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ライト層目線!Mリーグ2021ダイジェスト#9【12月第1週】

Day33 クロスカウンター


11月29日 第1試合

ABEMASは前節、盤石の試合展開でトップをとった白鳥翔、風林火山は前節4軒リーチ対決を制してトップの松ヶ瀬隆弥、ドリブンズは前節四暗刻テンパイするもあがれず今季5度目の箱ラスとなった村上淳、雷電からは前回ことごとくリーチ対決で敗れてラスを引いてしまった瀬戸熊プロが登板した。

試合は白鳥プロが東1局2本場に6000オールを決め、そのままトップを獲得。個人3勝目。

東1局2本場の白鳥プロに注目したい。

6巡目の早い段階で村上プロに萬子の混一色のポンテンが入る。待ちはカン7m。一方、白鳥プロの手にはくっつき待ちの、中ぶくれの7mがあった。そして、なぜかこの7mを持ち続けた。

道中、新たなくっつき候補の7sを引き、7mを切ると思われた。ドラが5sなので、くっつけるなら7sの方が打点が高い。

だが、白鳥プロは7mを持ち続けた。そして、ついに赤5mがくっついて6000オールをツモ上がっている。

この判断には白鳥プロの読みがあった。瀬戸熊プロの仕掛けから、ドラの5sは瀬戸熊プロに固まっていると読んだ。この読みは合っていて、瀬戸熊プロがドラを暗刻で持っていたため、ドラのくっつきは期待薄だった。

白鳥プロの鋭い洞察力が光った一局。

この時のインタビューで3勝目について感想を聞かれた際「本当は4勝目でなければいけない」と答えている。これは、朝倉プロに大逆転を許した試合のことだ。

さすが白鳥プロ。ライバルへの借りも忘れていなかった。

4着は4300点持ちの村上プロ。東場の親番で四暗刻イーシャンテンとなり、2軒リーチに勝負したが、12000点放銃となった。

唇を噛みしめて頷く村上プロ。トップ中のトッププロを襲う不運。その胸中は計り知れない。



11月29日 第2試合

ドリブンズは鈴木たろう、ABEMASは多井隆晴、風林火山は+270.8ptで個人ランキング首位の勝又健志、雷電から前節5戦ぶりに連対した本田朋広が登板。

試合は南4局のたろうプロに注目したい。トップ目のたろうプロが平和・赤で闇テンを構えた局面。親の勝又プロがリーチ。待ちは3・6m。同巡にたろうプロが掴んだのは5m。完全な無筋。これはきつい。少なくとも一発を回避するために一巡は回避したい。だが、たろうプロ、勝又プロの河を一瞥し、回避することなくこの5mをプッシュした。

セ・・セーフ!

そして、その直後だ。勝又プロがたろうプロの当たり牌6pを掴んだ。たろうプロがあがり、試合は終了した。これは全て一巡の出来事だ。さながら、ボクシングでいうところの「クロスカウンター」。回っていたらこの上がりは無かった。

たろうプロ、完勝。



Day34 なんとかしたい


11月30日 第1試合

サクラナイツからは前節茅森プロの大逆転に巻き込まれて3着となった岡田紗佳、フェニックスから個人22位とやや低迷の近藤誠一、格闘倶楽部は前節亜樹プロの猛追を退けてトップの滝沢和典、パイレーツは珍しく1戦目に小林剛の登板となった。

南4局の岡田プロに注目したい。

南3局は山5のリーチを自模れず4着目で迎えた南4局。開局から小場が続いたため全員にトップとラスの可能性を残していたが、岡田プロの配牌は悪かった。

白の対子こそあれタンヤオ系はまず無理な配牌。

しかし、岡田プロはがむしゃらに上がりを目指す。白の後付けを頼りに9sをポン。遠い仕掛け。その後4pをチー。なんとか白も近藤プロから出た。これをポン。3つめも仕掛けて、何とか聴牌に到達。

待ちは4・7m

山に3枚ある。岡田プロのツモに力が入る。

3p・・

5s・・違う

4・7mはどこにいるのか

東・・

8s・・

1p・・これでもない

岡田プロの苦しい自摸が続く。

しかし、じっくり手を進めていた近藤プロにも聴牌が入ってしまう。

そして、岡田プロの次のツモ番はなかった。

近藤プロのリーチ宣言牌を小林プロがチーし、打ち出された9mを近藤プロが打ち取って試合が終了した。

岡田プロ4着。今回もトップは取れなかった。

岡田プロの表情は既に切実だ。これは個人の成績の問題ではなく、サクラナイツの全体ことを考えるからだろう。

何とかしたい

そう思わせる4着断固拒否の姿勢は見て取れた。

超接戦となった一戦は、近藤プロが2回の3900点でトップを獲得した。



11月30日 第2試合

格闘倶楽部から現在-12.9ptでプラス圏を窺う高宮まり、フェニックスは前節オーラス大逆転劇を演じた茅森早香、サクラナイツは前節に個人連投・連勝の堀慎吾、パイレーツから今季未勝利が続く石橋伸洋が登板。

11月最終試合。ここまででトップがないのが岡田プロ、日向プロ、そして石橋プロの3名。石橋プロはここまで6戦、連対2でトップなしと厳しい成績となっており、早く一勝がほしい。

南3局

3つ仕掛けを入れてダブ南聴牌の2着目茅森プロに対し、トップ目の石橋プロも聴牌。だが、聴牌するには赤5pを切らないといけない局面。茅森プロの河に筒子が高く、しかも赤。

しかし、石橋プロはまっすぐ赤5pを切った。

そして、リーチを宣言。この勇気を称えるかのごとく、茅森プロから石橋プロの当たり牌9sが打ち出されリーチ・一発・赤・裏の12000点で打ち取った。続く南4局も自ら上がり切り、石橋プロが今季初トップを決めた。

石橋プロはチームに大量78.6ptを持ち帰り、チームも6位に浮上した。



Day35 卓上の舞姫


12月2日 第1試合

フェニックスは前節石橋プロとの接戦に破れ2着になった茅森早香、格闘倶楽部から直近3連続4着と低迷する佐々木寿人、パイレーツは直近2戦でいずれも2位と崩れを見せない瑞原明奈、風林火山は前節茅森プロに大逆転を決められてしまった二階堂亜樹が登板した。

この試合は寿人プロが終盤で覚醒し、3倍満から6000オールと次々にあがり、卓上を焼きつくし、今季4勝目を決めた。

ここでは大逆転され2着となったが亜樹プロに注目したい。

東3局の親番での4本場。茅森プロが純チャンを確定させてリーチを入れた場面。茅森プロの河は序盤で1pが切られていて純チャンは読みづらい。また、亜樹プロも安牌っぽい9mを外して、目いっぱいに上がりを目指していたため確実な安牌もなかった。

ここで無筋でドラの超危険牌6pを掴む亜樹プロ。。

持ち点も十分加算されているので、いったん回ってもおかしくない。

しかし、亜樹プロは一拍おいて6pを打ち込んだ。

この時の亜樹プロは声に出さないまでも「あぁ~!切っちゃったよ」という感じて自ら目を背けるような表情をした。

思うに、こういった押し方を去年はあまり印象がない。この押しを勝又プロ・松ヶ瀬プロがしているなら分かるが、守備寄りと目される亜樹プロの打牌。

4年目を迎えたMリーガーも日々進歩、進化している。そう感じさせてくれる一打だった。

この勇気を称えるかのように、亜樹プロは最後の自摸で、自身の待ち牌である5sを赤で自模り、4000オールで大きく加点した。



12月2日 第2試合

フェニックスはここ4戦で連対なし、4着3回と完全にスランプに陥っている東城りお、格闘倶楽部も2戦連続4着の高宮まり、パイレーツから前節本田プロを逆転してトップを獲得した朝倉康心、風林火山は直近3戦で3連対とポイントを稼ぐ二階堂瑠美が登板した。

この日の朝倉プロは高打点を次々に決め、リーグ歴代2位の高得点をマークした。

南4局0本場では4巡目でリーチを入れ一発で高目を自模って8000オール。1本場でも高目の東をツモって、混一色・東の3200オール。東場の親番に続いて、南場の親番でも朝倉プロが確変モードに入ったが、最後は瑠美プロが平和ヤミテンをあがり、ようやく試合が終了した。

東城プロは2度のマンガンで-0.4ptの2着に入り、被害を最小限に食い止めた。

一方、被害者は高宮プロだった。高打点リーチをかけた後に朝倉プロにドラポンされたうえで、当たり牌を掴まされたり、東城プロとの同聴のめくり合いでも引き負けたりとホントついてなかった。

しかし、高宮プロの良いところはこんな時でも悲壮感がないところ。少しうつむいて頭をかく仕草。ポリポリ。。チャーミングな女性だ。



Day36 乗るな


12月3日 第1試合

サクラナイツは第28節に個人連投・連勝して以来の内川幸太郎、ABEMASは今季10試合目もトップは開幕戦以来ない松本吉弘、ドリブンズは前節滝沢・亜樹の争いに押されて4着となった丸山奏子、雷電は前節4軒リーチ合戦の試合を3着となった萩原聖人、以上の4人が登板。

試合は萩原プロががんがんリーチをかけて攻め、トップを走った。しかし、南4局、萩原プロトップ目だが、全員にトップ条件がある点数状況に。この南4局に注目したい。

まず4着目の丸山プロがツモれば満貫以上が確定のリーチを入れる。上がれれば2着に浮上する。一方、親のトップ目萩原プロは手が悪い。降りて流局を願う。そこに松本プロだ。急所のカン4pを引き入れてこちらも満貫以上が確定のリーチを入れる。丸山プロからリー棒がでているため、高目を自模るか、裏がのれば100点差でトップを逆転できる。丸山プロと松本プロのド級のめくり合い。これまで苦汁を味わい続けてきた松本プロ。引けるか?

そして、2着目の内川プロも一気通貫確定のテンパイを入れ、闇に構える。こちらも自模るか萩原プロ直撃なら逆転トップ。かなり悪い配牌だったがここまで仕上げた。

内川プロのただならぬ押しに3者にもそれが聴牌だと伝わったか。

一方、丸山プロも松本プロもなかなか自模れない。萩原プロは祈るしかない。自身3連勝がかかる内川プロ。チームを救いたい丸山プロ。開幕以来のトップがほしい松本プロと萩原プロ。

後はこのめくり合いに託すしかない。

決着はついた。松本プロが6sを引き切った。しかし、これは安目。

問題はここからだ。裏がのるかどうか。

萩原プロ願う「乗るな」

松本プロ願う「乗ってくれ」

捲られた裏ドラは2m。自身の手に3mは・・・・あった!
裏が乗った。3000-6000。100点差で逆転トップ。
今回は自身が捲り返した。

ほぼほぼ勝利を手中に収めていた萩原プロ。がっくりうなだれた後、唇をかみしめ、首をひねった。内川プロ、丸山プロも松本プロの上がりを静かに見つめている。

勝った松本プロは息を整えながらうつむいていた。

この試合、坊主頭の萩原プロは2着インタビューを受けた。悔しさがにじみ出ていた。それが良かった。雷電の成績不振の責任を感じて坊主にしたのかと思ったが違った。俳優業のためであった。



12月3日 第2試合

雷電は、いつの間にかチームで最もポイントを減らしてしまった黒沢咲、ドリブンズからここ2戦で連続3着と一休憩の園田賢、ABEMASは現在2連勝中の白鳥翔、サクラナイツは個人7位につける沢崎誠が登板。

試合は黒沢プロがリーチを打ちに打ってトップを獲得。雷電はうれしいトップ・2着となった。

この試合は黒沢プロのトップもあるが、園田プロのカンに珍しい連鎖が起こった。

南1局の園田プロの親番だが、黒沢プロが待ち1・4sでリーチを入れるが、実はこの待ちはかなり薄かった。

そこに親番の園田プロが山5の追っかけリーチ!

これは黒沢プロ絶体絶命。しかも、黒沢プロの当たり牌は1枚吸収されてしまう。

ここで運命がとんでもないいたずらをする。

園田プロの自摸番。自身が暗刻にしていた4枚目の9sを引く。打点アップは自らに利がある園田プロは当然の暗カン。

しかし、しかしである。

この暗カンによって、本来めくられることのなかった嶺上パイがめくられる。そこに居たのは何と黒沢プロの当たり牌の4s。黒沢プロの当たり牌を嶺上から掘り起こして、献上となった。

これは、悪い意味でミラクルだった。



その他のトピック

朝倉プロだが、日吉プロとのインタビューを巡ってひと悶着が起きたのもこの月。試合前のインタビューの時にネット麻雀やりながら目も合わせないのは非常識というバッシングがSNS上で勃発している。この問題はアサピン(朝倉プロ)が話しかけている時に、日吉プロがネット麻雀をやって目を合わせないという ”大人の返し” とも言えるシーンをSNS上で公開することで一件落着した。


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