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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#1【10月第1週】開幕戦

2020シーズン風林火山の「勝又無双」による優勝から5ヵ月。時は秋。新たなシーズンが開幕した。

2021-2022シーズンのMリーグには昨年に比べ、多くのプロ雀士が新加入した。まずは風林火山オーディションを勝ち取ったRMU所属の松ヶ瀬プロ、同じく風林火山に二階堂亜樹プロの姉、日本プロ麻雀連盟(以下連盟)の二階堂瑠美プロ、雷電には連盟の本田プロ、格闘倶楽部には連盟の伊達プロ、そしてフェニックスには連盟の東城プロが新しく加わった。新Mリーガーはどのような風をMリーグに巻き起こしてくれるのだろうか。

開幕戦に先立って行われた開会式で各チーム代表が今シーズンの意気込みを表明している。

セガサミーフェニックス 魚谷侑未
2020シーズン最下位から今年は上るしかない。今年のスローガン”挑戦”を掲げて戦っていく。

UーNEXT Pirates 小林 剛
2020シーズンは7位という悔しい結果。今季もパイレーツらしい細かい、せこい、分かりにくい、この麻雀で必ず優勝したい。

チーム雷電 萩原聖人
雷電オリジン。悲願の優勝をなすことはもちろん。Mリーグの面白さ、麻雀の持つ素晴らしさを伝えるべく最後まで戦い抜く。

KONAMI麻雀格闘倶楽部 佐々木寿人
伊達・滝沢を加えた新体制に注目してほしい。高宮pも300pt勝つと言ってる。自身も卓上を焼き尽くすような麻雀で昨年の成績を超えたい。

赤坂ドリブンズ 園田 賢
Mリーグで麻雀を打てることに感謝。2度目の優勝を目指して頑張ります

渋谷ABEMAS 多井隆晴
Mリーグがまた開幕できたことに感謝。麻雀に人生を賭けた者の熱い戦いを楽しんでほしい。

KADOKAWAサクラナイツ 内川幸太郎
昨年準優勝で、ある意味最も悔しい結果。今シーズンこそは優勝を目指して初戦から思いっきりやっていく。

EX風林火山 二階堂亜樹
昨年は3年目で優勝を飾れた。今年は連覇を目指すが、それ以上に終わった時にまた来年も見たいな、楽しみだなと思ってもらえるような麻雀を打ちたい。

開会式は川渕名誉顧問のかけ声で締められた。



まず、最初に大まかなMリーグ2021レギュラーシーズンの概要を確認したい。

全8チームが2021年10月4日から2022年3月11日までの約5ヵ月半、90開催日の日程をリーグ戦形式で戦う。1試合ごとに試合毎のチーム点数を加減算してゆき、通算ポイントが最も低い8位、それに次ぐ7位の2チームはレギュラーシーズンで敗退となる。まずは6位以上になってセミファイナルに進出することがレギュラーシーズンにおける最大の目標。

各チームは毎試合で確実にポイントを稼いで、同時にポイントを大きく引かれる4着を回避していくことが重要となる。

Mリーグは団体戦なので、個人の運、不運を個人で解消するのではなく、全体で乗り切らなければならない。時に大きな不運が個人、チームを襲う。そのとき、その個人は。そしてそのチームはどう戦っていくのか?そこにドラマが生まれ、見どころとなる。

2021シーズン。開幕!



Day1 連投


10月4日 第1試合 開幕戦

Mリーグ初代王者の赤坂ドリブンズから園田賢。2020シーズン準優勝サクラナイツから昨年もトップバッターをつとめた岡田紗佳。渋谷ABEMASからは男子最年少の松本吉弘。そして、2020年はチーム解体を賭けて戦い、見事に優勝した風林火山からは、新加入の松ヶ瀬隆弥がさっそく開幕戦に起用された。

松ヶ瀬プロは、いきなりの起用に答え、2着を獲得した。しかし、上がりはオーラス1回のみと、やや苦戦を感じさせる内容でもあった。

試合はABEMAS松本プロが細かい上がりを重ねた後、南3局で2000-4000をツモって試合を決め、初戦を勝利で飾った。

●分かると読みやすくなる最低限の麻雀ルール
試合は 東1局(とんいっきょく) 東2局 東3局 東4局
    南1局(なんいっきょく) 南2局 南3局 南4局(オーラス)
と進み、前半が東場(とんば)、後半を南場(なんば)という
この8局で終わる試合のことを半荘(はんちゃん)という。


10月4日 第2試合

ドリブンズからは48歳バースデイ登板となる鈴木たろう。サクラナイツからは”勝つのはあたりまえ”を公言する堀慎吾。ABEMASからは過去全てのステージをプラスでまとめてきた日向藍子。そして、風林火山は、まさかの連投、松ヶ瀬隆弥。

連投でチームの期待を背負った松ヶ瀬プロだったが、たろうプロに押しきられ、ラスを引いてしまう。

169人の風林火山オーディションの参加者を蹴散らして加入した松ヶ瀬プロがこの結果とあっては、キャリアの浅い声優の伊達プロ、グラビアアイドルの東城プロははたしてやっていけるのか?

試合はドリブンズたろうプロは東4局にドラの南をポンしてから、堀プロの直撃を取るなど、持ち前の力強い麻雀で点棒を積み重ねて快勝した。

●分かると読みやすくなる最低限の麻雀ルール

【ラス】4着のこと

【ドラ】自分の手牌に1枚あると1飜つく牌。

【飜(はん)】一盃口が1飜、二盃口が2飜など手役ごとに決まっている。ドラがあると手役ではないが1飜加算される。なお、1飜以上ないと上がることができない。4飜以上を満貫(まんがん)、6飜以上を跳満(はねまん)、8飜以上を倍満(ばいまん)と呼ぶ

【上がり】1つの雀頭(同じ牌2枚の組み合わせ)、4つの3枚組合せを完成させること。七対子(ちーといつ)のみ対子(といつ)を7組そろえた形で上がれる。

【ポン】対子(といつ・同じ牌2枚の組み合わせ)の3枚目を他3名の捨て牌で組み合わせること

【チー】自分の前の人が捨てた牌を利用して、連続した数字3枚の組み合わせにする際に宣言する

【風林火山オーディション】2020シーズンに3名体制だった風林火山が4人目をドラフトで指名するにあたり、加入希望者がリーグ戦とトーナメントで実力ナンバー1を決め、優勝者を2021シーズンのドラフト対象にすると公約した大会


Day2 RMO!


10月5日 第1試合

格闘倶楽部初戦はリーグ初の移籍となった滝沢和典を早速起用。2020シーズン最下位のフェニックスの初戦は、昨年苦しいチームにあってポイントリーダーとなった茅森早香。4年目にして初の4人態勢となったチーム雷電からは、信念の面白い麻雀を貫く萩原聖人。2020シーズン7位に沈んだパイレーツからはエース小林剛が登板。

この試合で最もインパクトを残したのは萩原プロだ。3着目の南4局にドラの東を暗刻にしてリーチ!そして見事にツモって逆転のトップを決めた。2000ー4000。自模った4mを自分の正面にスライドさせる独特のスタイルが決まる。今年の雷電に一筋の光を見た。

3着目からのオーラス逆転トップはまさに「RMO」(雷電の麻雀は面白いんです!)。前のめりに雷電ポーズを決める萩原プロの顔は真剣だった。

フェニックスの新シーズンは18000点の放銃から始まった。チーム第一戦は茅森プロが任されたが、東1局、ダマで張っていた小林プロの親ハネに捕まってしまう。その後も終始好手牌を滝沢、小林両プロにブロックされ、最後は萩原プロにとどめを刺された。初戦は箱ラスの散々な結果となり、リーグ全体でも箱ラス第1号となった。

【暗刻(あんこ)】同じ種類3枚の牌をポンせずに揃えること

【ダマ】あと一枚で上がれるが、リーチをかけずに上がり牌を待つこと

【リーチ】ポンやチーをせずあと1枚で上がれる状態になった時に宣言すると1飜加わる役。宣言すると手牌を変更することはできない

【3着目】試合中に3着に位置すること トップ目は試合中トップに位置


10月5日 第2試合

格闘倶楽部からはタキヒサリレーとなる佐々木寿人。フェニックスからは2020シーズン不本意なマイナスに沈んでしまった魚谷侑未。チーム雷電から過去3シーズン全て200pt越えの黒沢咲。パイレーツからは、過去2年マイナスの不本意な成績を今季は打開したい瑞原明奈。

そして、この試合で何かを予兆させる戦いをしたのがパイレーツ瑞原プロだ。

手牌に恵まれたとは言い難かったが、他家のチャンス手にも簡単には降りなかった。当たり牌を止め、ぎりぎり粘って安手で他家の手を潰しつつ、チャンスで2000-4000を決めるなど、粘り強く戦った。道中、満貫の放銃でラスに転落するも復活して連対を決めた。

試合は雷電の黒沢プロが昨年の勢いそのまま、力強く押し切って個人初戦を白星で飾った。

連勝を決めた雷電は+109ptのトップ発進。唯一男子の「魔王」寿人プロは初戦ラスからの今季スタートとなった。

【他家(たーちゃ)】自分以外の3人

【2000-4000(にせんよんせん)】子が満貫を自模ると他の子が2000点、親が4000点支払わないといけない

【親と子】4人の内1人が”親”となって、最初に自模って試合を始める。親の点数は子の1.5倍になる。親以外は子となる


Day3 おもしぃ


10月7日 第1試合

ドリブンズからは、2020シーズンチームをけん引した村上淳。ABEMASからはチームナンバー2の白鳥翔。フェニックスもチームの精神的支柱、近藤誠一。雷電からは今季新加入の本田朋広が起用された。

その本田プロは、村上プロとのめくり合いを制した後も、着々と点数を重ねてトップを獲得。雷電は開幕3連勝となり、本田プロ個人としても、Mリーグのデビュー戦を勝利で飾った。

勝利者インタビューでは「雷電の麻雀はおもしぃんです」と決める。まちがったか・・? 
一瞬時が止まった。が、これは富山弁アレンジ。あふれる地元愛。「北陸の役満プリンス」が彼の二つ名だ。

オーラス粘って着順を上げた村上プロに捲られたのが、近藤プロ。フェニックス4着で開幕以降、連対が遠い。


10月7日 第2試合

開幕以降好調なドリブンズからは個人2戦目となるエース園田賢。ABEMASから今季初登板となるエース多井隆晴。フェニックスから前戦惜しくも3着となったエース魚谷侑未。開幕以降3連勝中の雷電から4連勝の期待を背負い、瀬戸熊直樹が登板。

注目は開幕以来続いているチームの逆連対に歯止めをかけたいフェニックスの魚谷プロ。重量級の対戦相手だけに、簡単な試合ではない。

しかし、心配をよそに魚谷プロが魅せた。序盤こそ園田プロが上がりを重ねたが、南2局に魚谷プロに小四喜も視野に入る手が入る。最終七対子としたが、これをツモりトップに浮上。南3局では園田プロが面前清一色の3面張を聴牌。しかし、これを多井プロが1300-2600で粉砕。最終局も瀬戸熊プロにチャンス手が入るが、魚谷プロが自力で平和を上がりきった。「最速マーメイド」が三者を追い抜いて、フェニックスに初白星を持ち帰った。

【小四喜(しょうすうしぃ)】東・南・西・北のうち、3つを刻子、1つを雀頭にして上がる役 役満

【役満(やくまん)】麻雀役の中で最も高いもの。子で32000点。親で48000点。

【自摸(つも)】山から一枚取ってくること

【面前(めんぜん)】まだポン・チー等してないこと(鳴いてないこと)

【清一色(ちんいつ)】萬子・筒子・索子のうち1種類のみで4メンツ・1雀頭を完成させた手役

【萬子(まんず)】一萬~九萬と漢字表記される数牌 1m 等で表記

【筒子(ぴんず)】○の数で1~9個で表示する数牌 1p等で表記

【索子(そーず)】緑色の竹の数1~9本で表示する数牌 1s等で表記
         1索(1s)だけ鳥(孔雀)が刻印されている

【平和(ぴんふ)】1飜の役 面前のみで成立 数牌の順子のみで構成

【順子(しゅんつ)】数牌の1・2・3等 数の並びで構成される3枚

【刻子(こーつ)】同じ牌で構成される3枚 数牌でも字牌でもよい

【字牌(じはい)】東・南・西・北・白・発・中の7種類


Day4 三色


10月8日 第1試合

開幕初日4着・3着と芳しくないスタートになったサクラナイツはエース内川幸太郎を起用。初日タキヒサで2・4着となった格闘倶楽部からは高宮まり。同じく初日2・4着だが内容はさほど悪くなかったパイレーツは石橋伸洋。そして、風林火山からはなんと松ヶ瀬隆弥。

この試合の注目も松ヶ瀬プロだ。開幕早々、日を跨いでの3連投となる。

しかし、松ヶ瀬プロは3戦目でけりをつけた。横綱相撲とも言える麻雀で押し切り、チームの期待に応えた。東1局のリーチ・ツモ・平和・一盃口からの裏裏3000-6000が強烈だった。

パイレーツは前の試合で瑞原プロがしつこく喰らいついた流れを受け、石橋プロも粘り強い麻雀を見せた。しかし、この日の牌勢は松ヶ瀬プロに味方した。

南3局の石橋プロ。手の内が高宮プロの当たり牌だらけになり、いったんはぎりぎり5mを切って当たりを回避したと思った矢先、さらに当たり牌の2mを引いてきてしまう。これだけ当たり牌が押し寄せては回避は不可能。流石に放銃となった。渋川プロ曰く「絶対放銃しろよ」というツモだった。

内川プロの南場での清一色・赤のハネマン+供託棒沢山の上がりも大きかったがトップまでは届かなかった。

【裏・裏】リーチすると、ドラが1枚増える。手牌のうち2枚がそれにヒットすること

【一盃口(イーペーコー)】同じ組み合わせの順子2組を鳴かずに完成すること

【三色(三色同順・さんしょく)】同じ数の順子3組を、萬子・筒子・索子で集めること。鳴いても良い。

【赤】萬子・筒子・索子それぞれの5の牌の1枚だけ赤く印字されている。これが手に1枚あると1飜つく。

【放銃】自分の捨て牌で相手が上がること

【供託棒】リーチ時1000点棒が出されたが、そのまま誰も上がらず流局し、次の局の勝者がもらう前に一時的に供託された状態の1000点棒

【聴牌(テンパイ)】あと1枚で上がれる状態になること


10月8日 第2試合

風林火山からは新Mリーガーの二階堂瑠美。パイレーツからはネット麻雀出身の異色のMリーガー朝倉康心、サクラナイツからはリーグ最年長67歳となる沢崎誠、そして格闘倶楽部から伊達朱里紗がMリーグデビュー戦となった。

この試合は瑠美プロのMリーグデビュー戦に注目したい。

2着目で迎えた東四局、伊達プロのリーチを受けながら、聴牌を取り切る寸前で放銃。

点数を回復したい南1局の親番では早々にリーチをかけるが、配牌はほぼ最悪ながらも、何とか聴牌した伊達プロに追いかけられ、めくり合いで負け、しかも伊達プロの当たり牌を掴むという不運。

持ち点は既に4桁。明らかに瑠美プロに逆風が吹いている。

迎えた南2局。瑠美プロにさらなる試練が用意される。

まずは瑠美プロに三色めいた配牌が配られる。瑠美プロと言えば「三色」が代名詞。Mリーグでも三色を追うのか?Mリーグはリーチと赤ドラが強い。ゆえ、一気通貫やチャンタ、三色のような制約がきつい手を狙うよりも、早く聴牌して裏ドラを期待するほうが速度・打点ともに利があるからだ。

そして、三色狙いに絶好の4mを自模る。どうする・・三色を目指すなら8s切り。。

しばしの考慮があり、切られたのは6p。

この打牌が印象的だった。三色の道を閉ざしたように見える。素人考えだと、あまりの流れの悪さの中、そんなきれいな手役を目指す気力も失ってしまったか?とさえ思う。

しかし神様はどこまでも気まぐれで残酷。次巡すぐに三色の要牌7pを瑠美プロに自模らせた。

さらに、三色を放棄した瑠美プロに神が罰を与えるかのように、伊達プロに8sを打って放銃となってしまう。瑠美プロは箱下に沈んでしまった。

この時瑠美プロはどのような思いだったんだろうか?

Mリーグというチーム戦でどこまで自分の麻雀の色を出すのか、これはMリーガーじゃないと分からない話だが、今後、どこまで手役を追うのか、追えるのか、注目したい。

麻雀から離れるが、2006年トリノオリンピックでは荒川静香が点数に加算されないイナバウアーを披露して観客の喝さいを浴びた。結果ばかりがクローズアップされるMリーグだが、時には麻雀が持つ「美しさ」というものが披露されても良い気もする。個人的には、時折見る面前の三色やチャンタ、純チャン、一気通貫には特別なものを感じる。それを魅せてくれる適任者として、真っ先に挙がるのが瑠美プロではないだろうか。

いずれにせよ、瑠美プロのデビュー戦はほろ苦い4着となった。

試合は沢崎プロが今季初勝利を挙げ、サクラナイツもこれが今季初勝利。沢崎プロの「乙女ポーズ」は本局で見ることができる。

初登場となった伊達プロは下家の朝倉プロに絞りを入れるなど、厳しい打ち回しを見せ2着。さすが風林火山オーディションの総合ランキング8位。

一週目が終わり、開幕3連勝を決めた雷電が首位。格闘倶楽部が最下位となっている。

【箱下】持ち点25000点からスタートするが、試合中に点数が0点以下になること

【絞り】主に下家(自分が東家なら南家)が鳴きたい牌を捨てないこと

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