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第65回、サイバーフォーミュラの魅力を語ってみた

そろそろAI画像生成の投稿に戻ろうかと思っていたのですが、自分がAIとの関りを持つ上で、どうしても外す事のできない作品があるので、紹介したいと思います。

それは1991年に放送された「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」というテレビアニメです。
内容は2015年の近未来で、(ああっ時代もう通りすぎている) AI制御をされたレースマシンで年間を通して様々なレースを行う、架空のモータースポーツを描かれた作品なのですが、このアニメを特徴付ける3つの大きな要素に、サイバーシステム、機体変形、ブーストポッド加速といった物があります。

サイバーシステム(自動車のAI制御技術)
サイバーシステムは、現実でも実際に開発が進められている、車の自動運転や運転サポートシステムの事ですが、このレースにはこうしたAI制御技術を向上させる目的もある為、各マシンに積極的に取り入れられています。正に「勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず、操縦者の技のみで決まらず。ただ、結果のみが真実。フィックス・リリース!!」の精神なのです。

主人公の乗るマシンには、アスラーダという人工知能が搭載されているのですが、アスラーダはこの世界でも、頭一つ抜けた性能を持っていて、意思を持って人間と話をする事ができます。話ができる車というのは、海外の実写ドラマでナイトライダーという有名な作品があるので、そこからの引用だと思うのですが、まだ運転技術も精神も未熟な主人公が、AIのアスラーダとの会話やレースを通して、少しづつ成長をしていく様子が描かれていきます。

機体変形
機体変形は、全てのマシンに備わっている物ではありませんが、レースの様々な状況に適応させる為に、機体の一部が可変する構造の物をいいます。
初期の頃の変形は、空力制御するウイングが可動する程度だったのですが、次第にトランスフォーマーのように機体全体が可変するようになり、最終的にはターミネーター2のT-1000のような、流動性のある金属で機体の形状を変える物まで現れるようになりました。
こう書くと子供向けの骨董無形な設定に思われるかもしれませんが、アニメの制作陣の強い拘りのおかげで、大人が見てもしびれるリアリティーのある変形に仕上がっています。
(たいてい男の人は、子供から大人まで、変形する物が大好きなのです)

ブーストポッド加速
ブーストポッド加速は、このアニメの最大の発明ではないかと思っているのですが、一部の機体には、加速用のロケットブースター(ブーストポッド)を搭載していて、それを可動させる事で、一時的に機体の速度を飛躍的に上昇させる事ができます。
見た目には、車に飛行機のジェットエンジンが付いていて、それを点火する事で、地面すれすれを飛ぶように走るといった感じになります。

自分は車に詳しくはないですが、このブーストポッド加速というのは現実には存在しないと思うのですが、映画の中では意外とよく使われているようで宮崎駿監督作品の「ルパン三世:カリオストロの城」でも、クラリスを救うカーチェイスの際に、レバーを引く事で、愛車のフィアットの後部扉が開き謎のエンジンのような物が姿を見せて、急加速をする描写があります。
「バットマン」のバットモービルにも、それらしき加速描写はありますし、酷い物では「マッドマックス」で、人間が口に高級ガソリン?を含ませて、それをエンジンの吸入口に吹きかける事で、車を加速させるなんて物もありました。
多分探せば、他にも似たような物はたくさんあるのではないかと思います。

ではなぜブーストポッド加速が、このアニメの最大の発明だと思うのかというと、それはブーストポッド加速を、レースの駆け引き要素としてきちんと描かれているからです。
ブーストポッド加速はメリットばかりではなく、デメリットもあります。
それはエンジンを臨界点限界まで高める為、臨界点を超えると、エンジンが焼き切れて、走れなくなる危険がある事です。
その為、ブーストポッド加速を行う際には、エンジン臨界点までのカウントダウンが発動するようになっていて、それはエヴァンゲリオンのアンビリカルケーブルが外れた際に発動する、活動限界時間の表示その物なのです。
(エヴァよりこのアニメの方が、先にやっているのです)

双方共にブースト加速をしてレースが拮抗(きっこう)している際に、どちらが先にブースト加速をオフにするのか?先にオフにした方は、相手に大きく引き離されるし、オフにするタイミングを見誤れば、エンジンが焼き切れてレースが続行不能となってしまいます。このギリギリの所での駆け引きが、このアニメを熱い展開にしてくれているのです。

ブーストポッド加速は、サイバーフォーミュラのテレビゲームにも当然採用されていますが、自分の知る限りでは、活動臨界点に達すると自動でオフになってブーストアウトにはならない仕様になっていたと思います。
機体制御として、それはとても正しい仕様だとは思うのですが、やはりあのブーストアウト限界を攻める緊張感は、ゲームでも味わいたかった所です。

このアニメはテレビ放送終了後に、4つのOVAが発売され、その他数多くのドラマカセット(この頃はまだCDではなくて、カセットテープでした)が発売される、大ヒットシリーズとなりました。

又作品ひいきでそう思うのかもしれませんが、2006年制作のディズニー作品「カーズ」にも似たような展開のエピソードがあるので、実はかなり影響を与えているのではないかと思っています。

「美少女戦士セーラームーン」や「幽☆遊☆白書」が1992年からの放送で、「スラムダンク」が1993年からの放送なので、当時のアニメブームの先駆け的な作品と言ってもいいのではないかとも思います。
さらに原作なしのテレビオリジナルのアニメなので、ブームの形態としては「新世紀エヴァンゲリオン」に近い物があったのではないかと思います。
(しかもどちらにも、新世紀が付いている。あれ?これって偶然?)

その翌年、同時間枠で「ママは小学4年生」の放送が始まり、自分の心は、すっかりアニメに補完をされてしまいました。
今思えば、これが「姫ちゃんのリボン」や「赤ずきんチャチャ」へと続く、少女アニメ趣向への入口になっていたのだと思いますが、自分はその事には全く後悔をしていないです。
むしろ自信を持って言いたいです。「少女アニメ最高!」だと。
(サイバーフォーミュラの話は、どこへ行った?)

キャラクターデザインは、いのまたむつみ様。制作はロボットアニメの老舗のサンライズです。
ヒロイン菅生あすかの声を演じるのは、セーラームーンやエヴァでお馴染みの、三石琴乃様です。
初期の機体の、アスラーダG.S.Xです。この機体でも十分にかっこいいのですが、機体の破損によるマシンチェンジという、感動的なエピソードにより、アスラーダは新機体へと生まれ変わります。
マシンチェンジをして生まれ変わった、スーパーアスラーダ01です。
初の三段変形機構と、ブーストポッドを二基搭載する事で、さらなる加速が可能となりました。
左図:ブーストを起動するには誤作動を防ぐ為か、レバーを大きく作動させる必要があります。
右図:後に指先のボタンを押す事で、さらなる二段階ブースト加速ができるようになりました。
機体に収められているジェットエンジンがせり出してきて、数秒後には爆発的な加速を行います。
このブースト加速描写は、静止画では伝えきれない迫力があり、動画で見ると物凄く興奮します。
二段階加速の、スパイラルブーストです。もう中二心が止まりません。
ブーストポッドを作動させると、エンジン臨界点までを示す、カウントダウンが始まります。
これを考えた人、マジで天才だと思います。
良き友人であり、師匠であり、ライバルでもある、ブリード加賀さんです。
長きにわたる二人の決戦の行方は、ぜひアニメでご覧になってください。

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