9 サヨウナラ カナラズアイニカエルヨ


 B君の性格は私と真逆な気がする。
 誉められたい、自信過剰な面もある
めんどくさがりやな所もある 
ネムタイ ハラヘッタ よく言う。
 友達関係は狭く浅くでケンカをすると
とことん避けてLINEブロックするとか
嫌いになったら『興味が無くなる』と言って
その人の事を考えなくなる そうよく言ってた。私ともケンカをするとよく嫌になる、好きじゃなくなるって言う感じで
『○(私)にもう興味が無くなった』と言われる事があった。
妙にこの表現がグサグサ来て悲しくなる表現だった。 
 母国にいた元彼女の事を聞いたら
『興味ない、もう知らない 結婚してるはず』
と言って元彼女を思い出す事は無かったようだ。正直わたしは今まで付き合ってきた人
など元彼の事を少なくとも
思ったりする。あわよくば連絡してやろうじゃなく もう結婚したかなとかあーこんな場所に行ったなぁ 等 懐かしく振り返る事がある。 でもそんな振り返りは一切なく
興味ない、って考えないらしい。
 今、側にいる女性だけしか目に入ってない
と言う純粋と言うか真っ直ぐと言うか。
それが普通なんだろうかなー
 『浮気はしない、だって今自分を大事にしてくれる女性がいるから他の女性に興味がない』 そう話してた。
 それは有言実行で私と仲良くしていた間は本当に他の女性と会わないし浮気もしない
自分の行動をいちいち私に連絡して来るし
自分だけを思っていて欲しいアピールがすごかったように思う。本当なら同じ国の同年代の女性を見つけてデートしたり将来を話したり
せっかく日本に来てるのだから何か楽しい事も見つけるだろう。
それでも、出かけるのはいつも私と。
 一緒に暮らしてないだけで一心同体だったように思う。彼女じゃないのに彼女のように扱う。
 大学卒業前には 私から離れるのが
寂しいし、四年住んで友達もここにまだ居るし
同じ土地で仕事探したいと言うが
良い仕事はあるわけ無い。
 時間が止まって欲しい‥ また出会った頃に
戻って楽しい時間を過ごしたい。
そんな事ねがっても無駄。
 卒業して離れ離れになるまでに私たちは
できるだけ一緒の時間を過ごしてあちこち行き思い出を作った。いつものようにしょうもないケンカもして何時間も話し合った時もあった。
 大学四年   B君はある職場の面接を受け合否連絡がある日に私達は出かけていた。
『今日、就職面接の結果がわかる日
連絡があれば採用なんだ』と。
結局、就職は知り合いの紹介で関東圏の職場を受けた。
夕方前、車の中で彼の電話が鳴り面談先の社長からだった。
 電話の受け答えですぐに 採用されたとわかった。 電話を切って私に
 『採用された、東京に行くよ 行ってもイイ?大丈夫?寂しくならない?離れるけど必ず会いに帰るから心配いらない 行ってもイイ?』私の心配をしていた。
 『良かった!大丈夫よ良かった就職決まって』と私も喜んだ。
まさか本当にそんな遠くに行くとは思わなかった。運転しながら涙が止まらない。
寂しさか?嬉しさか?
  私の感情が壊れた。
声にならない声で
 『実はめちゃくちゃ寂しい そんな遠くに行ってしまえば私は会いに行けない でも
就職で離れるのが私達にとっては正直
この関係が終わる時期だと思ってたから
多分2人の関係はこれで終わる、サヨナラになる 私は今までずーっとこのイケナイ関係だと分かっていながら終わらせる事が出来なかった。 今だけだから許して‥
 いずれ関係は消滅するんだから今だけ仲良くいさせて欲しい 私達2人を離さないでください 許してくださいって神様にお願いしていた』とB君に泣きながら話した。

 そんな事おもっていたの?と驚かれた。
自分も寂しいよ、私と離れたく無いが
働かないといけないから仕方ないんだ
でもこの関係は続けて行く 距離は離れるが
自分にはまだ○(私)を離したくない
自分の事を思っていて欲しい、支えて欲しい
絶対にたびたび会いに帰る 大丈夫
 私を説得させるように一生懸命に話す。
誠実なストレートな所は本当に歳下じゃないような立派な姿に見えた。こんな所が私を沼らせる所だったろう。
 そうまでして私みたいな家族がいるおばさんを必要としてる。離れないと言ってた。
 私が独身なら迷わず関東に一緒に引っ越して着いて行ってただろう。
それか、これを機に結婚していたか、、、

ダメだダメだと思いながら続けてきた
この2人の関係。あぁ終わる時が来た…
 就職して離れる時が潮時、そんな感じもしていたので仕方ないよ そう自分にいい聞かせてみたり。
もう出会って2年以上たっていた。
  家族を騙し仕事先では2人の関係がバレないようにする 悪い事をしていたのに
毎日充実して毎日に張り合いもあるし、ときめきもある。 自分の立場より先に女になってしまい母親じゃない勘違いした私が居た。
 自分じゃない自分… 周りにはどううつっていただろう。
 喧嘩もして情緒不安定になるし
嫉妬に狂って頭もおかしくなる、寝れない
食べれない そんな自分になってしまった事もこんな関係になったからだ。
 いい事ばかりじゃ無いむしろ、悪い事の方が多くあった。

 離れるが会いに帰るよ、と言ってくれたがそれは私を不安にさせないようにだ。
帰るよって簡単に言っても往復に 
大金もかかるし時間もかかる。きっと
この関係はこれで終わり、バイバイ。

 B君が引っ越す前の夜、よく2人で行った夜景を見に行った。
『ばいばーい 又カエッテクルヨ』そう言って
夜景を見てた。
 私はそんな後ろ姿を見て号泣。
背中に抱きついて泣いた…
『元気でね、この場所の事わすれないでよ』と
言い 嗚咽した。
今でも思い出すと涙が出る。
この土地にB君が留学してきたから出会った、
もしこの土地に来てなければ違う誰かと出会い早々にB君は結婚しているかもしれない。
私みたいなおばさんと過ごした数年は
この土地じゃなければ若い彼女を見つけて
楽しく過ごしていたかもしれない。
 こんなおばさんと仲良くしてくれてありがとうとも思うし周りは彼女だの彼氏だの作り
留学生活を楽しんだであろう4年の半分以上を私との時間を費やした。
自分はそんな変な男じゃないよ、と言うだけあって本当に私だけだった事
 イケナイ関係であったけど純粋な愛で
つながっていたような気もする。

 泣かないで見送って欲しい また必ず会いに帰るから と私をぎゅーっと抱いた。
私はB君の服が濡れるほど泣いていた。
 目がぱんぱんに腫れるが家に帰ればいつもの母親に戻らないといけない。
しばらく思い出の夜景を見てサヨナラした。
 翌日、私はあえて仕事にでた。
見送るなんて出来ない。 
今、出発したLINEからはじまり
今、〇〇駅に着いた→これから新幹線に乗ります→〇〇通過。
段々と私が住んでる所から遠ざかる。
 胸が締め付けられて涙も出てくる。
あぁ、本当に行ってしまったんだ。
思い出が詰まったこの地をどんな気持ちで
離れたろう? 後から聞いたらやはり
出発する時には泣きそうになった、と。
 これが自分の人生の又、スタート
第二章だ、と言ってたように
学生が終わり社会人のスタートをきる。
 出会いと別れは人生のつきもの、
その繰り返し。 
 『行かないで私の側にいて欲しい』 
『遠い所じゃなく車で会いに行ける距離で
就職して』
『私も連れて行って』
 自分の母という立場を考えず
色んなワガママを言ってみたかった。

就職して遠くに行く事でもう休みの度に会う事は無くなったし 寂しい、会いたいと言ってこっそり夜に会う事も無くなる。
体の関係、お互いに触れ合う事がなくなった。
 がっちり見えない糸で繋がっていたこの関係は私にとっては引っ越しで遠くに行った事により 一本紐が切れたような感じさえあった。  

 離れる事がいってみればこの関係をやめるきっかけになるんだろう、きっとそう。
 会えなくなれば私の必要はなくなる。
悲しい、寂しいけど仕方ない。
普通のおばさん、今までの母に戻らないといけない‥  そんな気持ちもあった。

 神様、私のいけない行動はこれで終わりになります。 このいけない関係は今だけだからダメな私をどうか許してください、そのうち終わります
終わらせますからそう願っていたあの頃から
2年以上がたっていた。

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