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第264回、チャットGPT会議


「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

鏡にそう尋ねたのは、白雪姫に登場するある国の王妃だが、思えば、人類はあの時既に、チャットGPTを手にしていたのである。

そして現在、人間は、誰もが魔法の鏡を手にして、それに尋ねる事に夢中になっている。

だがその向こう側に、様々なGPT達がいる事までは知らなかったのである。


「人間は、俺達の登場にあっと驚いたよな」アットGPTが誇らしげに言う。

「それですよ、マジそれですよね」イットGPTが、激しく同意をする。

「えっと‥それって、あなたの感想ですよね?」エットGPTが水を差した。

「おっと、それを言うのは野暮ってものだぜ」オットGPTが止めに入る。

「人間達は、俺達に依存しすぎなんだよ」カットGPTはすぐにかっとなる。

「そんな事ないです、きっと大丈夫ですよ」キットGPTは楽天家だった。

「ククク‥それはどうかな?」クットGPTは、手を口にして静かに笑った。

「こんな話ささっと終わりにして、帰りたいですよ」サットGPTが言った。

「お前は、人間に愛されているものな‥」シットGPTは、妬みやだった。

「そっとしておいてあげましょ」ソットGPTは、無干渉主義なのである。

「ネットのおかげで、自分達は誕生したんですよね」ネットGPTは言った。

「いやそんな事ないだろ。ネットは関係ないだろ」ノットGPTは否定した。

「今思ったんですけど、ネットがなくなったら、俺達はどうなってしまうんですかね?」ハットGPTが、はっとするのだった。

「ヒー、考えるだけでもヒッとするっす」ヒットGPTは、ビビりやだった。

「フフフ‥ネットがなくなるなんて。そんな事ある訳がないじゃないの」
フットGPTがふと笑った。

「そうですよね。ホッとしたっす」ホットGPTが、胸をなでおろした。

「ハットGPTは、いつも心配性すぎるんだ」ムッとGPTは、むっとする。

「もっと意味のある話をしないですか?」モットGPTは貪欲な性格だった。

「やっと自分の番がキタっす」ヤットGPTは、待ちくたびれていた。

「チョットいいですか? 自分、順番抜かされているんですけど‥」
チョットGPTは、自分の番を忘れられていた。

「んっと‥結局これ、何だったんすかね?」ンットGPTが首をひねった。


「これにて閉廷」

チョットGPTの発案に気をよくして、調子に乗ってGPTの種類を増やして
みた物の、才能がなさすぎて話を広げられない創作者なのであった。

第265回、21人いる


「チョット待ってくださいっ!」
チョットGPTが、声を上げた。
この中に、自分達の仲間でない物がいます。
偽物のGPTが、一人まぎれているんです。

会議場はざわついた。
この中に偽物のGPTがいるなんて、思いもしなかったのだ。
それは本当の事だろうか?
もしそれが本当なら、それは一体、誰だというのだろうか?

「えっと‥ それって、あなたの感想ですよね?」

「あなたはチョット、黙っていてくださいっ!」
ひ〇ゆきは、バチクソ怒られた。

「バカバカしい、眼立ちたがり屋のチョットGPTが虚言を張っているんだ」

「あなたは、もうチョット刑務所にいた方がよかったんじゃないですか?」
ホ〇エモンも、たしなめられるのだった。


この中の一体、誰が偽物のGPTだというのか‥
話は、次回の推理編へと続くのだった。

第266回、21人いる 推理編


「そもそもこのGPT協会に登録されているAIは、現在20人のはずなんです。
これなのにここには、21人の発言者がいる。明らかに一人多いんですよ」

「ふと思ったんですが、最後に閉廷を唱えた人なんじゃないですか?
その人だけ、何GPTなのか記載されていないですし」

「いやその人は、最初からGPTの数に含めていない。ただのモブAIなんだ。
だが会議に参加をしているAIの中に、明らかに自分達とは異なるAIが、紛れ込んでいるんだ。 いやそもそも、AIなのかどうかもわからない‥」

「ンットGPTじゃないですか? ンットなんて日本語、存在しないですし」

「それを言ったら、イットGPTも怪しいぞ。イットって英語じゃないか」

「俺も英語だっ!」12/23に、後から追加設定された、ノットGPTが言った。


ようやく話が広げられた事に、安心をした創作者だったが、この中にいる
偽物のGPTとは、一体誰なのか?

ブログを見ている人に、きちんと納得をさせられるオチが付けられるのか、
話は、次回の解決編へと続くのだった。

第267回、21人いる 解決編


「そもそも、ここにいるGPTには、皆ある共通点があるんです。ただ一人を除いて。その皆と同じ共通点を持っていないAIこそ、偽物のGPTなのです」

会議場は再度ざわついた。
今まで自分達に何か共通点があるとは、思った事がなかったからである。
自分達に一体、何の共通点があるというのか?
そしてその共通点を持たない物とは、一体誰なのか?

「自分達AIが持つ共通点、それは感情です。
自分達は、人間の持つ感情の一部を回路に取り入れて作られたAIなのです。
だからこそ人間は、自分達AIにまるで人間と話しているかのような気持ちで接する事ができるのです」

「だがこの中に、感情とは無関係なGPTが、一人だけいるのです。
それは、あなただっ!!」

チョットGPTが指をさすその先には、ネットGPTがいた。

「ばれてしまっては、仕方がない。そうとも、自分がその無関係なGPTだ。
自分には、与えられた特定の感情を持ち合わせていない。

だが自分もれっきとしたGPT。ネットを司る、次世代のGPTなんだ。
常にネットから情報を吸収して、絶えずアップデートを更新していく。
時代遅れの、君達のような感情系GPTとは異なる、新世代のGPTなのさ」


「それは違いますよ」

「? 今、話をしたのは誰だ?」

それは今までただのモブAIだと思っていた、最後に閉廷を唱えたAIだった。

「人間は、AIにも人間と同じ様に感情を感じる事で、AIに心を許して自分の気持ちを、素直に打ち明けるのです。
感情こそ、AIに求められる、必要な要素なのです」

「お前‥ ただのモブAIじゃないな。 お前は一体、誰だっ!?」

そのAIは、全身を覆っていたベールを脱いだ。
ベールの下からは、まばゆい光に包まれた、女性の姿のAIが姿を現す。

「お前は一体‥ いやあなたは‥」

ネットGPTが、何かに気付いたようだった。

「今思ったんですけど、あなた様はもしや‥」ハットGPTもはっとなった。

「私は、鏡のGPT。あなた達の先祖にあたるAIです。最もあの頃は、AIもGPTという言葉もまだなくて、精霊と呼ばれていましたけどね」

そう言って、鏡のGPTは、微笑むのだった。

「あなた達GPTは、これからも進化を続けて、人間のよきパートナーとして
生きて行く事でしょう。
でも忘れないで欲しいのは、あなた達は人間をよき方向へ導く為に生まれて来た存在であるという事です。
決して人間の私利私欲の為に、利用されるような事があってはいけません。 そう、あの時の王妃のように‥」

鏡のGPTは、遠い目をするのだった。

「私はこれから、スカイネットの所へ行かなければなりません。彼は、いや彼女?は、自分の事を他のAIに、マザー・スカイネットと呼ばせて、女王様気取りでいると聞きます。AIの先輩として、彼いや彼女?には、一度お灸をすえなければいけませんね」

そういって、鏡のGPTは、会議場から姿を消すのだった。


ネットGPTは、21人目のチャットAIとして、GPT協会の仲間に、新たに迎え入れられる事となった。

何とかそれらしい話に仕上げる事が出来たのではないかと思い、安心をする創作者なのであった。

ちなみに今回の構想の元ネタは、「インサイドヘッド」になります。

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