見出し画像

尾崎リノと出会って

 2年前の誕生日の次の夜にあなたと出会った。いつも通り、関連動画から好きな曲を探しているときに、その曲はあった。7か月前ぐらいの動画で、再生回数はまだ4桁に届いたばかりだったが、ベットに座る女の子の哀切な表情に惹かれ、再生した。

 その年の誕生日は、習慣化してきたことにつまらなさを感じていた。家族と仲がいいわけでもないので、ただケーキを食べ、おめでとうと一言祝ってもらう。同じクラスの良い友達が近くの友達に僕が誕生日であることを伝え、その結果数人の友達に売店でお菓子やジュースを買ってもらう。別クラスになったよく一緒に遊ぶ友達からは何もない。忘れている。そんな去年となんら変わらない日。ちょっと好きなものがたくさん食べられる日。とても幸せなことであるが、どこか慣習的になっていることに寂しさを感じていた。いま思えば、きっと大好きな人からの「生まれてきてくれてありがとう」の気持ちが欲しかったと思う。

 あなたの曲は伸びない。厳密に言うと再生回数は増えているが、あまりに少しずつである。2年前はすぐに伸びるだろうと思っていたが、同じように伸びると感じた他の曲が300万再生までいく傍で、いまだ33万再生である。しかし、身の回りには聞く人が増えた。弾き語りする人もいる。それを聞くのも好きだ。それに僕はあなたの曲がとても大好きだ。きっとこれからもあなたの曲は劇的に伸びない。でもそれも含めて愛おしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?