怪談14「歩きまわる下半身」
これは当時働いていた職場でのお話。
その当時は、夜9時ごろから朝6時までの深夜の仕事をしていました。
仕事をしていた場所はけっこう古い建物で、建築当時にエレベーターの場所で落ちて亡くなった作業員がいるというベタな噂がある場所でした。
そんな職場には、男性の下半身だけの霊が出るというのが噂になってました。
たとえばある日、夜中12時から1時間の休憩時間に休憩室で4人で休んでて、一人はソファーにうつ伏せで寝て、のこり3人(その中に私も入っている)がテレビを見てました。
そうこうしているうちに霊感のあるMという人が、急に休憩室の入口を振り向き、そして嫌そうな顔してタバコを持って休憩室から出るそぶりを見せました。
それを見ていた私も入口を振り向くと、なんか地面から黒いモヤのようなものが出ているのが見えました。
それが少しづつ移動して、うつ伏せで寝ていた人(Aとします)の周りをゆっくり周り出しました。
私が再度Mを見ると、Mは私にアゴで入口を指し要は「出るぞ」という合図を送ってきたわけです。
私も当時はタバコを吸ってましたので、Mと一緒に、その休憩室を後にしました。
で、もう一人、テレビを見ていたKという人がいるのですが、この人は私とMが黙って休憩室を出ていったので「あやしい」と思ったらしく、私たちの後を追いかけるように休憩室を出てきました。
タバコを吸う場所にいき、吸い始めるとKが「おまえら、なんか見たんだろ」とちょっとキレ気味に言ってきました(ちなみにKは元ヤンですが、めちゃくちゃ心霊系は苦手な人です、よくMとつるんでいて、変な現象に見舞われてるということがありました)。
そうするとMが「ああ、あれねwあいつたまに入ってくるんだよな?」と私のほうを見る。
私には影にしか見えないですが、確かに定期的に職場で見かけてました。
しかし、休憩室では初めて見たので「休憩室に入ってきたのは初めてみましたけど、はっきりと見えないんですよ。なんですかあれ?」とMに聞くとMは「下半身」と答えました。
どうやら、職場には男性の茶色のチノパンを履いた下半身だけの霊がうろちょろしているそうです。
Kはさらにキレながら「で、自分たちだけ気が付いて無言で出ていこうとしたわけだ・・・ふーん・・・」とヘソを曲げてました。
私とMはまあまあ別に害があるわけではないから・・・となだめて、しばらくタバコを吸い続けながらそこで談笑してましたが、そうこうしているうちに休憩室でソファーに寝ていたAが起きてきました。
そしてこう言うんです「ちょっとMさんかKさんどちらかイタズラしてたでしょ」と。
私含めMもKも「?」となっているとAが言うのです。
「俺がうつ伏せで寝てるソファーのまわりをまわって遊んでたでしょ?ぜったいイタズラだと思って意地で無視しましたよ」と。
三人ともしばらく沈黙し、Mがニヤニヤしながら「ああ、それ下半身」とAに言いました。
Aが「なんですか?それ」と聞いてくるので、Mが下半身の事を話するとAは「なんで起こしてくれないんですか!一人で置いていかないでくださいよ!」と怒ってしまいました。
後日、職場の他の方たちにその話をKがしていると、意外と見た人が多かったんですよね。
Fという人は休憩時間ギリギリのタイミングで喫煙所でタバコ吸いながら、入口のガラスドアを眺めていると、茶色のズボンを履いた誰かがそのドアから見えるトイレに入っていく。
(そのガラスドアは上半分がすりガラスになっていて、人の上半身はあまりよく見えない感じ)。
そして休憩時間が終わろうというのに出てこないので、気が付いてないのかもと呼びにいくと、トイレは電気が消え、まっくらの状態。
そして誰もいない・・・とか。
仕事をしていて、作業台の後ろに茶色のズボン履いた誰かがぼーっと立っているので、後ろを見に行くと、誰もいないとか・・・。
目撃者は以外に多かったです。
その下半身は休憩室とは別に用意されている仮眠室にも表れるそうです。
なお、その職場はいろんな不思議なことが起きるので、意外なことに霊を信じている人が多かったり、話しやすかったりします。
一度は、夜中に一人で2時間ほど作業しなければならない場所があり、そこに霊が出て大騒ぎになって、とうとう「その時間はその場所で1人で作業しなくてよい」というお達しが出たぐらいです。
とまあ、そんな話ですが、この職場の話はまだまだありますので、ぼちぼち書いていこうと思います。
余談ですが、Aが寝ていたソファーで眠って、金縛りにあう人が定期的に出てましたね~。
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