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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#12【12月第4週】

Day45 スーパーヅカン


12月20日 第1試合

サクラナイツは直近2戦で連対を外して一息の堀慎吾、パイレーツは前節日向プロに立ち向かうもラスに沈んだ石橋伸洋、ドリブンズは前節歯車がかみ合わずラスを引いた鈴木たろう。

フェニックスは魚谷侑未が登板。直近3日間で2つのタイトル(女流桜花・鸞和位)を獲るという絶好調ぶり。保護猫ビスコのパワーはMリーグ12月6日のダブドラ3枚での倍満トップだけでは収まりきらず、他の棋戦でも存分にパワーを発揮していた。

試合はトップが石橋プロ→堀プロ→たろうプロと移動してオーラス。2着目堀プロはトップのたろうプロと8200点差。そこから700点差で魚谷プロの並び。2人には満ツモのトップ条件が残っている。

さて、2着良しのムードもあった魚谷プロだが先に平和を聴牌し闇テンに構える。2着ならどこから上がってもOK。

そこに、堀プロの先制リーチが入った。だが、山4ある上がり牌をなかなか自摸れず巡目は進む。残り6巡。やはり自模れず。

残り4巡となって、魚谷プロがドラ6pを引きいれて打点アップ。リーチをかければ満ツモでトップ逆転だ。

しかし魚谷プロの手が止まる。リーチをかけた場合、リー棒1000点支払で、再度3着に落ちる。しばし考える魚谷プロ。しかし、リーチを敢行した。ここまで来たらトップを狙うつもりだ。

と思った次の瞬間、堀プロから当たり牌の2sが打たれた。

ロン

魚谷プロが宣言する。。ツモ条件では?

と、思われた。が、堀プロからリー棒が出ていたのだ。魚谷プロとたろうプロの点差は8900点。マンガン8000点に堀プロのリー棒1000点を加えて、100点差でトップを逆転していた。

このような100点刻みの条件を瞬時に計算しながら手を組み続けられる麻雀プロの頭脳には驚かされる。

そして、100点差。

たろうプロの魚谷プロの上がりを見つめる表情。この表情を今年何回も見た気がする。たろうプロはいつもオーラスで信じられない上がりに遭遇している気がするが、気のせいだろうか?

この試合、パイレーツは前節でラスを引いてしまった石橋プロを再度送り出したが、今回も厳しかった。いや、厳しすぎた。

東場でトップに立ったものの、南1局に勝負手が入ってしまい堀プロに放銃。南2局ではリーチしているたろうプロが捨てていた7pを待ち牌にしてリーチをかけたが、そのたろうプロが7pを卓に叩きつけてツモを宣言している。

なぜ?

なんと、7pのフリテンリーチだった。こんな不運がありますか?

南3局も魚谷プロの山一の上がり牌を掴んで放銃。そしてラス。

人はこういう状況になった場合、どうすれば良いのでしょうか?


12月20日 第2試合

ドリブンズは直近2試合連続3着と反撃はいつ来るのか村上淳、パイレーツから10万点を含む3連勝中の朝倉康心、フェニックスは6試合トップから遠ざかり、やや低迷期に入っている東城りお、サクラナイツは前節最終手番で赤5mを自摸ってトップを決めた内川幸太郎が登板。

試合は東場で村上・内川・東城プロが大物手を上がる乱打戦になったが、南場で東城プロが抜け出し、大きなトップを獲得。2着にはMリーグタイ記録の4連勝がかかっていた朝倉プロが入り連対を確保した。

この試合で印象に残ったのは東城プロが上がれなかった東3局。

先にリーチをかけたのは朝倉プロ。その後、東城プロも苦労しながらも七対子を聴牌。待ち牌選択では決して良いとは思えない1mを選択して闇テンに。その後、4s、中、7mなど微妙な待ちかえ牌を自模る。しかし、1mを替えずに持ち続けたまま、ひたすら自摸を切りを続けた。他家からすると、押し続ける東城プロからはただならぬ聴牌を予測さざるをえない。

しかし、実際は東城プロは手の内に朝倉プロへの安牌がなかったため、危険と思われた1mを抱えたまま押し続けていただけだった。そして、東城プロが押し続けているうちに、朝倉プロが上がってしまった。そのことを素直にインタビューで話していた東城プロ。いい人だと思ってしまった。一見無意味に見える一連の押し。ではあったが、振り込まなくてよかった。それも、立派な大トップの勝因となった。



Day46 天衣無縫


12月21日 第1試合

ABEMASは3連勝でチームをけん引する松本吉弘、格闘倶楽部はまる子トップの影で4着を引いていた滝沢和典、風林火山は2連敗、瑠美プロの復活に賭ける、雷電は1か月半の間、黒沢プロ以外にトップがない。ここは新Mリーガー本田朋広に期待を託す。

試合は滝沢プロがトップを獲得して、長らくトップに君臨していた風林火山からついにその座を奪取。格闘倶楽部は創設以来で初のチーム順位トップの記念すべき日にもなった。

滝沢プロは寿人プロが調子が上がらない前半戦、5勝を挙げチームをけん引。控室でもそのお茶目な性格でチームの雰囲気を盛り上げるなど、チームに欠かせないキーマンになっている。

風林火山時代に比べると、だいぶのびのびやっている気がするのだが、気のせいか?

瑠美プロは3着とはなったが南1局、七対子聴牌も聴牌時に、ちょっと考えて聴牌を取らずを選択し、そのまま流局した局があった。止めた牌はずばり本田プロの当たり牌。天衣無縫と呼ばれるとおり、押すときは押す。しかし、ガマンするところはガマンするのも瑠美プロ。流石です。

【天衣無縫】物事に技巧などの形跡がなく自然なさま。天人・天女の衣には縫い目がまったくないことから、文章や詩歌がわざとらしくなく、自然に作られていて巧みなこと。また、人柄が飾り気がなく、純真で無邪気なさま、天真爛漫らんまんなことをいう。また、物事が完全無欠である形容にも用いられることがある。九蓮宝燈の別称でもある。

出典 Wikipedia



12月21日 第2試合

雷電は前節9割方手に入れていた勝利を近藤プロに逆転され2着となった萩原聖人、風林火山は8戦連続2着を続ける二階堂亜樹、前戦はトップの瑞原プロに肉薄も逆転はならず、格闘倶楽部は一戦目のトップを引き継ぎたい佐々木寿人、ABEMASは前節今季初のラスを引いた白鳥翔が登板した。

タキヒサリレーの寿人。るみあきリレーの亜樹プロ。ショーマツリレーの白鳥プロ。対抗戦のようになったが、雷電は本田プロを引き継いだ萩原プロ。

雷電の状況は苦しい。ここで意地を見せてほしい。が、萩原プロ、東4局で勢い余って亜樹プロと白鳥プロの2軒リーチに対抗してカン6sで追っかけリーチ!「追っかけリーチは強い」と昔よく聞いたものだが、両面待ちの先行2人には勝てず、亜樹プロに放銃。いや、今の雷電にはこれがいい。黙って削られるより、勢いのまま打った方が見てて気持ちも良い。この局は一人で6回もリーチをかける元気っぷり。上がりも3回あった。なぜ3着だったのだろう。

トップは実質3000-6000、1回の上がりで寿人プロが勝利を決めた。タキヒサ連勝を飾り、格闘倶楽部が首位を守っだ。

とはいえ、卓上もさほど焼き尽くされず、魔王感はそれほどなかった。なので、ガラクタポーズもどこか控えめ。

気がつけば亜樹プロが2着。これで9戦連続2着はMリーグ記録。前戦で土がついた白鳥プロが4着でショーマツ連敗は痛い。



Day47 オリジナルな手順


12月23日 第1試合

ABEMASは前回ショーマツ連敗の借りを返すべく、多井プロが10日ぶりの登板。とはいえ多井プロも10月末に2勝目をあげたっきり、1ヵ月半勝利から遠ざかっている。りおみん連勝でプラス圏に突入したフェニックスはひさびさの近藤誠一。流れを変えたい風林火山は再度瑠美プロに賭ける。石橋プロが連敗し失速気味のパイレーツは2連勝中の瑞原プロが3連勝を目指して登板。

試合は東場の親番で多井プロが赤・赤のシャンポンリーチから、自模って4000オール。そのままトップを守った。瑞原プロは近藤プロを交わして2着を確保。

瑠美プロは流れを掴めず4着だったが、この試合で注目されたのは「オリジナルな手順」。

東4局で親の瑞原プロのリーチに瑠美プロ、全く手牌が育っていない上に、ド級の危険牌ドラの6pを持ってきてしまう。ここで打牌に選ばれたのが6pのターツである8p。同じ危険牌なら、他にも浮き牌はあるが、この8pが選ばれた理由ははっきりとは分からない。だが、一つ言えることはこの8pは当たらなかった。その後、8pを失い孤立していたドラの6pを重ねると、その後も無筋の7s・3sを続々押していく。そして、残していた孤立牌の2pに3pがくっついて聴牌。ここまできたら当然リーチだ。渋川プロをもって「この聴牌を入れたこと自体がスゴイ」と言わしめる手順。

瑠美プロ、親リーに強気に追いかけた。

だが、待ちの枚数は瑞原プロ4に対し瑠美プロ3と瑠美プロに分が悪い。さらに、瑠美プロの当たり牌だけが続々吸収されていく。

しかし、ここで最後の奇跡が。

瑠美プロがなんとツモ上がったのだ。

ツモ

瑠美プロが大逆転して上がってしまった。瑞原プロの親リー、一発目に無筋かつドラそば8pを切った瑠美プロ。これは天衣無縫の輝きが見えた瞬間であった。

しかし、私的に最も注目したのがこの局の瑠美プロの表情。

瑞原プロに親リーチを入れられた直後、自身がドラの6pを引いてきたときの瑠美プロの顔は笑ってました。「えぇ~?これはきつくない?」っていうニュアンスの苦笑いだったか。これは天才だからこその余裕がなせる業。瑠美プロの豊かな表情を楽しみたい場合、この局を見るとだいたい満足できるはず。



12月23日 第2試合

1戦目の勝利を活かしたいABEMASが多井プロの連投。流れを変えたい風林火山は勝又プロ。1試合目でややポイントを減らして再度マイナス圏が見えてきたフェニックスは、今もっとも勢いのある魚谷プロ。何とかプラス圏に戻りたいパイレーツは小林プロの登板となった。

試合は小林プロ曰く「誰でも上がれるハネマン」で勝利を飾った。多井プロも2位で連対。魚谷プロは最後に上がるも届かず3着。勝又プロは無念のラスでチームも連ラスとなった。この試合で気になったのほ東4局。小林プロが鳴き仕掛けして、ホンイツを7m単騎聴牌したところで、何の脈絡もないフリテンの9sを単騎の待ちに据えた場面。かなり違和感のある聴牌形。

インタビューでは、メンバーの勝又・魚谷・多井各プロに敬意を払ってのひと手間だったとのこと。石橋プロの赤切りといい、パイレーツってこういうの割とある気がする。



Day48 怒ってよい


12月24日 第1試合

ドリブンズは10日ぶり8回目の登板となる丸山プロ。前回は大量ポイント獲得に成功している。格闘倶楽部は高宮プロ。直近4試合3勝の格闘倶楽部だが、唯一高宮プロだけが園田プロにオーラス爆発に巻き込まれ、3着となっているので、この試合で流れに乗りたい。雷電は黒沢プロ。不調なチーム事情であるが、自身は直近4試合で2勝、2着1回、4着1回と復調気配。

女流対決となったこの試合、サクラナイツは岡田プロの登板となった。これまで着々と実績を積み上げてきた岡田プロが今年得点ランキング31位に沈み、Mリーガー32人中、唯一勝ち星のない状態に陥ると誰が予想しただろうか?10・11月は惜しい2着が見られたが、11月下旬からはトップどころか、常に苦しい戦いを強いられているように見える。

その岡田プロ、上がるには上がったが、裏ドラに全く恵まれず今回も勝てず3着。

高宮プロはまっすぐ攻め続け、トップも見える位置に居たが最後黒沢プロに押し切られ2着。

そしてトップは黒沢プロが獲得。チーム事情を考えてか、ダブ東を一鳴きするなど今回も臨機応変に構えた戦いでトップを勝ち取った。

貴重なトップを獲った雷電。次の2試合目が非常に重要だ。



12月24日 第2試合目

雷電は萩原プロが黒沢プロのバトンを受け取る。ドリブンズは初戦のラス挽回の使命を負うのは、前回大トップを獲って、著書も出版して勢いに乗る園田プロ。サクラナイツはチーム的にも停滞の状態かつ、岡田プロの苦戦を受け挽回したい。その任を負うのはベテラン沢崎プロ。格闘倶楽部は今現在、滝沢プロとダブルエースと言って良い伊達プロが6勝目を目指す。

試合は園田プロが勢いそのまま連勝を決めた。

この試合で最も印象に残ったのはオーラスをトップで迎えた萩原プロだろう。2着目園田プロに1900点差。まずは5巡目で伊達プロが5・8sで聴牌。発のみ1000点で3着確保を承諾した選択。そして、園田プロも直後に聴牌。こちらはドラ絡みで超高得点手。萩原プロも好形の一向聴。

さて、伊達プロが聴牌する直前だが、萩原プロは5sを切っている。これは伊達プロの当たり牌だったのだが、実はこの当たり牌を伊達プロに放銃できていれば萩原プロがトップだった。とはいえ、巡目もまだ捨て牌一段目。萩原プロ自身が上がる可能性だって低くはなかった。

が、園田プロの勢いは本物だった。聴牌してすぐに伊達プロからすぐに6pが切り出され園田プロの上がりとなり、萩原プロを捲ってトップを獲得した。

この試合のハイライトはこの瞬間の萩原プロの表情。私は、初めて麻雀プロの本気の怒りを見た気がする。何に怒っていたのかは分からない。いや、怒っていないのかもしれない。ただ、萩原プロを応援していた身としては、この園田プロの上がりは見ているこちらも怒りを覚えた。そう。萩原プロは怒っていい。いや、ドリブンズだって苦しい状況には違いない。ただ、苦しさの度合いがドリブンズと雷電では格段に違う。全てが見えている視聴者としては、この試合ぐらい雷電に勝ってもらい、2連勝決めてほしかった。しかも、萩原プロがトップ取ったら、チームも活気づくのは間違いない。そういう意味であの萩原プロの表情。本気なのか、演技なのか分からないが、何というか、とても良かったし、共感できた。


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