6回目の政府面接

自分の学歴ではただのオフィスアドミンは絶対に落ちることがわかってきた。前の職場ではサイコロジーで修士卒の若い子がカスタマーサービスで雇われていたので院卒でもアドミンに採用されるのかと思っていたが彼女の場合は”サイコロジー”というワードが効いたのかもしれんが、よくよく考えるとサイコロジーなんか取る奴はそもそも陰キャだろう。私は犯罪心理学にしか大いに興味がないが、一般人が病もうがなんしようがそれって親からの遺伝とホルモン量と環境要因によるものだし、異常性癖も(例えばウンコを食ったりだとか肛門にとんでもないものを挿入してみたりだとか)、人様に迷惑かけなければ、成人同士が合意の下行った行為であれば、危険は伴い大腸近門科や性病クリニックに担ぎ込まれたりするのは個人の責任の範疇で、他人がとやかく言うもんではない。不倫も浮気も同様である。

さて来週は2回も政府面接がある。先週も面接に行ってきたばかりである。これでこの省庁で呼ばれた政府職面接は通算4回目となった。しかも全部専門職である。おそらくHRだのオフィスアドミンなどはビジネス系や文系学生が占めているのかもしれない。2-3回政府職アドミンに応募したけど落ちた。恐らく専門的&高学歴過ぎるのだと思うし、自分でもそう思う。

4回も面接に呼ばれて全部落ちるとなるともう私はどこに行けばいいのかという話になる。いい加減この省庁が私を雇うべきだと思われる。そうでなければこのような頻度で面接に呼ばれるのは異常だ。そして自分の専門性を鑑みて職を探してみても、どーせこの省庁しか仕事ないじゃないという事になる。政府は院卒の採用を積極的に行うべきだ、だってそこを吸収する産業がないんだから。いや、、というかワイのスキルセットは完全に農業系なので田舎にいけば一発で職を得る自信があるんだが(田舎に院卒はいないから)、首都となるとバイオサイエンス系を吸収する職場は政府しかないのである。なんせNZはバイオ系産業が壊滅的に少ない、なぜなら法律で遺伝子改変や編集を禁止しているからである。そしてこれはマオリlawと繋がりがある。そういう訳でバイオ産業が華々しい米国に比べNZでバイオサイエンス院卒であっても会社がないのでワイのような移民は政府にすがるしかないし、バイオ系院卒は結局職がなく、知人が以前勤務していたオーガニックショップの若い同僚女性は、オタゴ大の微生物学院卒で(一年間セシスに費やしたのかと思うと本当に可哀そう)、それでも仕事がないからオーガニックショップでバイトし、なんか違うこと勉強しないとまっとうな仕事につけないと話していたそうである。

私の場合は前職がレギュレーション業務であることと既に10年以上のアドミン経験があり、NZの大学に行きなおして修士号を持っているので、まあ職歴ゼロの新卒修士に比べると雇いやすそうと思ってもらえるかもしれない。職歴を考えても職場で必要な基礎的トレーニングだの、英語力だの、コミュ力だの、当然大丈夫だろうと思ってもらえるだろうし、レフリーにも前職から2名のマネージャー、各大学から1名づつお世話になった教授にレフリーになってもらい、更に日本からも2名仕事でお世話になって更に友達関係も続いていて英語も話せる2名の社会的地位のある女友達もレフリーになってもらった。とにかく詰め込めるもんは詰め込んでみた。そういう訳でいちいち「IELTS 7.0」とか、英語ネイティブにはなんそれという英語テストのスコアなんか自分のCVに書かないし(書いてる奴いたら相当アホ)、カバーレターで流暢に英語で内容が募集要項に応答した形で書かれていたら、この人は英語も話せて文章も理解できてそのうえで必要なアクションが取れる人なのだなという事は相手が勝手に理解してくれる。

人間のコミュニケーションとは非言語領域である場合が多い。自分は日本で工業デザイン学部出身かつGデザインやってたこともあって、それについて大いに考える部分がある。情報を相手に伝えて理解させ、更に認識エラーを最小限にするにはどうしたらいいかは、誰にとっても考えねばならない必須事項である。サイエンスは割とビジュアル指向で文系向きである。なぜなら組織を見るにしたって、DNAの構造を理解するにしたって、写真なりダイアグラムなりが存在するからである。ビジネス学生は「セオリー」好きだが可視化が苦手である。私は「セオリー」という言葉がビジネス系コースを取り始めて大嫌いになった。結局自分の主観に基づいた観察でおこなった事を勝手に体系化してみました、がセオリーの実態だからである。セオリーはまあ多くの場合インタビューや質問などを通して実証されるようだが、それも結局己のバイアスがかかってるんちゃうんかという疑念がぬぐえない、よってビジネス系の教授が大好きな「セオリー」なるものについて書かれた論文を読んでいると「それあなたの主観ですよね」と言いたくなりフラストレーションが溜まる。ポーターのなんとかとか、マジでうるせえなあ、などと思ってしまうし、ドラッガーの本も前職に関連し読んだ記憶があるが何一つ覚えていない。その代わりオカザキフラグメントについて世界で最初に証明された論文については、素晴らしい芸術作品をみた時と同じように感動した。やはり世界を変えるほどの大発見について書かれた科学論文は芸術的な美しさを呈するが(ヤマナカファクターも世紀の大発見だとおもう)、ビジネス論文はカネと人間をどう支配するかが主題のため、倫理観が欠如し下品さしか湛えていない。それゆえに私の知的好奇心を一切満たさない。だから私はビジネス系デグリーしか所有していない人間を心底見下している。せめてなにかとのダブルデグリーであるべきだ。

昔の大金持ちはカネもあったが知性もあった。今の金持ちはカネしかもっていないし自分さえよければよい。実に下品だと思う。それゆえに私は政府職でそれらの行動を制限し律する事で公正で公平な市場を構築することに情熱を燃やしているのかもしれない。前職で経験したが、レギュレーションを軽視するビジネスマンが実際多くいた。規制を免れられず、海外のカスタムでコンテナが止まり、それでこっちに連絡が来たのだった。このケースの場合、ただ間違えただけだが、意図的に規制をかいくぐろうとする人間によって不正が行われる。例えばワインのラベルに関する不正などである。

無料大学院でワイン醸造+ブドウ栽培のコースを履修していた時にワインレーベルの不正について小論文を書いた。まあこれについては前職にも若干関連があるので書きごたえのある課題だった。アマゾンなどでもドキュメンタリーを観る事ができる。ちなみにワインレーベルとワインの不一致は本物と偽物のワインのケミカルコンポジションやトレースエレメントを比較することで可能である。そしてオーセンティックワインのミカルコンポジションやトレースエレメントはデータベース化されている。

私自身は分子生物学が背景にあるために、どうしても興味が分子にむきがちで、ワイン化合物のコンポジションの違いにより複雑なワインの風味がどうのこうのについて一切興味がもてず、スコアもC+でばちくそに悪かった。(まあそもそもケミストリーが好きだけど中々苦手でという事も関係しているのだろうが)そもそも酒が飲めないのでワインを沢山飲むことができない。味が美味しい不味いは一口で分かるが沢山飲めないし、ワインは空気にさらすとVOCの構造が変化するので味が変わる、なのでベストプラクティスとしては一本を短時間で飲み切ることが必要だ。しかし酒が弱いとボトル一本開けるのは不可能だし、最初の1杯しか美味しくないとか、一緒に取る食事で味が変わるとか、ワインはとにかく面倒くさい。だから私はワインが嫌いだしワインが好きな奴も同様にどうでもいいことをワーワーいいがちな馬鹿としか思えないし、未だに酒飲んでる奴ださくねえ、などとも思ったりする。あとviticultural practiceもプルーニングがどうのこうとトレイルがどうのこうのとどうでもいい事しか言わない。ブドウの実に含まれる化合物の量は環境要因に影響を受け全て遺伝子発現によって決まる、ぶどうの木自体の病気耐性についても同様である。なので勉強している間に遺伝子や分子に言及すると教授が「わからない」とか言い出すので何回も顎が外れそうになった。教授の知識の無さによってワイン化合物のクラスはC+を取る羽目になったのでそれについては今でも腹が立っている。

一度コースが終わって一応ワイララパのワイナリーにCVを送ってみたものの、マジで白人しかいない世界で、そこにワイン嫌いな自分がワインの味がどうのこうのプルーニングがどうのこうのしか興味がない人間と一緒に働く事は不可能だなと思い、またvituculture&wine makingは雇われだと割と重労働でかつ収入は低くなる(オーナーなら話は別)。ブドウの収穫は大変な割に時給が低いし短期間で終わらせないといけないので、労働に従事する者は2-3週間位タコ部屋で寝泊まりし、食事はまあワイン園の人が食わせてくれる。機械で収穫する場合は人間は必要ないし真夜中から収穫を始めることができるが、手摘みとなると手間も時間も労働力も確保せねばならないため、ブルゴーニュワインなんかはそもそもワイン園のレーンの幅が狭く機械が入れられないので、一生手摘みでどうにかするしかなく、それゆえに価格が高い。しかし美味しいかどうか自分の口に合うかは、個人の判断である。高いワインが美味い訳ではない。

まあ院で一生懸命自分が興味を持って勉強したことは、分子と遺伝子と微生物に関することだったので前職でやってたレギュレーション業務の経験と学術的知識をもって、非常識なビジネス人間どもを規制するために政府職に就きたい、まあ自分のモチベーションに関しては非常識でモラルの無い上に頭も悪いビジネス人間を規制してやるぞ!という所だろうと思う。前職は団体だったのでリーガルパワーが全然なくて、規制と顧客の間で板挟みになり「うおーオラにリーガルパワーをくれー!!」と常々思っていた。政府職なら「ふざけんな、こんなもん通るか馬鹿」と書類を突き返せばいいだけなので強気でリジェクトできる。

そこが政府職のいいところだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?