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#詩 2023年3月⑤


「わたしのアドレッセンス」



わたしのアドレッセンス

過ぎ去ったはずの青春時代
抜け出せない思春期じごく

終わりのこない居残り授業
ルーズリーフの真ん中の花柄模様

もう誰もいない放課後の教室
黒板にチョークでかき散らした

わたしのアドレッセンス
季節をめくれなくなったんだ

青にこがれるだけの青
ずっと春のまま

2023年3月26日



「さくらのいま」



桜の今は花なのかいなか

開花のあけぼの満開の夜更け
ひらひらと舞い散る白昼夢

ひだまりを集めた新緑の葉桜
くしゃりくしゃりと紅葉色

剪定された枯れ木の枝葉
脈動する蕾そっと雪化粧

桜の今際花なのかいなか

2023年3月27日


「フルーツサンド」



フルーツサンドがデザートだなんて
知らないわたしはいつだってむち

かなしみが口をひらいてぽかんと
間抜けヅラしてほうけてるから

なにか注いであげたらいいけど

あまりに傷つきすぎると
涙もびっくりしてていしゃ中

もうフルーツサンドをご飯だなんて
いえないわたしになってしまったんだ

2023年3月28日



「かたよったシーソー」



たぶんひとつだった
なのに分けてへだたった

分かりやすいものが
いっぱい絡んでるだけなのに

区切って区切ってまた区別して
ぷつんと糸は落ちていく

もう繋がらなくなってしまった
わたしの比翼連理

かたよったシーソーを
けんめいにけんめいに

なんて地に足がついていない生き方だ

2023年3月29日



「花びらぴくり」



死んだように眠っている
ぴんくの花べん石畳のうえひやり

クスノキの葉がざわめいて合図
風の吐息だるまさんがころんだ

くるくる ぴょんぴょん けんけんぱ

ひとりで みんなで 仲良しこよしで
待ってって 追いかけて 駆けまわる

鬼がそっとみているからぴたり
あとはもうただの花びらがぴくり

2023年3月30日



「よむことはたべること」



味覚がかわるように
言葉もかわっていく

昨日きらいだった本が
明日お気に入りになる

のみこめないものも増えたけど
口にしたいものも増えたんだ

ぺらぺらふむふむ
ぱくぱくもぐもぐ

おいていくのは年月じゃなくて
その瞬間のあなたの想い紙面に

よむことはたべること

2023年3月31日


#詩

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