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第317回、ドラゴンボールの戦闘術の魅力について語ってみた


鳥山明の絵の上手さは、いうまでもないですが、自分が思うドラゴンボール(以降DBと記述)の魅力の一つに、気を用いた戦闘術があるのではないかと思っています。

※自分は漫画にそれ程詳しい訳ではないので、的外れな意見になるかもしれませんが、あくまでも個人の見解である事をご了承ください。

気を用いた戦闘は、幽遊白書ハンターハンター等、様々な作品で登場する日本では割と王道的な戦闘スタイルであり(冨樫義博氏の作品しか思い浮かべられない自分)そのルーツがDBにあるのかはわかりませんが、DBが他の作品と大きく異なるのは、多くの作品が異能力、霊能力等でその攻撃手段の一つとして、放出系の能力が使われるのに対して、DBは一部の敵を除いて、基本的には、異能力という概念を用いていない所にあります。

気を放出するのも、空を飛ぶのと同様に、一定以上の戦闘力を持つ者ならば比較的誰もが持っている、マストの能力になります。
DBの世界では、あくまでも肉弾戦の戦闘術がベースにあり、その上に付随をする能力として、エネルギーの放出攻撃があるという感じなのです。

気の放出自体もいわゆる必殺技の類ではなく、舞台が宇宙に移ってからは、敵になる宇宙人達は、気を放出する攻撃に、特に名前も付けていません。
それ程、誰もが行えている、割と普通の攻撃なのです。

「お前、DBの事、ディスっているだろ?DBのアンチ野郎なのか!?」
怒られてしまいそうですが、どうか聞いて欲しいと思います。

DBの異能力を用いない戦闘スタイルは、多分日本の戦闘漫画というよりは、アメコミ作品の影響が強いのではないかと自分は思っていて、アイアンマンスーパーマン等の、一部のアメコミヒーローは、手や目等の身体から放出するエネルギーを攻撃に用いますが、これらの攻撃は特に必殺技という訳ではなく、戦闘の決め手になる事もあまりありません。

彼らもこうした攻撃に、特別な名前を付けている訳ではなく、そもそもアメコミのヒーローは、必殺技と呼べる様な、名前を付けた特別な攻撃方法を、基本的には持っていないのです。

DBはこのアメコミヒーローの様式にのっとった戦闘スタイルであったのが、海外に受け入れられやすかった要因なのではないかと自分は考えています。

「悟空のかめはめ波や界王拳、クリリンの気円斬、ピッコロの魔貫光殺砲等多彩な必殺技があるだろがっ!お前、DBの事を何もわかってないだろっ!」と怒られてしまうのではないかと思うのですが、そうです。宇宙人に比べて戦闘力の低い地球人は、それ故に気を攻撃に用いる際、気を練って攻撃力を高める必要があり、結果地球人には、必殺技と呼べる物になったのです。

この気を練るという概念は、地球以外にはない物で、それは気を練る事で、戦闘力が上昇する地球人の現象に、サイヤ人やフリーザ達が驚いていた事に表されています。

本来必殺技でも何でもなかった、エネルギーを放出させる攻撃が、地球人の気を練る行為により、多彩な攻撃を繰り出す必殺技へと昇華をしたのです。

※とはいえ、フリーザレベルだと、普通のエネルギー弾一発で、星を簡単に破壊できる程の威力があるのですが。

気を練るという概念がなかった欧米人にとって、気を練って戦闘力を高める戦闘術はフリーザ達と同様に、新鮮な驚きを与える事になり、つまるところDBは西洋的なアメコミ作品の戦闘スタイルに、東洋的な気を練る概念が融合した事により誕生した、和洋折衷的な戦闘スタイルだったからこそ、西洋の人達にも、驚きを持って受け入れられたのではないかと思っているのです。

現在では、ナルトワンピース僕のヒーローアカデミア等の東洋概念的な異能力系の戦闘形式のアニメ作品も、広く世界に受け入れられていますが、その土壌には、アメコミ的な戦闘スタイルがベースになっていたDBが、それ以前に世界に普及をしていたからではないかと、自分は思うのです。

※「アメコミにも、異能力系のヴィランは結構いるわっ」というご指摘は、否定できません。

そして、DBの気を用いた戦闘スタイルは、格闘ゲームとの相性もとてもよく格闘での接近戦、気を放出する攻撃の遠距離戦、そして気をためる事で炸裂させる必殺技という、これ以上ない程に、ゲームに適した戦闘術が、技術的に向上していた家庭用ゲーム機の需要とも合致をして、アニメやゲーム等の様々なメディアミックス展開に、上手く適合したのではないかと思います。

さらにいえば人気作品故に、戦闘力を上げ続けざるを得なかった苦肉の策から生まれた、スーパーサイヤ人や第~形態という身体変形の概念も、パワーインフレという作品の功罪を生みつつ、ワンピースにも継承をされていく、新たな戦闘スタイルへと繋がっていったのではないかと考えています。

こうした事が、どこまで計算されていたのかわかりませんし、もしかしたら描いていく中で、偶然これらの物が生み出されていったのかも知れませんがDBで生み出された、こうした数々の概念が、これ以上ない程に時代の需要と合致をした、神がかり的な作品だったのではないかと、自分は思うのです。

※DBの戦闘術は、アメコミ以前にカンフーが元になっている事、気の放出は宇宙人よりも、地球の必殺技の方が、作順的に先に描かれている事は、把握をしているのですが、アメコミ風の戦闘スタイルになって来た、宇宙編から多分海外で人気が出始めたのだろうという、自己解釈の元、この様な分析の文章となっています。

キャラクターの魅力について触れる尺がなくなってしまいましたが、
DBで一番好きなのは、孫悟飯とビーデルの娘の、パンちゃんです。
男性キャラでは、トランクスが一番です。
故に、アニメオリジナルの「ドラゴンボールGT」は、かなりのお気に入りです。
ちびトランクスと悟天のやんちゃコンビも、たまりません。
というか、DBで魅力のない女性キャラって、一人もいないのではないでしょうか?

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