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夥しい孤独 15

5月22日 未明

かなり久々の日記。

今日、元彼以外の人に、二人で抱き合ったダブルベッドで、抱かれた。

マッチングアプリで知り合った人。

ちゃんとした恋愛はもうこりごりだったから、割り切りというか、大人な出会いの多いアプリにした。

一度だけ食事をした人で、今日で2回目だったけど。

もう4ヶ月もそういうことをしてなかったから、いい加減限界だったし。

丁度今日職場の飲み会だったから、酔っ払いついでに迎えに来てもらって。

いきなり家はどうかなと思ってたけど、酔っ払ってたから、もうどうでもいいやと思って。

別に好きじゃない人と、そういうことをした。

すごく、良かった。

気持ちの面はともかく、気持ちよさは、元彼より遥かに良かった。

別れる数ヶ月前から、はっきり言ってセックスはマンネリ化してたし。
ろくに前戯もなくすぐ挿入とか、向こうの朝立ちに合わせて朝バタバタとすることが多かったから。

あんなに丁寧に、情熱的にされたのは初めてだった。

いざそういうことになったら、泣いてしまうかも、と思ってたけど。

そんな余裕もなかった。

多分、身体の相性はすごくいいのかも。

願ったり叶ったりだ。

それこそ、私が望んでいるもの。

お互い干渉しすぎず、深入りせず、時々会ってごはんを食べてお酒を飲んで、運動するみたいにセックスをする。

そういう人を探していたから。

なんだ、思ったより全然平気だ。

そう思いながら、その人が帰ってからシャワーを浴びた。

元彼はちょっと早い人だったから、そういう意味でも良かったな。

思い出しながら、ふと、繋いだ手とか、私の頭の後ろに手を回してくれることとか、高い体温とか、愛おしそうに髪をかきわけてくれる仕草とかがだぶって、思い出す。

途端に、涙がぼろぼろと零れた。

…私、あなた以外の人でも、感じたよ。

あなたより、良かったよ。

二人で何度も抱き合ったこの部屋で、このベッドで、あなた以外の人と。

…だけど、

気持ちは満たされなかった。

当たり前だけど。

見つめてくる瞳は、きちんと見れなかった。

あなたを重ねてしまうから。

苦しそうな声とか、吐息を。

思い出してしまうから。

気持ちいいから、あなたとしたかったわけじゃないんだよ。

あなたとするから、気持ちよかったんだよ。

そんなことを、ぽろぽろと思う。

素面だったら、無理だったかもしれない。

明日、朝起きた時に、自分の感情がどうなっているかは、わからない。

だけど、もう、後戻りできないような場所に、自分を追い込みたいんだ。

あなたなんかいなくても、平気なんだって、この身体に言い聞かせたいんだ。

そうじゃないと、狂ってしまうから。

明け方、あなたと抱き合う夢から醒める悪夢を、もう見たくないから。

そのたびに死にたくなったり、もうしたくないから。

多分、また私は、あなたじゃない人に抱かれるよ。

そのうちに、きっとあなたのことなんて、薄れていくよ。

記憶の彼方へ追いやって、鍵をかけるんだ。

それでいいんだよね?

あなたが望んだことは、これで良かったんでしょう?

あなたも同じように、私じゃない誰かと、そういう日々を送っているんだから。

これでいいんだ。

あなたなんかいなくても。

あなたがしてくれなくても。

私には、もうしてくれる人がいるよ。

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