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私が思う近藤誠一プロの良さ

一昨年のMリーグ2021-2022シーズン 私は主にセガサミーフェニックスを応援していた。

基本的に多少濃淡はあっても、私は基本的にMリーグでは全8チームを応援する箱推しであった。しかし

2021シーズンの最強戦予選に出た茅森プロのどこか気まぐれな麻雀に惹かれ、その後新入団選手である東城りおプロの竹を割ったようなサバサバした麻雀に惹かれ、魚谷プロのスケールの大きい麻雀に惹かれ、セガサミーにどんどん惹かれていった。

しかし、唯一の男性選手である近藤プロのどこに魅力があるのか分からず、近藤プロの時だけはどうしても応援心が沸かなかった。

そんな折り、突然のできごとが降ってわいてきた。

私が最強戦ファイナルに関して発したツイートに近藤プロからいいねがついて、その後フォローされたのだ。

私は一も二もなく、それをきっかけに無条件に近藤プロを応援することに決めた。どこに魅力があるかなんて関係ない。自分をフォローしてくれたこと以上に応援する理由なんてない。たぶんそれは18歳の男子でも53歳の私でもあまり変わらないと思う。

しかし、2021レギュラーシーズンの近藤プロの成績は低迷した。

女性選手3人がポイントを稼いで、その稼ぎを食い潰すお父ちゃんという図式がどうしても当てはまってしまう風の吹かなさだった。

チームは2021年11月ごろから連続4着なし記録を作っていたが、年が明けてそれを破ってしまったのも近藤プロだった。

近藤プロは終盤に爆発する雀風である。

ある日近藤プロが4着目でラス親の局を迎えた。雀風からみても、ここで爆発してもらうしかなかった。

注目したオーラスの近藤プロの配牌を見て愕然とした。私でも一目で分かるどうしようもない配牌だった。

近藤プロはしばし考えて不要牌の中でも最も不要そうな么九牌を打ち出していった。

私は思った

あ~これでも一応手を作りに行くんだな と(当たり前?)

しかし、ほどなく誰かが上がってあえなく4着で試合が終了した。

正直、オーラスの配牌が配られた時点で、もう4着は確定したようなものだったので、すでに私の興味は既にラスインタビューに移っていた。

そして、ラスインタビューではインタビュアーのまつかよさんをちらっと見て

何とかしようとしたけど・・ねぇ

とだけ言ってまつかよさんをちらっと見て笑いを誘い、期待通りの面白いラスインタビューを見せてくれた。

近藤プロは娘(女流3名)に対してダメ親父的キャラとなっていた

近藤プロが当番の日は出稼ぎの日とされ、4着になってしまうと #出稼ぎ失敗 という意味不明なワードがTwitterトレンドになったりしたこともあった。

そしてレギュラーシーズン終盤に近藤プロも復調を見せたが、茅森プロの好成績がチームで大きく突出したことが大きく、セガサミーフェニックスは5位でレギュラーシリーズを通過する。

セミファイナルのフェニックスはボーダー争いのぎりぎりの戦いとなった。

第7節に魚谷プロ、茅森プロが2着・4着を引いた時のチーム順位はセミファイナル落ちとなる5位。4位のPiratesとは70pt以上に開いた。

その流れを変えたのが第8節の近藤プロの連投だった。結果は1着・3着だったが貴重な47.8ptをチームにもたらし、その後茅森・東城・魚谷・近藤の順番で2・1・3・2位の成績でまとめ、4位でファイナルシリーズに進出する起点になった。

2021-2022シーズン ファイナルシリーズ 12試合の短期決戦

第1節から近藤プロが連投しトップ・2着の好成績を持ち帰り、チームはいきなり2位に躍進した。

これに呼応した茅森プロと東城プロが第2節で2着・トップを決めてチームはついに首位に浮上。

第3節こそ魚谷プロ、東城プロで3着・4着となってしまい2位に後退するも、チームに暗雲が立ちこめたとき、それを救ったのはやはり近藤プロだった。

第4節は近藤プロが登板して2着で連帯。バトンを受け取った魚谷プロは東3局にはラスに落ちたが南2局で2000・4000の上がりを決め、オーラスでは内川プロ・多井プロ・魚谷プロの3人テンパイを制し、大きくトップを独走していた寿人プロをぎりぎり捉えた。魚谷プロは僅か100点差逆転して値千金のトップを獲得。チームを再度首位に浮上させたのだ。

第5節は引き続き魚谷プロが2着で連帯、茅森プロも同着2着に入ったがサクラナイツ堀プロが足を負傷する中で渾身のトップを獲得する。サクラナイツはフェニックスを再逆転してフェニックス2位でファイナル最終日となった。その差はわずか2.6pt

最終節の第1試合はもはや当然とも感じられる近藤プロが登板。しかし試合はAbemas白鳥プロとKONAMI伊達プロの激しい戦いが繰り広げられ4着やむなしの展開に。なんとかオーラスで着順は変わらないものの1000・2000ツモして素点は少し回復させる。

私はその1試合目の戦いを見て、近藤プロの調子が良いようには見えなかった。今から考えればファイナルの過密日程で登板がかなり重なっていた。

この時点でサクラナイツにポイントを27.5pt離されたが、順位点で20ptの差がつくため、第2試合に相手チームより上にいった方が勝つ。いわゆる着順勝負という状況に。

最終戦に登板したのはやはり近藤プロ。連投策となった。

一方、サクラナイツは内川プロから堀プロに託された。

試合は先に堀プロが上がりを決めフェニックスを突き放すが、東4局に8400点持ちまで点数を減らしていた近藤プロがフリテンリーチを敢行し、これを見事にツモ上がる。土壇場で渾身の4000・8000倍マンをツモって25700点持ちの2着に浮上する。

一方サクラナイツ堀プロは9100点持ちの4着目。このままいけばフェニックスが初優勝を決めることができる状況で南場に入った。

しかしここから堀プロの怒濤の追い上げが始る。

南2局に3000・6000の一発ツモを決めて3着に浮上。持ち点の関係でこのままいけばぎりぎりサクラナイツが優勝となる。

オーラスを迎えた段階で近藤プロが1800点差で堀プロをリード。何点でもよいので近藤プロが上がればフェニックスが優勝。堀プロはノーテン罰符が減算されると優勝の座から滑り落ちてしまう。

2021シーズンの結論を出す試合のオーラスの一局。ここで上がりを決めたのはサクラナイツの堀プロであった。2000オール。次の局でも7700を決め、実質的に試合を決めた。

サクラナイツが優勝を決めた。

フェニックスは2度目の準優勝。最後の1000点が遠かった。

近藤プロはあと少し手を伸ばせば優勝がつかめるところまではいってくれた。誰も近藤プロを責めることはできなかった。

今から考えれば近藤プロは終盤に登板が重なったうえでの連投。体力面でもきつかったと思われる。私は魚谷プロが出場した方がよいとも思ったが、近藤プロに頼らざるを得ないという判断が下されたのなら、その時点で優勝はチーム力で優れるサクラナイツに傾いていたのかもしれない。



時は経ち翌シーズンになった

2022-2023シーズンの近藤プロは-195.9pt、32人中28位という成績となりチームもレギュラーシリーズ敗退で終了した。

近藤プロはシーズン中盤で長期試合出場が途切れる時期もあった。

その欠場は体調が理由なのか、最高位戦の仕事の関係なのかは分からなかったが、どことなく元気を感じなかった。

そしてシーズン終了後に近藤プロの勇退が発表される。チームからは強い慰留があったが、続投を固辞したとのことであった。幸いなのは監督としてチームに残留してくれたことだった。

私の2023シーズンにおけるフェニックスに関するツイートはめっきり減った。

雷電関係が多い私のツイートに近藤プロのいいねがつくこともなかった。

私の雷電関係のツイートが多すぎてミュートされたかもしれない。それも仕方ないか。と思い、シーズンも終わった。

近藤プロの退団を告げるツイートにもいいねを押すことができなかった。

明らかに体力的に心配そうな近藤プロ。心のどこかでは仕方がないと思いつつも、どこかやはり残念でもあった。

近藤プロはオカルト派の雀士ではない。私は知らないが一時はこてこてのデジタル派の雀士だったようである。

私が好きな近藤プロの言葉がある

魂はないんです でも魂は込めて打っています

という最強戦にゲスト出場したときのコメントだ。

近藤プロほどの雀歴があれば、どんな理不尽な打牌であっても、どんな幸運なツモであってもそれほどの感情を揺さぶられることはないとは思う。

しかし、それを視聴者にわかりやすく届けてくれるのが近藤プロだった。

最後の裏ドラをめくる時の命からがら感は本気なのか演技なのかもう分からない

近藤プロの価値は試合の中だけではなかった。

例えば、2022-2023シーズンに魚谷プロが九蓮宝燈を目指して親ハネテンパイを拒否する試合があった。

その試合後のTwitterのスペースで魚谷プロが近藤プロは分かってくれると思うと話していた。

魚谷プロが目先の勝利ではなく役満を追えたのも、大きく打って大きく勝つという理念を持つ近藤プロが控え室に居たことも少しはあったと思う。

茅森プロとは団体も同じで茅森プロの理解者であり、気心の知れた仲間であり、良き飲み友達だった。

新人だった東城プロもお父ちゃんと慕い、すぐにチームに馴染むことができた。(たぶん)

2021シーズンにフェニックスの3人娘が活躍したのも近藤プロが大きな目で娘たちを見守り、あえてダメお父ちゃんの役割を引き受けて、3人娘が自由にやりやすい環境を作ったようにも見えた。

女性の中にいる男性一人というのはきっと難しかったに違いないと思う。

フェニックスは全8チーム中唯一女性3人を要するチーム。そのチームが上位に進出するには女性陣に120%の力を発揮してもらうことが必要でもあった。

近藤プロの麻雀界での立ち位置なら、近藤プロがトップで君臨し、女性陣を上から見ることもできたと思う。しかし、近藤プロはそういうことをしなかった。

良い意味で女性陣に尻に敷かれることのできる男性であった。

客観的に見て、麻雀界というのはどこか昔の雰囲気を残している。残念ながら、ある程度の男尊女卑というものが存在しているようにも思う。

日吉プロが時折「男だろう!引いてみろ」と実況するが、それを聞くたびに麻雀界っていうのはまだそんな文化が残ってるんだな~と思ったりする。

最高位戦の要職を務め、もっとも権威を振りかざして良い立場にも関わらず、女性3人を立てた。

魚谷プロのことをフェニックスのエースとTwitterで堂々と書いていた。

それだけのチームの下支えをしながら、2021のファイナルシリーズではあと一歩というところまでチームを優勝まで引っ張ってくれた。

そういう素晴らしいプロ雀士だったと思う。

そして近藤誠一のことを好きなのはチームメンバーの女性だけではない

まつかよさんも近藤プロのことが大好きでした。(たぶん)


世の中の女性もその魅力に気づいているのだ。



近藤プロは選手としてのフェニックスの選手の立場から身を引いてしまい、世間の関心は近藤プロの後任に移っていた。

私は近藤プロに何らの感想も思いつかないまま、日々のフォロワーのツイートを目で追っていた。

その中で最高位戦の醍醐プロがフェニックスポーズを求めに応じて決めている写真に目がとまった。

私は近藤プロがもし退団するときがあれば、後任は醍醐プロしかいないと常々思っていた。

理由は実力もあるが、なにより近藤プロが持っていた中性的な柔らかな雰囲気を持ち合わせた数少ない雀士だと思っていたからだ。

だから、醍醐プロがフェニックスポーズを決めた写真を見たときはあぁ、やっぱりそれが一番だな。と思った。

私はその写真が載ったツイートを引用リツイートした。醍醐プロこそフェニックスの後任にふさわしいという思いでのリツイート。

ほどなくしてツイッターの通知で何人からのいいねがついたことを知った。賛同してくれる人が居るんだと思った。

その日夜の仕事を終えて着替えをしていたときにスマホの通知画面に目がとまった。

忘れかけていた近藤プロからのいいねがついたのだ。

ミュートはされていなかった。笑

そして私は思った。

このツイートを近藤プロがいいねしていいのだろうかと。

こ、、これは 醍醐さんフェニックス ありますか?


<2023.06.11 PM11:00加筆>

本日セガサミーフェニックスファンミーティングが行われておりました。そこで近藤プロが退団の挨拶をされ、各チームメンバーからも近藤プロへの思いが語られました。

その中で魚谷プロは感極まってコメントができないという感じになってしまいましたが、落ち着いてから話されたことで印象に残ってことだけ加筆したいと思います。

まず、2019シーズンにMVPを獲れたのも近藤プロの麻雀を自分の麻雀に取り入れて麻雀のフォームを変えたことを挙げられていました。そして印象に残ったこととして2021シーズンのファイナルの最後の近藤プロの連投を挙げ、そうせざるをえない自身の成績になってしまったこと、そして、優勝して近藤プロをスターにできなかったこと。それを残念に思っていること。そのため、今後できる限り早く優勝してその優勝を近藤プロに届けたいこと。その思いを語られていました。

魚谷プロは日本プロ麻雀連盟の所属で、近藤プロは最高位戦日本プロ麻雀協会の所属。所属も年齢も性別もまったく違う2人。しかし、この2人にはいつしか誰も邪魔できない堅い絆ができていたようです。

2021シーズンのABEMAコマーシャルに入る前の各選手のカットにおいて近藤プロのコメントは「麻雀で大切なことは他の3人への思いやり」と語られていました。私は正直この意味が完全には理解できていないのですが、チームメンバーへの5年間にわたる思いやりは限りなく大きかったことは確かだと思います。

<加筆終了>


さて、私も一ファンとして、近藤プロの5年間のフェニックスとしてのMリーガーの戦いにおつかれさまと言いたいです。

正直まだまだやれるとも思うけど、潔く身を引く姿もかっこいいと思います。

誠一さんの2021ファイナルシリーズ 渾身の4000・8000は忘れません。

5年間おつかれさまでした!

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