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ベトナム会計税務 | インボイスの発行タイミングと売上計上タイミング

電子インボイスが正式始動して約1年が経過しました。

請求の意味でインボイスを発行するのか?
支払いがあってからインボイスを発行するのか?
前金をもらってもインボイスは発行できないのか?

などなど、日々忙しい日本人管理者の方々は忘れてしまうこともあります。


インボイスの発行タイミング


2022年7月1日から施行されている現行法令123/2020/ND-CPでは、3つの原則が規定されています。

  1. 商品販売にかかるインボイスは、商品の所有権または使用権が購入者に移転時であり、支払いが行われたか否かに限らない。

  2. サービス提供にかかるインボイスは、サービス提供の完了時であり、支払いが行われたか否かに限らない。ただ、前金や中途金の支払いを受けるケースのインボイスは、支払いを受けた時点である(これには、会計や監査業務、財務や税務のコンサル、バリュエーション、技術検査や設計、監理コンサルティングや建設プロジェクト設立にかかる保証金・手付金の類は含まない)。

  3. 商品引き渡しが複数に亘るケース、サービスが複数のフェーズに分かれるケースは、その都度がインボイス発行時点となる。

原則外ケースとしては、以下のような業種ごとの詳細規定があります(詳細はここでは割愛させていただきます)

  • 物流サービス、インフラにかかるサービス、メディアや情報技術にかかるサービスなど、継続的な供給を行うサービス

  • 通信サービス、情報技術にかかるサービス(決済代行サービス含む)など、オンライン上でやり取りが完結するサービス

  • 工事、設備据付

  • 不動産事業者、インフラ開発デベロッパー

  • 資源探査や採掘、原油の精製

  • 小売店、飲食店

  • 電力販売

  • ガソリン販売

  • 航空会社、保険代理

  • 銀行、証券、保険、送金サービス

  • タクシーサービス

  • 治療クリニック

  • 有料道路事業者


売上計上タイミング


売上の計上タイミング(に関する認識)は、各社様々でしょう。
B2Bであれば、契約締結時、請求時、入金があったとき・・・
B2Cであれば、注文が確定したとき、入金があったとき、商品を引き渡したとき・・・

しかし、これは日本でのことです(日本での細かな法令はこちらで触れる予定はありません・・・汗)。

法令(ベトナム)は、インボイス、付加価値税、法人税、会計についてそれぞれ個別に定めています。サービス業について以下検証します。

  • インボイス:上記の通り

  • 付加価値税:サービス業者は、サービス提供が完了した時点またはインボイス発行時点が、付加価値税課税の確定時点である(財務省通達219/2013/TT-BTC)。

  • 法人税:サービス業者は、特定のケースを除き、買い手に対してサービス提供が完了した時点またはサービスの個別提供が終わった時点が、法人税課税の確定時点である(財務省通達96/2015/TT-BTC)。

  • 会計:契約書上に返品規定やキャンセル規定があり確実に返品やキャンセルがないと見込まれること、業務が完了していること、当該収益に紐づく費用が明確であること、これらを満たす場合、売上として計上できる(財務省通達200/2014/TT-BTC)。

つまり、インボイス、付加価値税、法人税、会計の各種法令は少しずつ異なりますが、ざっくりと、サービス提供の完了時がインボイス発行日となり、同時に売上として計上する日となります。

ただ、サービスの対価が前月の成果によって変動するようなケースもあります。

この場合は、契約書において、対価の確定時点(金額の確定時点)、インボイスの発行時点などを規定しておけばいいでしょう。担当者ごとの認識の誤差も防ぐことができます。日本のように「末締め末払いとする」「実費はその都度精算をする」というような(大ざっぱな)表現では、ベトナムでは確認作業が発生することになると思います。


今回はこのくらいにしようと思います。
2020年7月7日に私の会社にて公開したレターの更新版となります。

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