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雨呼ぶ髪飾り🏵️🌵創作童話です。どうぞごゆるりと(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)🌟

雨呼ぶかみかざり
                    
 とある、乾燥した砂漠の国に、心根がうつくしい女の子が住んでおりました。歳は、十五。その彼女は赤髪を持っており、たいそうきらびやかで、ほぅっと誰もが見惚れるほどでした。



 彼女は、よく働く賢きものでしたが、外見は誇れるものではありませんでした。ただ、束ねられているその髪は誰もがほめたたえます。


彼女は、名をうた、と言いました。


生まれた時の鳴き声が、まるで天女のうたのように聞こえたことからその名がつきました。


うたは、辛い時は歌いました。また、喜ぶ時も歌いました。彼女の歌は、つかの間バザールの皆を癒しました。


 五ヶ月、雨の降らない日照りが続きました。
うたも黒く日に焼けて、そばかすがひどくなりました。砂漠の国の王様は、雨乞いを王女にさせています。


この砂漠の国、昔から王女には雨乞いの役目がありました。砂漠の国ながらミミ王女は白く細く儚げで、うたは倒れてしまうんではないか、とはらはらしました。


自分にもできることはきっとあるはずと考え、バザールの裏にあるという雨の神様の祠のことを老女から聞きました。

その老女はもう二百年は生きていると言われ、昔は国の王女だったなんて話も聞きました。本当かどうかうたにはわかりませんでしたが、老女のいうことには深みがありました。


 バザールの裏は、さびれていて、日が照っているはずなのに暗く、ここだけ別世界のようでした。


祠は何十個もある石のタイルのようなものに紛れていましたが、うたがその石を踏んだ時、シャン!と音がしました。


不思議な心地でこれが祠ね?と石を覗き込むと、石には何か刻んでありました。



「ら、い、じ、ん?」



祠がゴトッと開き、まばゆい光が辺りを包みます。うたにはその光は強烈で、ばったり倒れてしまいました。


耳元で、
「あめたまうれ、あめたまうれ、らいじん、あめたまうれば、うるおしがみをけんじょうしよう、さぁ、あめたまうれ、あめたまうれ」
と聞こえていました。

 いつの間にか夢の中で、うたは王女のように雨乞いの踊りをしていました。燃えるような赤髪は、解き放たれ、手と足には幾つもの金の鳴り飾り、淡白、萌黄、うす紅を重ねた絹の衣装。


「らいじん、きよきあめたまうれ、めぐみあめたまうれ、あめたまうれば、くにうごき、おうじょゆめさめ、らいじん、ひとたちけんじょうしよう、さぁ、あめたまうれ、あめたまうれ」



歌い終わった後、何かがざっと横切り、長かったうたの髪がバッサリきり落ちました。空から大粒の雨が降ってきました。ゴロゴロと雷もなっています。


うたは、いつの間にか夢から覚めていました。しかし、髪は肩の長さになっていました。自分が泣いているのかと思いましたが、大粒の雨でした。と、いうことはこれは真実です。うたの手には光る髪飾りが握り締められていました。


「これが、雷神様の、雨呼ぶかみかざり」



老女の話は、本当だったのです。


 その頃、国ではミミ王女が雨乞いを成功させたと大喜びで、誰も、王女と同じ頃の女の子がしたことだとわかりませんでした。そう、あの老女以外は。



 老女は、帰ってきたうたに、かみかざりでまとめた髪にして、言いました。



「きれいじゃ、うた。そなたを誇りに思う。気づくものも出てくるじゃろう。だが、おごることなく、シャンとしておれば、そなたは誰よりもうつくしい」



うたは、にっこりと花のように笑いました。
 その後うたには凛々しい異国の相手ができ、砂漠の国も雨の恵みで栄えたといいます。



fin.



読んでいただきありがとうございますm(_ _)m🍵✨
わりと新しいほうの童話ですが、それでも七年?くらい経っている…かも笑🐣(もっとかな?)


私の創作童話は子どもさん向けというよりオトナ向けだと思います😊漢字が沢山出てくるし…。


少しでもリフレッシュになれば幸いです🏵️🌵
のこりの週末を愉しくのんびりと過ごせたらいいですね✨
ナッツカナッペでした~♪(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+🌞☘️




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