「そうよね。いつか行きたいわ。」 「ね! いつ行けるかなー。私が定年退職してからかなー笑」  娘のメッセージを見て、幸子は一抹の寂しさを感じた。  自分は紅葉をあと何回見られるのだろうか、と思ったからだ。  人生には必ず終わりが訪れる。その終わり

【小説】11月、落ちる紅葉を受容する【前編】

「そうなんだ! 気をつけていってきてね~」  娘からのメッセージに、幸子は自然と笑顔にな…

港かなで
2年前
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