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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#17【1月第4週】

Day63 何かありましたか?


1月24日 第1試合

2連勝中のドリブンズは個人2連対中の村上淳、格闘倶楽部は今季15戦目の伊達朱里紗、ABEMASは個人2連勝中の白鳥翔、サクラナイツは日を跨いで連投となる沢崎誠。前節は多井プロを下してトップを取っている。

今日も沢崎プロの勢いが止まらない。

東1局

村上プロはヤミテン。伊達、白鳥プロは高打点の聴牌まであと少し。沢崎プロのみ。手はばらばらだった。

中盤で両面・両面のイーシャンテンになった白鳥プロだったが、手が前に進まず終盤に至る。少なくとも聴牌して親番をキープしたい。

ツモは最終巡目に入る。その前に、白鳥プロの上家の伊達プロから3pが打たれる。

ポン

・・・?

全く上がりの目を残していない白鳥プロの下家の沢崎プロが鳴いた。

・・・

沢崎プロのポンは、白鳥プロのツモ番を飛ばすためだけのポンだった。

伊達プロが最終自摸を切って流局となった。

沢崎プロのポンで村上プロに流れたツモは5m。仮に白鳥プロがそのまま5mを自模っていたらテンパイ料をもらい、親番を続けていたはずだ。

これが麻雀ということを白鳥プロの先輩として教え込む沢崎プロ。(なのか?)

早くも「有効」を取った沢崎プロ。「何かありましたか?」と言わんばかりに、ひょうひょうとしている。

東2局3本場

白鳥プロは早々2巡目にリーチをかけた。待ちは4・7s。

その時沢崎プロの手には4・5・6・7sがあった。他のターツが面子になれば4か7sは出ていくはずだ。

まず萬子のメンツが完成した。これで4・7sどっちかを切る。

沢崎プロ、考えている。

御年67歳の思考回路が何らかの危険を察知したのか?なぜか切らない。

筒子のターツを壊した。

なぜ?

その前に無筋の5mは切ったのに、4・7sは切らない。

白鳥プロは早々の2巡目リーチだったが、今や捨て牌は2段目が終わろうとしている。

そこで沢崎プロ6sをチー。

ついに、4・7sを両方使ってテンパイしてしまった。

100歩譲って、ここまでは良い。

万一。万一ここで、沢崎プロが逆転して上がったら、2巡目にテンパイしていた白鳥プロにひどすぎる。

沢崎プロの待ちは5・8s

掴んだ。

こともあろうか、白鳥プロが5sを掴んだ。

全てを見ている画面の前の視聴者は、白鳥プロに同情したと思う。

試合は沢崎プロがトップを獲得して今季8勝目となる2連勝を決めた。


1月24日 第2試合

沢崎プロが日を跨いだ連投で連勝したサクラナイツは内川幸太郎、1戦目白鳥プロ3着を挽回しに行くのはショーマツのマツ、松本吉弘。格闘倶楽部はここ4戦で4着3回となかなか浮上できない佐々木寿人。ドリブンズは村上プロ4着を挽回すべく園田賢が登板。

試合は内川プロが東4局で仕掛けて南・発・チャンタ・ドラ1の8000点をゲット。

南1局にも1・4・7pの3面待ちから4000オールをつもり上げ、試合を決めた。

サクラナイツは沢崎、内川のコンビで同日連勝を飾った。

寿人プロは東1・東2局と放銃。東3局では園田プロに頭ハネされ、南1局はリーチするも、内川プロに引き負ける。南2局でダブ南暗刻手をあがったがこれが唯一のあがり。南3局で仕掛けて混一色を聴牌するも園田プロに押し切られた。

寿人プロ、まさかの連続4着で、個人9敗目はリーグ最多。チームも6位に転落し、7位ドリブンズに43.8Pt差まで詰め寄られてしまった。

1/24 2G 終了時点のチーム順位

Day64 強く 美しく 潔く


1月25日 第1試合

風林火山から勝又健志、フェニックス直近3連対している茅森早香、パイレーツは直近5連対と好調の小林剛、雷電は10月28日以来勝利がない本田朋広が登板した。

茅森プロは4着目でゲームを進めたが南3局で2000-4000をあがって2着目に浮上。トップ本田プロまで9000点差。

オーラスではマン自摸でトップを逆転できる位置まで回復。そして配牌も悪くない。4巡目にドラ中をポンして、早くも3・6・9sの3面張でテンパイ。自模れば逆転だ。

と思ったのもつかの間、小林プロから3sが打ち出された。

・・・・

動かない。

小林プロからの出上がりには応じない茅森プロ。あくまで自模りにいく。出上がりだと1000点足りない。

しかし、その後、なかなか当たり牌を自模れず、延々と続く茅森プロのツモ切り。残りの三者もさすがに、聴牌濃厚と踏んだか。

11巡目にまた小林プロにピンチが来た。今度は9sを掴んだ。

今回はかなり時間をかけて考えている。が、切った。

9s

・・・

ロン

茅森プロ。今度は上がった。

もう、このあたり手を打とうということか。茅森プロの割り切りというか、決断はいつもはっきりしていて清々しい。

トップは1000点差で逃げ切った本田プロとなった。

この日の解説はABEMAS松本プロ。本田プロ38歳・松本プロ30歳とやや離れているが、プロに合格したのは本田プロが2012年、松本プロが2015年と近い。

その松本プロが本田プロのトップインタビューの後に解説席でこう語った。

「うれしいは、うれしいけど、やはり現状は理解しつつ、雷電を応援してくれている方々も悔しいと思うんですけど、やっぱり一番悔しいのは選手で・・まだ、全然こんなものじゃ済まない。という闘志を僕は感じました」

本田プロの苦闘を理解する、同期に近い松本プロだからこその一言であり、エールであった。


1月21日は多井・沢崎の勝った日だが、ひっそり黒沢プロが連続4着をひいていた。黒沢プロは以下のツイートでファンにメッセージを届けている。

それに対して宮内こずえプロをはじめ、多くの女流プロからのリプライがあったが、その中にフェニックス魚谷プロからのリプライもあった。

チームも違う2人の雀士の間に、一つの堅いつながりがあることをファンも知ることになった。

そして、2人はその3日後に同じ卓に座った。

1月25日 第2試合

二人の他には、パイレーツから連投となる小林剛。風林火山は年末、年始やや不調の二階堂亜樹が登板。

東1局

まずは先制リーチの黒沢プロに、魚谷プロが3sを勝負して放銃。黒沢プロ8000点。

気のせいか、黒沢プロにいつもと違う雰囲気を感じる。

東3局でも2600オールを決めるが、南1局で親番の亜樹プロが4000オールを2回決めて6万点台のトップ目に立つ。

しかし、黒沢プロは諦めない。

南3局1本場

5巡目でテンパイ。5・8m。場には薄いが、黒沢プロは迷わずリーチに出た。リーチで打った白がひときわ高い音で響く。断固たる何かを感じる。

その右手は8mを引き寄せ、そして、真下に叩きつけられた。

3200オール。

強く・美しく・潔く

これが黒沢プロの流儀。

この戦いぶりに、見ているこちらも熱いものがこみ上げた。

南3局2本場、黒沢プロは亜樹プロに放銃し、トップは潰えたが、その戦いは熱かった。思えば東1局に魚谷プロの3sを上がった時から感じていた何かは、このままでは終わらせないという、黒沢プロの決意だったのかもしれない。

この試合で亜樹プロが自身の開幕戦以来の2勝目をあげた。長く2着が続き、その後のトップがなかなか取れなかった中のうれしいトップとなった。

1/25終了時点


Day65 冷静沈着な男の危機


1月27日 第1試合

サクラナイツは前回初勝利をあげた岡田紗佳、パイレーツは6連続連対、4戦トップと強さを見せつける瑞原明奈、ドリブンズは前節快勝の丸山奏子、雷電は黒沢プロの2着を引き継いだ瀬戸熊プロ。

しかし、瀬戸熊プロはかなりきつい展開となった。

東1局こそ岡田プロから2600を上がるが、これが最後の上がりとなった。

東4局ではリーチするも流局し、南1局では瑞原プロを追いかけてリーチに出るが、瑞原プロに引き負け。南2局も先制リーチするが、やはり瑞原プロがこれを流す。南2局2本場では丸山プロのヤミテンに放銃。南3局では岡田プロとのリーチ合戦で敗北。南3局2本場で先制リーチするが瑞原プロが安手でこれを流す。南4局の親番でもリーチをかけて勝負に出るが岡田プロに放銃。

この流れは一般人には理解しがたいものがある。

試合はやはり瑞原プロがトップを決め、個人ランキングで沢崎プロを抜いてついに首位に躍り出た。

瑞原プロの平均打点はこの段階で32人中32位に位置している。これは、にわかに信じられないスタッツである。


1月27日 第2試合

雷電は前戦トップを決めた本田朋広。ドリブンズは直近4試合で3トップと強さを見せる鈴木たろう、3連勝中のサクラナイツは沢崎誠、パイレーツは小林剛が登板した。

東4局

4着目小林プロ。手は着々と進み、早くも5巡目で七対子、もしくは二盃口のイーシャンテンまで育つ。なかなか見ない、きれいな仕上がりだ。しかも巡目もかなり早い。

早くも6巡目に7sをツモって一盃口確定し、テンパイ。

5mを切ってリーチ!

5mに手が伸び

・・

ない。

6mを握った

リーチをかけようと、その6mを河まであと5cmというところまで持っていく。

リーチモーションは軌道に乗っている。

・・・

止まった

ぎりぎり止めた。

そう、6mを捨てたらテンパイではない。リーチをかければ誤リーチのチョンボ。よかった。切らなかった。

改めて5mをゆっくりと切ってリーチを宣言した。

そして、裏を乗せて倍満を自模り上げて、4000−8000。4着目から2着目に浮上した。

結果オーライ。小林プロはやや微笑んでいた。

沢崎プロは全てを察したのか、胸に手を当てて「びっくりした~」という表情をした。

試合は東場にドラ3手を2回上がったたろうプロがトップを獲得。先週はドリブンズが1日2勝をあげたが、熱も冷めないこの日、第1試合の丸山プロは素点を守っての3着。そして、2試合目でトップを獲ったのは大きかった。

ドリブンズ、6位に浮上。

1/27終了時点

Day66 二階堂姉妹


1月28日 第1試合

フェニックスから近藤誠一。ここ3戦連続3着のABEMASは多井隆晴。格闘倶楽部は滝沢和典。風林火山は前回久々の勝利を飾った二階堂亜樹が登板した。

格闘倶楽部は今年に入って勝利がない。1月は14戦で7ラスとかなり厳しい。

その中にあって滝沢プロの4戦中3戦で2着は悪くない。しかし、本人としては到底納得できるものではなかったようである。

ツイートされた1月20日はトップたろうプロの2着で終えていた試合があった日。上記の通り激しく自分を責めている。

その滝沢プロが試合で見事にトップをとった。

オーラス、2着目の近藤プロにハネ直条件が残る中で自らリーチ。リスクもあるが、ここはさらに加点しにいった。そして、力強く4000オールを上がり、2着以下を引き離してトップを決定的にした。

局後のツイートではこの南4局について、やや反省気味にツイートしている。

「多井さんの仕掛けに抜いてまで鳴かせにいくかどうか。自分でアガれそうだと判断しましたが微妙なラインでした。」

麻雀は「修行」だと言う滝沢プロ。なかなか自分に厳しい。


この試合では南3局でラス目の多井プロが、3着目の亜樹プロから5200を直撃。南4局で2着目の近藤プロから8000点を直撃。土壇場で2着に浮上して強さを見せた。


1月28日 第2試合

ここ6戦勝利がないフェニックスは茅森早香を起用。ABEMASは松本吉弘。格闘倶楽部はタキヒサリレーの佐々木寿人。風林火山は直近3試合連対がなくやや調子を落としている二階堂瑠美を起用した。

そしてこの日は瑠美プロが久々の1勝をあげた。

東3局の親番で4000オール。東4局で3000-6000でトップに駆け上がり、南場は点数を守りトップを獲得した。

この試合のターニングポイントとして挙げられるのが東3局ではないだろうか。

東1局で松本プロが3000-6000をあがり、東2局でも2000オールを決めて波に乗る。東3局でも2・5・8sの3面待ちでリーチをかけ、これが山6。いかにも自模りそうだ。

一方、親の瑠美プロはタンヤオ狙いの2フーロながらまだイーシャンテン。しかも5mを2枚必要とする苦しい形。なのだが、松本プロのリーチ宣言牌が5m。まずこれを鳴けた。

テンパイ。待ちはやはり5mだ。手牌は4枚で中張牌だけ。松本プロを凌ぎきれるのか?

しかしだ。直後に茅森プロから松本プロの現物として5mが切られ、これを瑠美プロが捉えた。

ロン

親の30符1飜1500点。

捨て身でとりに行った1500点がきっかけとなり、次局4000オールをあがり、松本プロに接近。東4局で3000-6000を上がりトップを逆転することになる。

これが妹の亜樹プロなら3副露してまで1500点を取りに行く姿はあまり想像ができない。

麻雀とは高い点数を取るゲームではなく、トップをとるゲームなんだな。と思わせてくれる瑠美プロの戦いぶりであった。


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