生き別れの娘と25年ぶりの再開 彼岸花
日本は他国と比べたら治安は落ち着いているだろう
外国では、空き巣、街中での窃盗、銃なんか当たり前
そんな世知辛い世の中
私は齋藤飛鳥。49歳
これは夫の〇〇と
たった一人の大事な娘との過去のお話
25年前
私たちは結婚して一つの命が宿った
名前は...さくら
この子がまだお腹の中にいるときに見に行った桜の木に惚れてその名前にした
さくらが3歳のとき
私たちは家族旅行でアメリカのニューヨークに行った
さ : おかあさんみて!くものうえにいるよ!
飛 : ふふっそうだね
長いフライトを終えニューヨークに着いた
飛 : 疲れた〜
〇 : ちょっと早いけどホテル行こっか
飛 : そうだね。さくらも寝ちゃったし
私におんぶされながら寝ているさくら
飛 : ごめんね。荷物持ってもらっちゃって
〇 : こっちこそ。さくらのことありがとね
飛〇 : ふふっ笑
私たち夫婦はとても仲良かったと思う
ホテルについてご飯を食べた
その頃には目を覚ましたさくらは元気を取り戻していた
さ : おかあさん!おふろおふろ!
飛 : わかったわかった。入ろうね
お風呂に入った私たちは部屋でゆっくりしていた
さ : ねぇおかあさん!
飛 : どうしたの?
さ : したのほういってみたい!
飛 : 下?一階のこと?
さ : うん!
〇 : じゃあ行ってみようか
飛 : いい?お母さんたちはここにいるからすぐ帰ってくるのよ?
さ : うん!
そのままさくらは駆け出した
エントランスにあったマッサージ機に私たちは座りさくらの帰りを待っていた
15分後
おかしい、さくらが帰ってこない
ホテルはそこまで大きくないはずなのに
どこかで迷子になってるんじゃないか
飛 : ...
〇 : ...探しにいこう
〇〇に手を引かれ日本後を話せるスタッフさん総出でホテル内を探す
〇 : さくらー!
飛 : さくら〜どこー!
さらに15分後
一度エントランスに集まった
ス : 皆さん!
全員が集まるところに走ってくる一人のスタッフ
ス : 裏口の扉が開いて外に出た形跡が!
それを言われた私たちはスタッフさんに案内され裏口の扉のもとへ
ス : 外の掃除をするときしか開けないんですがたまたまその時外の掃除していまして...
飛 : そんな...さくら...泣
〇 : ...
ス : うちの従業員が...申し訳ございませんでした!
俺たちは部屋に戻って来た
飛 : グスッグスッ....さくら...泣
〇 : 飛鳥...ごめん...俺が目を離したから...
飛 : グスッ...私だって...泣
〇 : ...明日、朝から外探しに行こう
飛 : うん...
その日は同じ布団で寝た
俺は泣きじゃくる飛鳥を慰め抱きしめいた
もちろん悲しかったけど、今は悔しさの方が強かった
俺があの時...こうしていれば...と
次の日
朝起きた私たちはすぐに外を探し回った
ホテルのスタッフさんたちも協力してくれた
...がその日一日では見つからなかった
さらに次の日
私たちは2泊3日だったので今日のお昼には帰らなくてはいけなかった
飛 : さくら...
〇 : ...飛鳥...先に荷物持って空港で待ってて
飛 : 〇〇は...?
〇 : ...フライトまでには戻るから...
私の目の前から立ち去ろうとする〇〇の袖を掴む
飛 : 待って!
飛 : ...私を...さらに一人にしないでよ...
〇 : っ!...ごめん
〇〇は私を強く抱きしめた
〇 : ...二人で探そう
飛 : ...うん...ありがと
今〇〇が目の前からいなくなったら立ち直れない気がした
日本に帰国する前に、ホテルで働いている日本人スタッフさんと連絡先を交換した
なにかあったら連絡してくれるらしい
そして俺たちはニューヨークを去った
飛行機の中でも飛鳥は泣いていた
飛 : さくら...泣
俺も泣きたかったが、今はグッと堪えただ祈るしこできなかった
帰国から何年も経ってもさくらは見つからなかった
1年、さらに1年
でも私たちは諦めなかった
日本にいるわけはないのでニューヨークまで探しに何度も行った
でもどこまで頑張ってもさくらは帰ってこなかった...
あれから25年後
〇飛 : いってきます
俺たちは50近くになった今でも共働きしている
さくらができると同時に飛鳥は主婦になったが
またニューヨークに行くお金をと思いまた働き始めた
亡くなったとは思いたくないが、リビングに飾ったさくらの写真に声を掛け家を出る
ふたりで歩いている時
飛 : 最近腰が痛いんだよね
〇 : まぁ50だしね
飛 : 失礼だな。まだ49だから
〇 : まぁ後少しで誕生日だから
飛 : もう50歳になるのか〜
そんな会話をしていると前から子連れの家族が歩いて来た
飛 : ...
飛鳥はさくらのことを強く引きずっていて、他人の家族を見るたびに目を逸らしていた
〇 : 大丈夫?
飛 : うん...
そして会社にもうすぐ着こうと言う時
また前からとある家族が歩いて来た
目を逸らすことはわかっているので飛鳥に寄り添おうと思ったら
飛 : ...
飛鳥はその家族を凝視していた
〇 : ...飛鳥?
飛 : ...さくら...
〇 : えっ?
突然のことで理解できなかった俺はその見つめている家族の方を見た
男性と女性。そして女性と手を繋いでいる子供
俺はその女性の顔を見た
飛鳥の言っていることが理解できた
前から歩いてくる女性はさくらだと
笑顔で子供と会話していて、後10mを切ろうとしている
飛 : ...さくら...
さ : っ!
相手の女性はその声に聞こえたようでこちらに顔を向ける
飛 : ...さくら...さくらなの?
さ : ...なんで私の名前を...
〇 : 覚えてないか?!お父さんとお母さんだ!
さ : 嘘っ!...
やっと理解したさくらの目には涙が溜まっていた
さ : お母さん!泣
飛 : さくら!泣
二人は周りの目を気にせず泣きながら抱き合った
さ : お母さん!泣
飛 : さくら...生きててよかった...泣
生きてるとずっと信じて来たが心のどこかにあるもう亡くなっている気持ちが強くあったのだろう
さ : お父さん...
飛鳥と離れたさくらは俺に向き合う
〇 : ...おかえり...さくら
さ : ...ただいま...お父さん
その後一度家に帰って話を聞いた
聞いたところによると、さくらは外に出てしまって迷子になっていたらしい
するとさくらの近くで発砲があったらしい
近くにいた老夫婦がさくらを抱えて遠くへ逃げてくれていたらしい
だから近くにはおらず見つからなかったらしい
そしてそのままその老夫婦が自分たちの家に連れて行き、そこでさくらを育ててくれていたらしい
どうやらその老夫婦はさくらが銃で撃たれたほうの子供だと思っていたらしい
〇 : そんなことが...
飛 : でも無事でよかった...泣
さ : そしてこの人がさくの婚約者の人
△ : 初めまして、△△です
さ : で、この子が私たちの子供、かずや
ほらかずや、おばあちゃんたちにご挨拶して?
か : こんにちはおばあちゃん!
飛 : っ!
できることないと思っていた孫
そしておばあちゃん呼び
それに飛鳥はまた泣いてしまった
△ : ...お義父さん、お義母さん
△ : いまさらではありますが、娘さんとの結婚許してもらえないでしょうか?
△△は頭を下げた
〇 : さくらが決めた相手だ。否定するわけないよ
さ : お父さん...
飛 : さくらのこと...よろしくお願いします
△ : ...こちらこそありがとうございます
さ : お父さん...お母さん...ありがとう
飛 : さくら...
飛 : 良い人に出会えてよかったね
そして近いうちにまたニューヨークへ行った
当時のホテルスタッフの方々へご報告とお礼をしに
そしてさくらが育った老夫婦の家に行った
さくらを拾ってくれたこと、さくらを助けてくれたこと、さくらを育ててくれたこと
全てに感謝した
そして時が過ぎ8月10日
さ : お母さん!お誕生日おめでとう!
25年間、聞くことができなかった誕生日のお祝い
飛 : ありがとう...さくら
飛鳥の50歳の誕生日は今までで一番の思い出になった
か : はい!おばあちゃん!
飛 : おっ、ありがとう、かず。おばあちゃんにくれるの?
か : うん!誕生日おめでと!
飛 : ありがと、かず!
少し離れてみている〇〇とさくら
さ : お母さん、かず呼びになってるし笑
〇 : てか絶対あのプレゼント、さくらが選んだろ笑
さ : あっばれた?
〇 : そりゃああの花を子供が選ぶとは思えないし
さ : お父さん、花詳しかったっけ
〇 : まぁそれほどに?
かずやが渡した花は赤い彼岸花
花言葉は
"再開"
fin...
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