好きな男の好物も知らないワシ
昨日さらば青春の光この本誰が買いとんねんの最新話を見ていた。
著者は女性で前付き合ってた男が好きだった飯のレシピとその話をオムニバズ形式で綴った著書ということだった。
私は夫の好物すら知らない。今まで関心を持ったことすらなかった。
というのは私には毎日明確にこれが食べたいという明らかなビジョンがあり、かつ偏食で好き嫌いが多い。一方夫は何でも食べれるしこれが今日食べたいというビジョンは一切ない。そして私は夫が作った飯を平気で残したり不味いから食べないと言ったりするが夫は私が作った飯を美味しい美味しいと食べる。それゆえに夫は私が食いたいものをコバンザメのように一緒に食べているだけなのである。
このように私の世界は私を中心に回っている。
私は付き合った男の好物など知らないしその男に飯を作ってやったことも無い上にそもそも3か月位付き合っては別れ付き合っては別れしてきたので飯を作ってやるような関係になる前に男がその正体を現すのでこっちから切り捨てるという事の連続だった。むしろ男に飯を作ってもらった記憶の方が多いような気すらする。
男が調子に乗ったら切り捨てる。
この繰り返しであった。私のS根性についてこれる日本人男子は一切おらず、18歳も年上の才能あるM男性NZ人と無事に結婚したのであった。
日本に居る時はなぜか「女はM]という意味不明な日本人男性の思い込みに非常に苦しめられた。私は生粋のツッコミで生粋のドSである。なので飯を男に作ってもらったことはあれど、男の好物を把握してそれを作ってあげたいという発想すら一切持っていない事に今気づいた。
日本人女性っていうのは男性の好物って把握してるもんなんですかね。
私はそういえば自分が何が好きで何に興味があるかしか興味がない。今日もバスの中でつらつらと、明日着る服と自分の全体のコンディションとカネと今晩食べるメシの事しか考えていない事に気付いた。
夫を喜ばせるのは簡単である。甘いもんを買い与えておけば喜ぶ。しかし私は甘い物は好まず食べたいものも毎日気分で変わる。同じものを食べ続けることができないしすぐ腹を壊す。昨日もちょっと生焼けのサーモンを気にせず食べたら腹痛からの水便で、睡眠時間を奪われ今日はヘロヘロになりながら一日を過ごした。
フラフラになりながらも今日の弁当に持って行った鶏むねサラダは消化が厳しいと判断、しかし何か食わねば死ぬと言う事で急遽お初のベトナミーズでフォーを食った。汚い店内だったが立地の割に価格が安くかつ本場の味で美味しかった。また今度行こう。
夕飯はミールKitを毎週買っているので調理は夫がやる。週末分は買ってないのでそれは私が食べたいものを作って食べることになる。先週は台湾の牛肉麺を作った。台北で食べてハマってこっちで何回か作っているが夫も唸る美味しさであった。ちなみに私は料理は上手なのだ。なんせ自分が食べた美味しい物を、その記憶をたどって家で再現する事に命を懸けているからである。ちなみにトムヤムヌードルは既に店レベルの味が出せるようになったので外で食べなくなった。
胃袋で男の気持ちを掴むという発想は私にはない。本来美食家である私は外で食べた美味しい物を家で再現し、それを男が一緒に食べるかどうかでしかない。男はバカなのでカレーかラーメンか牛丼しか食わない。あとは牛肉かハンバーグトンカツ唐揚げとかその辺が好物で女子供のように多種多様な美味しい物、スリランカカレー、ロシア風煮込み、帝国ホテルのブッフェなど所詮興味はないし、美食家気取りの意識高いリーマン風情には反吐しか出ない。夫も私同様貧乏のくせに美食家なのは彼の父はフレンチの修行をしたシェフで彼がガキの頃両親はキャッフェーを営んでいたからである。一方私もDV家庭ではありながら美食家なのは母が調理師免許を持っていたため子供の頃からベシャメルソースのグラタンやシチューしか食べてこなかった。実父は偉い役職の人間だったので会社の接待費を家族の夕飯に切っていた。そのため私は子供の時分にファミレスなるものに一度も行った事がなかった。むしろ居酒屋でホッケを食べ、高級焼き肉屋でタンとミノを食べ、高級中華店の冷製クラゲ、エビチリ、おこげあんかけ焼きそばなどを食していたのだった。
このように年齢も生まれた国も違う夫とは共通点があり、私は癖の強い料理上手として、夫は羊の脳みそとか食ってた幼少期を経て何でも食べれる健康男児になり、数十年後に私達は不思議な巡り合わせの下結婚し生活を共にすることになりはや11年が経つ。
11年経っても夫の好物は知らないし興味がない。知った所で作らない。
いや、作った事はある。
彼が日本滞在中にやつが買ってきたチョココルネを「ガイジンのくせに初手からチョココルネとは生意気」というドSらしい理由で彼がシャワーを浴びている隙に全部食ってやった。結婚直前だが夫のチョココルネ全食いしたらまー怒る怒る。またパン屋いけばよかろうが!と叱責しても楽しみにしていたらしくフルチンで怒っていた。
NZに戻ってもまだコルネの恨みを呪詛のように吐くため、3-4回夫のためにチョココルネを作ったやった。しかし子無し家庭だとコルネが20個位できて全部食うとなると夫婦でデブまっしぐらなのでそれっきり作っていない。好物とはまさに美味しい、そのために食いすぎると太ってしまう。太る位なら食わないということで、私は夫の好物に、それでもそもそも全く興味がないのである。大人なんだから自分のカネで勝手に食ってくれやと思う。私はニュージーランドにローソンがないのでからあげクンレッドがないから自作してみたりしているが、夫にはそういう明確なビジョンがそもそもない。
まあたとえ「これが食べたいからこれを作ってくれ!」と言ってくる男と私はそもそも付き合わない。そんな男マジでご免である。私はむしろ「おい今日はワイがこれ食いたいから作るけどお前も食うか?」でホイホイ食ってくれる簡単な男に好感を持つ。女に自分の食いたい飯を作らせるような男は端的に言ってクズなので、本来好きな男の好物すら知らないし興味も無いしそれを作る気もない、ということが女としては正解である。
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