怪談18「焼けた日本人形」
この話は、特に幽霊が出るというわけでもありませんが、自分の中で、当時どうしてそう思ったのかわからない不思議なものです。
本当に他愛のない話なので、今回の話は「ちょっとした独り言」程度のものと考えて読んでください。
私は定期、ヤフオクで必要なものを買います。
ヤフオクだと、掘り出し物が欲しいもの+その他いろいろ付いてきて、尚且つ、その物と同じ値段ぐらいで買える時があるんですね。
ただ、だいたいは送料が別になっているので本当に「たま~に」ぐらいなんですが。
そんなある日、ある出品者がものすごい数の日本人形を出品していたんですね。
普通は興味ないし、気持ち悪いと思うかもしれませんが、私は「不気味」なものが大好きだったりします。
ペストマスクとか、頭蓋骨の模型とか、時々買ったり、無性に欲しくなるわけです。
独り身の頃は、そういったものを部屋に無数に置いて飾ってました。
※当時の私の部屋は観葉植物と8台の水槽とそういった不気味なものがあるという、たぶん普通の人が見たら引くような部屋。
特に日本人形によっては、その不気味さがとても「美しく」もしくは「可愛く」見えてしょうがない時があるわけです。
そんな私が、その出品者が出していた日本人形のうち、ある一つにものすごい惹かれました。
その日本人形はあきらかに「焼けただれて」いたんです。
髪は縮れて短くなり、着物も少し焼けた上に古くてぼろぼろ、肌もすこし焼けた部分があり、そしてなんとも印象的なのは「目」です。
普通、黒眼の部分はすこし茶色がかってるとかそのぐらいだと思うのですが、その人形の目は真っ赤で、写真で見るだけでもすごく潤いがあるというか、なんかゼリーみたいというか、つやつやで柔らかに感じるわけです。
この日本人形がとにかく「欲しくて」たまらなくなったわけです。
他にもいくつも出品されていましたが、その「焼けた」日本人形がとにかく欲しい。
買おうかなと思ったわけですが、わたしの心のどこかで「ぜったいだめ」というブレーキがかかる。
でも欲しくて欲しくてたまらくて、一時期は勝手に画像を保存し、スマホに入れて持ち歩いてました。
仕事もそこそこにその人形を買いたい、買いたいと思って過ごしたわけです。
・・・・結果から言うと「買わなかった」んです。
なぜかですね、買おうと意を決して、入札しようとすると心のどこかで「やめたがいい」というセーブがかかる。
そんな状態がしばらく続きました。
その間、人形はまったく入札はなく、それから2回ぐらい再出品が繰り返されてました。
でも、時が経つにつれて「あれ、私はなんかおかしいぞ?」と強く思うようになってきたわけです。
なぜあんな人形を欲しがったのか?そして出品者はそんな焼けただれたものを出品しているのか?
今なら、そういったブームですから、誰かが買うだろうというのはあるかもしれませんが、当時はまだそこまでなかったわけです。
まあ、それでも風変りな方が買うだろうと出品するかもしれませんが・・・。
そうこうしているうちにだいぶ冷静になり「あの人形、なんかあったんじゃないのかな?」と思えるようになりました。
そうなると、買う気はまったくありません。
でもそれを知り合いに話した時があったんです。
そしてその知り合いにその人形を見せようと出品ページを開くと、もう出品は取り消されてました。
そしてその際にスマホに保存していた写真を見せようとするも、なぜかその写真もなくなっている。
間違って消したのかな?と思って、データのごみ箱欄を見ても存在せず。
さらには、その出品者は大量に出していた日本人形の出品をすべて取り下げていた・・・ということに気が付きました。
結局、あの人形はなんだったのか謎のままになってしまったわけです。
とまあ、他愛のない話ですが、今でもあの「目」の質感だけは忘れられないんですね~。
つややかで眼は赤く、本当にゼリーかなんかで作ったような質感に見える。
やっぱりこれって「憑りつかれて」いたんでしょうかね?
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