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心に残る、河井寛次郎記念館

大橋知沙さんの「京都のいいとこ。」を読み、ぜひ行ってみたいと思い、念願が叶いました。

ZEN CAFEでお茶したあと、大和大路通りをずっと下って、五条(国道1号線)を渡り東山郵便局わきの道を入って左に曲がり、普通の住宅街を進みます。
普通の住宅街の中で、その一角だけ残された印象です。

河井寛次郎記念館

外観は住宅としての町屋らしく、端正で飾り気がないので看板が出ていなければ気づかず通り過ぎてしまいそう。
中に入ると、予想以上に奥が深いのです。

囲炉裏に添えられたかわいいお花

受付をして、スリッパに履き替えます。
「おじゃまします」
磨きこまれた板敷きの広間に上がると、お宅に招かれたようです。

高い吹き抜け

見上げると、吹き抜けとなっていて二階の天井と同じ高さまでとなっています。
このように、この建物は、全体を通して開放的で明るいと感じました。京都の夏を過ごすにはこのようにして風を通さなければならなかったのでは、と思いました。

箱階段をおっかなびっくり登る(とんとん上がるより、ゆっくり登る感じ)と、広間の全体を見ることができます。
冬は囲炉裏の暖かさが二階まで包むことができたのか、この広すぎる空間では難しいのか、想像を巡らせます。

二階から見下ろしたながめ
別な角度から
二階の客間

二階で印象に残った部屋は書斎です。(なぜか写真を撮り忘れました)
中庭向きの窓の前にある、思ったより小さいけれど重厚な机と椅子が今でも主(あるじ)を待っているようです。

工房への渡り廊下から母屋をのぞむ

工房に入ることはできませんが、道具や資料が残されていて、使われていた頃の雰囲気を感じます。
また、作品を展示している一角ではガラス越しではありますが、じっくりと鑑賞ができます。
力強くて温かい・・・言葉が見つからない・・・

作品として、ではなく家族が普段使いする道具としての焼き物の展示もありました。河井家の定番だった”大きく作って、取り分けする茶わん蒸し”のための器や、色とりどりで文様も形も様々な小鉢が、かつて生活の場であったことを思い起こさせます。

実際に使っていた登り窯

家の奥には登り窯があります。
京都の街中に!と驚きましたが、考えてみると当時は住居と仕事場が繋がっているのは「そういうものの」だったのでしょう。
窯の実物をみるのは初めてです。まさか、こんなに近づくことができるなんて。
美しく管理されて、往時のままを保たれているようです。
ここで作品に、炎と共に命が吹き込まれてきたのだ・・・

かわいらしさとユーモア(ポストカード)

名残惜しいけれど記念館を後にして、憧れのBOX&NEEDLEへ向かいました。
そのお話は、こちらの記事へ。

京都旅、最後の食事

イタリアンとアラビアの真珠

京都駅そばのイノダコーヒー ポルタ店での遅いランチが、今回の京都最後の食事になりました。
4年ぶりの京都は、変わらないところ、変わったところが混在していました。それは当然。
そして、初めて知った場所が多くありました。おそらく、未知の大海を前に砂浜の一粒を眺めているだけなのでしょうね。

何回旅しても、知りつくすことはない、と改めて感じた旅でした。

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