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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#22【3月第1週】

Day83 やれんのか?


2月28日 第1試合

徳俵に足が乗っているドリブンズは、再度エース園田賢を抜擢。残り8試合に勝って、勝って、勝ちまくって波乱を起こしたい。。

そこに立ちはだかるのは高打点の茅森早香、目下3連勝中滝沢和典、トータルプラスポイントを維持する朝倉康心。

園田プロは開局後いきなり茅森プロの2600オールを被弾するが、東2局で赤2枚を内蔵してドラのカン4m待ちでリーチ。これで滝沢プロを80000点で直撃し、茅森プロを追う。

東3では滝沢プロに2000-4000をツモられるが、東4局で朝倉プロのリーチに中をしかけてドラ3の手を押していく。聴牌時の待ち牌選択では、リャンメンを選択できるにも関わらず3mを切り、2mをノーチャンスに見せかけて実はシャンポン待ちにするという技を使い、滝沢プロを直撃。8000点の加点に成功し、茅森プロを抜いてトップに浮上。

しかし、南場に入って茅森プロの高打点がさく裂。4000オール・1000オールと上がってトップ目に浮上し、園田プロは2着目に。

茅森プロの爆発を止めたのはここまで静かにしていた朝倉康心。2000-4000を自模り、南2局でも滝沢プロのドラ3手を撃破。園田プロを抜いて2着目に浮上する。

3着目となった園田プロだが、南3局、最後の親番で順調に手を進めテンパイ。ソーズの複合形からの待ち牌選択で純カラの1・4s待ちを回避。山に残る4・7sの両面待ちでリーチ。トップ目の茅森プロもカン5m待ちの役なしテンパイだったが、園田プロのリーチに降りた。これはいける。

しかし、降りようとしていた茅森プロに降りさせまいとツモが押し寄せる。ツモが効きまくり、形式ではあるが再度カン5m待ちで聴牌してしまう。そして、そのままひょっこりツモって300-500。園田プロが追い詰められていく。

ついに、南4局オーラス。親番を失った園田プロ。トップとは20700点差。2着目朝倉プロとは6800点差。なんとか必死に手を進める。しかし、ここで4着目に沈んでいた仕事人滝沢プロが捨て身の一太刀を打ち込む。

まさに残り1巡。朝倉プロの連荘間近というところで、茅森プロの待ち牌を読み切り、あえて当たり牌の1sを打ち込んだ。

鳴き3色の片上がりで待っていた茅森プロは、それに呼応するかのようにロン宣言し3900点を上がって試合を終わらせた。

ドリブンズ園田プロ3着。

ただし、目下のターゲットである格闘倶楽部が4着だったことで、ポイントは幾分縮小した。

フェニックス2位浮上
ドリブンズは6位まで330.2pt

2月28日 第2試合

第1試合オーラスで捨て身の差し込みを成功させた滝沢プロのバトンを受けるのは伊達朱里紗。ここでドリブンズにトップラスを決められるようだと情勢はにわかにざわついてくる。

一方、第1試合で痛恨の3着となったドリブンズは、前節で渾身の8000オールを決めた村上淳。借りを返したい。

フェニックスは茅森早香の連投、パイレーツは小林剛が登板。

試合は、東1局から伊達プロがリーチに出るが、伊達プロの現物を利用した村上プロが8000点を小林プロから上がり、次局も2000オールを決めてトップに躍り出る。小林プロがいきなり大きくへこんだ。

ここから伊達プロのターンが始まる。

東3局で2000-4000を決めて自分の親番に持ち込み、南4局で2600オール、2900と上がり続けトップ目に立つ。

南場に入り、この時点でなんやかんやでダントツのラス目になっていた船長小林プロが、4000オールを上がって反撃ののろしを上げる。

東1局以降村上プロのターンがなかなか来ない。南2局村上プロの親番も、小林プロが500-1000であっさり流してしまう。

南3局でも小林プロは1300-2600を上がり、ついに伊達プロと2000点差まで詰め寄る。

南4局の段階で3着目の村上プロとトップ目伊達プロの点差は19000点。村上プロがトップを獲るには倍ツモが必要になる。

しかし、局が始まったばかりの3巡目、4着目の茅森プロがリーチを宣言。この早すぎるリーチに小林プロが捕まり試合が終了。

茅森プロは上がっても4着変わらずの手だったが上がり、ドリブンズのチャンス目を摘んだ。

伊達プロは小林プロの猛追をかわして個人8勝目。個人得点ランキングではチームメイトの滝沢プロを抜いて4位に浮上。残る上位は瑞原・松ヶ瀬・沢崎の3名。

第1試合で捨て身の差し込みにいった滝沢プロのバトンを見事に結果につなげた。

”やれんのか?”

という自問には

”やれますよ!”

というところを結果で見せつけた。

ドリブンズはまさかの3着・3着でこの日最も点数を減らしたチームとなってしまった。結果的に村上プロは東2局0本場以降上がれなかった。6位ターゲットはサクラナイツとなり、404.8pt差を残り6試合でひっくり返さなければならないという、ウルトラC難度の結果が要求されることになった。

格闘倶楽部ラス・トップだが5位に浮上
パイレーツは2・2着でポイント+
茅森プロもトップ・ラスだが+

Day84 最速最強vs小さな天才


3月1日 第1試合

サクラナイツは沢崎誠。4連続2着でポイントを重ねて、現在個人3位。ABEMASは日向藍子。風林火山は松ヶ瀬隆弥。

雷電から瀬戸熊直樹。前回登板時の4着で、個人成績でずっと最下位を独走していた村上プロに抜かれ32位と最下位に転落した。

シーズン序盤は雷電で唯一プラスを保っていたが、最強位を獲得する前から猛烈な不運に見舞われはじめ、12月12日に最強位を獲得してからも、4・3・2・3・4・2・4・3・4と不調。前回勝利は11月2日であり、4カ月間勝利から遠ざかっていることになる。最強戦の金本委員長ではないが、このままだと原佑典プロに指ごとその座を奪われかねない。

まず東1局、瀬戸熊プロがリーチからツモ上がり開局早々3000-6000を決めるが、東2局は松ヶ瀬プロ、東3局は沢崎プロと安手ながら、しっかり上がりを決める個人ランキング上位勢。

南1局に沢崎プロのえげつない手がさく裂する。

ドラの9pを暗カンして場を凍り付かせてからリーチ。8巡目の山6リーチを自模るのは容易いことか、しっかりツモって3000-6000。沢崎プロがトップに立ち、瀬戸熊プロ2着目に順位を下げる。

ここまで一人押されていた日向プロが、松ヶ瀬・瀬戸熊両プロとのリーチ合戦に勝って8000点。息を吹き返す。

南3局を2000点で上がった瀬戸熊プロは、南4局オーラスをトップ沢崎プロと2200点差で迎えた。

南4局1本場、ダブ南をポンしてハネマンの混一色を完成させた日向プロ、8600点まで点数を減らすも何とかリーチに辿りついた松ヶ瀬プロに対し、ドラ西ポンでハネマン聴牌した瀬戸熊プロ。誰が勝つのか?

最後は、勝負に出た日向プロから3sが打ち出され、瀬戸熊プロが上がりを宣言し牌を倒した。

12000

試合が終了した。

”ふわっと打たない”

瀬戸熊プロの左手には心に留める一言が書かれたテープがあった。

トップインタビューで、出版された黒沢プロの渚のリーチの宣伝がやっとできた雷電。最後もRMOを決めてくれた。

正直、ここまで負けが込んでRMOもなにもなくないか?という気持ちも若干するが、負け続けても必死に打って、自らへの戒めを書いてでもトップへの執念を燃やす男の生きざまには感じる部分がある。

まだ老け込む歳ではない。瀬戸熊プロはMリーグで”クマクマタイム”をさく裂させるタスクがまだ残っているし、何よりユニバースに優勝を届ける重要任務が残っている。

風林火山がポイントを52.4pt減らしたが
松ヶ瀬プロはMVP争いでも後退した
6位は再び格闘倶楽部に

3月1日 第2試合

第2試合はABEMASから多井隆晴、サクラナイツから堀慎吾と4着回避率で首位を争う2人の直接対決となった。風林火山は二階堂亜樹、雷電は黒沢咲が登板。

多井プロはこのまま不出場でも4着回避率のタイトルは確定しているが、あえて出場する男気を見せた。

試合は東1局から黒沢プロが8000点を上がり、トップに立ち、東3局で1300-2600、南4局親番で5800、4000オールと上がり、50000点を超える安泰のトップ目に。

東4局の段階で多井プロ25100点の2着目、堀プロは9700点持ちの3着目だったが、堀プロが亜樹プロのリーチに赤5sを掴んで引き気味の打牌となり、残り3巡というところで完全に安牌が切れてしまい放銃。8000点を失い持ち点1100のダントツの最下位に転落する。

堀プロの4着回避率タイトルに赤信号が灯る。このシーズン終盤でラスになったら自力での挽回はできない。

南1局堀プロの最後の親番は多井プロが全力で流しにいく。堂々の中のみの仕掛け。そしてテンパイが入る。

しかし、ここで亜樹プロにリーチが入る。多井プロは2副露しており、安牌がないこともあり、亜樹プロに対して気合の押しを見せる。

そこに多井プロが最も恐れる堀プロのリーチまで入ってしまう。

多井プロの積極策が完全に裏目に出た。手持ち牌が短く、安牌がない。

そして多井プロが一発で堀プロの当たり牌4mを掴んでしまう。

安牌がない以上、通れば3巡凌げる4mが選択され、打ち出された。「どうぞ上がってください」というセリフが聞こえそうな打牌でもあった。

そして堀プロがロンを宣言。一発がついて12000点。

今度は多井プロが4着目に転落。

息を吹き返した堀プロは、続けて2900、12000点と上がり、箱割れ寸前から、この奇跡的な追い上げで2着目に浮上した。

しかし、最速最強多井プロも死んではいなかった。

南1局3本場で8000点を上がって亜樹プロを箱下に沈め、4着から遠ざかり、南4局オーラスでは1000-2000を上がり1100点差で堀プロを交わして2着に浮上するという強さを見せて試合を終わらせた。

トップは黒沢プロ。雷電は開幕日以来の同日連勝となり、引き続き渚のリーチの宣伝にも成功。

注目の4着回避率争いはいろいろあったが、堀・多井プロいずれも4着にはならず、多井プロが首位を守った。

雷電が136.8ptの大量加点だが、
既存のマイナスが大きすぎた
風林火山はまさかのトップから4着に


Day85 ガマンしましたね


3月3日 第1試合

フェニックスは東城りお。前節瑞原プロを下してトップを取っている。ABEMASから白鳥翔。パイレーツから石橋伸洋。雷電から本田朋広。

2021シーズンも各チーム6試合を残す段階だが、チーム雷電の新Mリーガー本田朋広は-302.2ptで32人中29位。出場試合は22試合と少なくないが、チームからの期待に応えているとは言い難い。

残り6戦しかない中でのシーズン23回目の起用となった本田プロ。どんな戦いを見せるのか。

試合はパイレーツ石橋プロが東1局から3000-6000をあがり、まずはトップに立ち、東2局も石橋プロが白鳥・本田プロの大物手をかわして1300を上がる。

東3局の親番でも石橋プロがカン6sで先制のリーチを入れる。一方、本田プロも、この局はドラ3手を育てていた。そこに望外の4枚目ドラ3mをツモって後にこれを暗カン。石橋プロのドラも増やしかねないが、自身の上がりも見て勝負にいった。

この段階で東城プロが清一色テンパイしていたが、待ち牌3mの純カラが暗カンで判明。東城プロは赤5p入りの好形のテンパイを捨てて清一色に向かうという漢気を見せたが局半ばで夢は潰えた。

そして本田プロも5・8sでテンパイ。

この段階で石橋プロのカン6sは山1しか残っていなかったが、本田プロの5・8s両面待ちは山5残っていた。しかも打点も本田プロが圧倒的に高い。キング石橋、ピンチ!

だが本田プロも、この5・8sをなかなか自模れず残り1巡まできてしまい、そこで石橋プロに危険な無筋の3sを掴む。

本田プロの動きが止まる。何度も石橋プロの河を確認する。

本田プロは打点でも待ちでも石橋プロを圧倒していた。むろん3sが当たり牌でないことは視聴者しか分からないが、この場面はリスクを負ってでも勝負したい場面。いや、勝負してほしい。

実況の日吉プロ、解説の渋川プロ、本田プロの勝負の一打を待った。それは、画面のこちら側で見ている視聴者も同じだ。

ここはいってほしい!


本田プロの手が動いた。

3s・・

の上をスルーして、左端の方に手が伸びた。

え・・?

2p


いかんのか~い!!!

降りた

本田プロ、残り1巡の海底を前に撤退。

絶叫する実況の日吉プロと解説の渋川プロ。


・・・


そして静けさだけが広がった。

絶句


しばらくして渋川プロが一言。

「これはガマンしましたね・・」

これは、渋川プロが苦肉の策で使う常套句。(たぶん)


自身はマンガンからの手。

待ちも圧勝。

しかし降りてしまった


・・


なんで?

おじさん悲しいよ。


”振込みは絶対許されないもの”

そうかもしれない。

本能的に当たりを回避する人々なんでしょう。プロ雀士というのは。

でもですよ。

このぐらいは勝負にいかなくちゃでしょう。

好形のマンガン確定手。

しかも、まだ東3局ですよ。

石橋プロの早い巡目のリーチも、当たっても点数は知れてるでしょう。


試合後のインタビューで本田プロ

「3sは怖かったですね」

と答えている。


怖い

・・


実況の日吉プロ。次巡本田プロの海底ツモは

「見ないでも分かる」

と話した。5・8sがそこにあると予想したのだ。もちろん、何の根拠もない実況者兼予言者、日吉達哉のカン。

だが、その通りになる。

海底のツモは自らの上がりである牌8s。海底がついて12000点。

だった。


この観戦記180戦近く書いて思うが、この一打だけは残念を通り越して大いに落胆した。


ハリセンボンのように守りだけを固めたこの一打。同じチームの瀬戸熊プロや黒沢プロは何も言わないのだろうか?萩原兄ぃだって、イーシャンテンなら分からないが、聴牌していたら3sをばしぃぃい!と打ち込んでいたと思う。それとも、

”仕方ないよ”

と言うのだろうか?

仮にそうなら来季の雷電も結果は望めないように思う。

これがABEMASなら多井プロは自分の考えを伝えているのではないか。

それが”チーム”だと思う。

11月22日の第29節で土田浩翔プロが批判を覚悟して迄本田プロに助言したことは届いていたのだろうか?


・・・

話を戻すと、東3局は流局し、石橋プロの連荘となった。

東3局ではその後も流局が続き、供託が5本たまった2本場に上がったのは”供託泥棒”の異名を持つ白鳥プロ。

それにしても”泥棒”とはひどい言われようだが。

東4局では本田プロがリーチからツモ。裏・裏2000-4000を決め、南入して石橋プロとのリーチ対決を制し3000-6000を決め、そのまま試合は進み、激しく争った石橋プロを抑えて終了となった。

結果的にはチーム雷電本田プロがトップで4勝目。チームは3連勝となった。


2着には南4局オーラスで白鳥プロから直撃をとった石橋プロが入った。


3月3日 第2試合

フェニックスから近藤誠一。ABEMASから松本吉弘。パイレーツから小林剛。チーム雷電から本田プロが連投となった。

東1局、近藤プロ2000-4000からの東2局。松本プロが仕掛けてから早々に1・4・7m待ちでテンパイ。この段階で本田プロは国士無双リャンシャンテンであったが、その後テンパイを模索して進めた残り数巡で要牌の1m、残り1巡で東を連続して自模り、国士無双聴牌に辿りつく。

海底は本田プロの手番。

待ちの9pは山に1枚残っている。

・・・


4m

残念だが、国士ならず。

その後、東2局1本場で近藤プロが6000オール、2本場で12000点を上がり、65400点まで点棒を増やし、ほぼ試合を決めた。

本田プロの東場は、上がられ、自模られ、南1局親番を迎えた段階で1600点まで持ち点を減らしていたが、その親も近藤プロの500-1000でさらっと流される。

-4100点までヘコみ、親番も失った本田プロ。しかし、ここでこの試合2度目の役満チャンスが訪れる。

南3局。本田プロの手には萬子が集まり、8巡目まででメンホン・七対子気味の手に育つ。うち1組が暗刻であり、四暗刻の可能性が若干あった。しかし、この局は各者の手の進みが早く、近藤プロは既に聴牌を入れていた。四暗刻をやるには時間がなく、メンツ手か、七対子の方が現実的だ。

そこに東を自模り、2つ目の暗刻が完成する。

状況的には東を切ると思われた。四暗刻までイーシャンテンだが、聴牌させる難易度はメンツ手と七対子の比ではなく、上がりへの可能性は低くなる。何度も書くが近藤プロはとっくにテンパイしている。

だが、ここは本田プロが胆力を見せる。

5mを外していく。

この一打で七対子、メンツ手、何れの道にも戻れなくなった。退路を自ら断った。自身のアイデンティティ役満を目指す、北陸の役満プリンス。

11巡目、松本プロが本田プロが対子の9mを捨てる。

・・・

鳴かない。


同巡に同じく本田プロが対子の3mが小林プロから打たれる。

この3mはラス牌だ。

・・・

これも鳴かない。

あくまでも四暗刻。

混一色・トイトイではない。

ここで本田プロが浮き牌の西を重ねる。

西はこの終盤で2山。既に2枚切れの3mが手牌から切られ、待ち牌は増えた。


しかしここまでであった。

近藤プロのテンパイほ速度も速かったが、3・6s待ちは残り枚数も多すぎた。700-1300で近藤プロが牌を倒した。

本田プロが近藤プロの上がった牌姿をややうつむき加減に見つめている。

この時実況の日吉プロが言った一言

「本田プロがはじめて怒った」

そう。この時の本田プロの表情は、いつも余裕の役満プリンスのクールな表情ではなかった。雷電ユニバースに届ける役満を潰されたのだ、怒って当然だ。

人間、本田プロを見た。

この試合1度の役満聴牌と1度の役満イーシャンテンがあった本田プロ。そのまま試合は終了し4着が確定した。

局後、この2局目の思考を試合後のインタビューで見ると、役満を狙いにいった理由について、監督に「役満を狙っていけ」と言われたからとのこと。

いや

それもあるとは思うが、トップを狙ってたんじゃないの?

俺の感動は違ってたか?

本田プロはとにかく素直。

1試合目の2p降りも”振り込みは怖い”、ということであり、役満を目指せと言われれば役満を目指す。渚のリーチを宣伝してこいと言われれば、「読んでないけど面白いらしいです」と宣伝。

・・・

いや、きっと役満への思いもあったはずだ。近藤プロのあがりを見つめる表情はあっさりしたものではなかった。

しかし、本田プロは掴みどころのない雀士だ。北陸を拠点に活動を続けてきたのはそれはそれで大変だったと思う。

その一方でこの一年で本田プロの麻雀の内容が変わったかと言われれば、そんな気もしない。SNSや動画の発信も他の新Mリーガーに比べて積極的とも言えない。

何にせよ、とにかくがんばってほしい。

以前松本プロも言っていたが、現在の成績で一番悔しいのは本人。1年目はこの成績で終わってしまうが、この素直なMリーガーは2年目は何かやってくれるだろう。やってほしいし、やれるはずである。

個人的には、その一打に感動できるものがあれば、勝とうが負けようがそれでいいと思う。Mリーグのファンだって、毎日何かと戦っている。そんな時、Mリーグで戦っている雀士の姿から力を得る人は多い。牌効率や理論だけで勝負が決まるなら、Mリーグは今のような人気コンテンツになっていない。

と思う。


だが、

来年の86戦目で同じように2p切ってたら、もう再来年はない気がする。


プロ雀士にとって、Mリーグというのは特殊な戦いのようなので、早くこつをつかみ取って、チームを引っ張ってほしい。


さて、トップは近藤プロが獲得。トップインタビューでは家を出て行った3人娘を家で待つお父ちゃんの呼びかけで一笑いを取った。

いつも緊張いっぱいの伊藤アナもさすがに緩んだ。


Day86 終戦

サクラナイツから堀慎吾。個人7位につけている。格闘倶楽部は伊達朱里紗。前節トップで現在個人3位。風林火山から勝又健志。現在個人10位。

レギュラーシーズン残り6試合となり、6位サクラナイツ、7位ドリブンズ、その差は408.6pt。5位格闘倶楽部とも409.2pt差。

ここからのドリブンズ逆転レギュラーシーズン突破はかなり難しく、いくつかの大勝利が必要になる。ここで頼らざるを得ないのが、前戦ラスだったが個人12位でチームの稼ぎ頭の鈴木たろう。この日の第1試合に登板した。

東3局、3着目の勝又プロが10巡目にリーチ。これに押していくトップ目で親番のたろうプロ。しかも手にはドラの東を重ねるつもりでその一枚を持ち続けている。ガマンして残したかいがあり、終盤になって東を重ね、さらにこれをポン。一気に2段階打点がアップ。そしてカン4sでテンパイ。超終盤だが山に3枚残っている。

だが、ここでたろうプロに誘惑が降りかかる。残り1巡を残してフリテンながら6・9sの両面に待ちが替えられる7sをツモってくる。待ち替えの際に打ち出される3sも現物で安全。

たろうプロ、ここでフリテンの両面待ちに切り替えた。

が、この選択が裏目に出る。リーチの勝又プロから4sが打ち出される。この段階でカン4sが3枚残っているなんて誰も分からない。そして、ドラ3聴牌も空しく、この局は流れてしまう。

東3局2本場。堀プロが2巡目に聴牌し、3巡目でリーチをかける。この早すぎるリーチに、親番のたろうプロも2副露しながら聴牌を目指した。その上で高打点も諦めないたろうプロ。たろうプロは堀プロのあがり牌6mを2枚を吸収して北とのシャンポンに構えテンパイで追いつく。

しかし、2人の共通上がり牌6mを先に自模ったのは堀プロ。たろうプロを逆転してトップに立った。

たろうプロと関係が深い堀プロだが、今回も、たろうプロの行く手を遮ったのはその堀プロだった。

このまま堀プロは南場もトップを守り、試合を終了させた。


3月4日 第2試合

4・5・6・7位の直接対決となる、この試合はかなり濃いメンツだ。

格闘倶楽部  佐々木寿人
風林火山   松ヶ瀬隆弥
サクラナイツ 沢崎 誠
ドリブンズ  園田 賢

試合は東1局で沢崎プロが2000-4000を上がりトップ目に立つが、東2局の親番で第1ツモを取り忘れ上がり放棄。園田プロが2600の上がりをモノにする。

迎えた東4局1本場、園田プロの親番でタンヤオ・ドラ3を聴牌するが、沢崎プロが1000点の上がりでこれを流していく。

いきなりのチョンボで意気消沈、失速するのが普通の人間だが、沢崎プロはあまり気にしていなさそうだ。

南1局1本場で園田プロは自風北を暗刻にするが、ここでも沢崎プロが700-1300を上がって局を進めていく。日本一働く67歳。

南2局も園田プロはカン7mの先制リーチを入れるが、無情にも純カラ。上がりはないと思われたが、終盤に聴牌を取りに行った松ヶ瀬プロの手牌から7mが打ち出され5200の上がりに結び付く。園田プロ、2着目に浮上。親番は残っている。まだいける。

しかし、南3局、ラス目であるが親番寿人プロがトップ目沢崎プロから12000点を直撃し、状況は一変する。園田プロ100点差でトップ目に立った。厘差で2着目が寿人プロ。

南3局1本場の園田プロは、聴牌するも沢崎プロと寿人プロの2軒リーチに対抗はムリと判断し撤退し流局。2本場でも松ヶ瀬プロの当たり牌を掴み撤退。なかなか前に進めない。

そうこうしているうちに、南3局2本場。寿人プロがリーチから自模り、裏3をのせて6000オールを決めてしまう。

寿人プロの爆発は5本場迄続き、そして終了した。


南4局、最後の園田プロの親番。最後の戦いが始まる。しかし、手は時間がかかりそうだ。

一方、沢崎プロ、早々に2つ仕掛けを入れて4巡目に6・9sでテンパイを入れてしまう。

早すぎる。

園田プロも発を鳴いて何とか連荘を目指すが、同巡に松ヶ瀬プロにも聴牌が入りリーチを入れられてしまう。

この早い段階での2軒リーチ。

厳しい。

園田プロ、後ずさりしようにもすぐ後ろは崖だ。

どうする。

4枚目の発を自模る。

切るか、加カンするか。


切れば、通る牌に間違いはない。

だが、加カンしてツモ番を1回でもほしい。

・・・

カン

加カンを選択。嶺上から持ってきたのは9s。この牌は使い切れない。だが、この9sは危険だ。とはいえ、この9sを抱えて流局する選択肢は残されていない。切るしかない。

切るしか

・・・

ロン

沢崎プロが牌を倒した。

南・ドラ・ドラ・赤 8000

試合終了

園田プロ4着


一瞬の静寂があたりを包む。

解説席の最高位戦所属の河野直也プロもしばし黙って終局を見つめ、言葉がない。

最高位戦のメンバーで構成されるドリブンズ。

レギュラーシーズン敗退がほぼ決定した。



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