怪談20「高架下のトンネル」
ある日、深夜に後輩を乗せてドライブしていた時です。
突然「うぉぉぉぉぉ」と後輩が悲鳴を上げました。
4人で乗っていましたが、その声で残りの3人は「ビクッ」となったわけです。
「どうした!」と言うと「今、外見てたら、いきなり女の人の顔が窓ガラスに張り付いたんですよ!」と答える。
はあ?となって、後輩が女性を見た場所に戻ると、そこは地元の、本当にその地域の人間しか知りませんが「出る」として有名な場所でした。
そこは女性の霊が出るということで、夜中に地元の方で通る人はいません。
その場所は、高速の高架下で長さはさほどなく、車はギリギリ2台通るか通らないかみたいな本当に細くて短いトンネルです。
いつから出るという噂になったのか?については付近の人の話を聞く限り、その高架下のトンネルが出来たころからだということです。
ですが、その前からかも?という話があり、調べていくと、高速ができる前は少し広めの雑木林だったそうです。
そして近所のご老人に当時聞いた時に「あそこは~、高速ができる前から女性の霊が出るってわしらの間では有名だったで~」とおっしゃってました。
ちなみに恰好は白に黒の模様っぽいワンピースの女性だそうです。
年代は昭和30~40年ごろの服装っぽいという話でした。
ちなみに、私はそのトンネルの近くに住んでましたが住んですぐに「あそこのトンネルは出るよ」と教えられましたw。
で、まあ、普段は通ることはなく、せいぜい通ってもその前を通るだけで、トンネル自体は使わないので気にもとめていなかったのですが、そのトンネルの前を通った時に、その後輩が騒いだわけです。
ただ、まあ、私としてはそれだけの話だったのですが・・・。
後日、そのトンネルの幽霊騒ぎが大きくなりました。
実は、そのトンネルから少し離れたところには、大きめの道路・・・つまり県道が通っているため、わざわざ迂回してそのトンネルの中を通る意味はなかったので、交通量も少なく、そんなに騒がれることもなかったのですが、一時期、その県道を補修するため迂回路が設定されたわけです。
それが運悪くそのルートの中に「高架下のトンネル」が含まれたわけです。
その工事は結構大規模補修だったので1ヶ月ほどそのトンネルルートを皆が通るようになったわけです。
幽霊騒ぎが起きるまで工事が始まってから、5日ぐらいだったと思います。
そのトンネルしか迂回路がないため、その道を通る人は、強制的にそのトンネルを通るようになる。
すると、その中の俗に言う見える人たちが目撃し始めたわけです。
そうなってくると、夜中にその県道のそのエリアを通る人が激減するわけです。
地元のもともとの幽霊話もあるわけですし、見た人はみな「女性の霊」を目撃しました。
そんな中の一人に私の母親も含まれています。
深夜まで仕事がたてこんだので、タクシーで夜中に帰ったそうです。
するとその県道が工事で迂回路にそのトンネルがある。
でもその時は私の母親はそこで出るというのは知らなかったそうです。
タクシーに乗って、そのトンネルを通る際に、女性の霊が大きく手を広げて、ものすごい形相でこちらを睨んでたそうです。
「うわぁ・・・」と思うも、タクシーの運転手に「そこ通らないで」と言うわけにもいかないし、そもそもすでにトンネルに入った後でした。
で、次の日、その話をしてましたよ。
ただ、女性以外にも男性が2名いたよ~と言ってました。
そして「あの女性はあの付近で昔、殺されてるんじゃないかなぁ」とも言ってました。
まあ、工事が終わればそのルートを通る必要がないので、少しづつ忘れさられました・・・が・・・。
その後、そのトンネルの入り口の反対側にある田んぼの側面の改修がありました。
これは、そのトンネルの入り口付近の道路の新規整備に基づく改修だったそうです。
(雑木林のころから代々、その前に田んぼがあったそうで、高速ができる時に急ピッチで田んぼの側面を工事したままだったらしい)。
結構大々的にやってほじくり返してるなぁ・・と思ったら、そこから女性の白骨遺体が見つかったそうです。
当時、新聞に小さく扱われてました。
その新聞には「昭和30年後半ごろと思われる女性の遺体」みたいなことが書いてありましたね・・・。
まあ、これで遺体は見つかったわけだし、供養もされたろうし、普通なら幽霊騒ぎが収まったりするわけですが・・・結果は✖。
今でも「出る」と言われています。
まだ犯人でも捜しているんでしょうか?
それともまだ別のところに遺体があって、今回見つかった遺体はまったく関係がないのかも?
と思う今日この頃でした。
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