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怪談1「赤いスポーツカーの助手席」

 今から20年ぐらい前の話(記事書いているのは令和5年ね)です。
 当時、仕事が休みの時はほとんど夜中に遊びまわってました。
 釣りにいったり、ドライブ行ったり・・・ゲーセンで遊んだりなどなど・・。
 そんな冬の寒いある日、よく遊ぶ先輩(ここでは先輩を「S」と呼びます)と夜中まで遊びました。
 私は当時ある地方の田舎に住んでましたが、Sは私の住んでいる場所からさらに田舎にあたる地域に住んでいました。
 Sは車をもっていなかったので、遊ぶときはいつも私が車を出していましたが、その日も私の車で、夜中にSを家まで送っていました。
 途中Sが「あ、タバコきれたから、帰りにコンビニ寄って」と言ったので、Sの家まで行く途中にあるコンビニ(田舎なので、そのコンビニを最後に、そのSの住む集落には店が無い状態になります)に寄りました。
 このコンビニ、地元ではちょっと有名で、「変」なコンビニではあったんです。
 たとえば、このコンビニ独自で焼き鳥に「コチュジャン」のソースをつけて販売してますが、そのソースの辛さが異常で、食べた人が絶えれなくなるぐらい辛かったり・・はたまた、コンビニの裏は広めの空き地で、夜になると奥が見えなくなるぐらい広いですが、よく見ると、黒塗りの高級車が二台停まってて、映画のように黒服がアタッシュケースを交換してたりw・・などなど。
 なんだか「変」なコンビニでちょっと有名だったんです。
 ただし、コンビニ自体は小さく、駐車場はその空き地に勝手に停めるか、店の前に3台分の駐車場があるので、そこにつっこむかという感じです。
 私は、コンビニの前にある3台分の駐車場の一番左に頭から車を入れて停車。
 この時、時刻は夜中の3時ぐらいでした。
 Sはタバコを買いにコンビニへ入り、私は車から降りて、運転席のドアの後ろ寄りのとこに寄りかかってタバコを吸ってました。
 別に当時は車の中でも吸ってたので、別に冬の寒空の中、外で吸わなくてもよかったのですが、その時はなんとなくだったんです。
 そうこうしていると、赤いスポーツタイプの車(ロードスターだったと思います)が、私の車の横に(運転席側)、私と同じように頭から入れて停車しました。
 運転席側からは、25~30代ぐらいの女性が降りてきましたが、なにやら中に向かって話しています。
 女性は「○○ちゃん、ちょっと待っててね、なにか欲しいものある?・・・・(・・・・はおそらく相手が話している間)そう、チョコレートとオレンジジュースね~♪ わかった~♪買ってくるね~」と気さくな感じで助手席にむかって話しています。
 ふ~ん・・と思って助手席を覗いてみると、ちょっと異様な感じを受けました。
 助手席には若そうな女性が座っているのですが、冬にノースリーブの白のワンピースっぽい服を着てるんです。
 まあ、車で移動で、別に車から降りなければ寒くもないでしょうけど、なんとなく違和感を感じます。
 運転席から降りてきた女性はガチガチの冬服でしたから、なおさら異様に感じました。
 さらに、肌が異様に白い。
 白いワンピースに負けないぐらい白いんです。
 そしてなにより、異様な・・・違和感の正体は、運転席から降りた女性が話しかけていて、その女性の話を聞く限り、話が成立しているのですが、助手席のほうの女性の声がまったく聞こえない。
 さらに、黒い長い髪で、終始、うつむいて動かないんです。
 でも運転席の女性は話かけ、そして話が成立しているよう・・・。
 運転席の女性はドアを閉め、コンビニに入っていきました。
 私はというと、その一部始終をタバコ吸いながら、見ていました。
 私の立ち位置からは、助手席を斜め後ろから窓ごしに見下ろしている感じになります。

画像はイメージです。


 しばらく見てましたが、相変わらず、助手席の白い女性は微動だにせず、うつむいたまま・・・。
 あんまりマジマジ覗くのも変に思われるので、その状態から眺めてましたが、体感的に2~3分たったころに、急に視線を強く感じました。
 その視線がその助手席からなんです。
 もし視線を感じるのであれば、私の立ち位置からすると、助手席の女性はおもいっきり後ろ斜め上を向かなければなりませんが、女性は動かないまま、うつむいています。
 でもそこから視線を感じます。
 何度見てもうつむいて動いてないのですが、あきらかに見られてる感覚がありました。
 どういうことだ?と困惑しながらも、運転席に戻ろうかとも考えましたが、運転席に戻って座ると、位置的にその女性とほぼ平行に並ぶ・・・つまり、その女性が横を向いたりしたら、しっかり見えてしまう状態になるわけです。
 なんかどんどん怖くなってきて「Sよ・・早く戻ってきて!」と思ってコンビニ内を見ると、Sがコンビニの窓際の本売り場からこっちをガン見して止まっていました。
 (そのコンビニの本売り場から、私のいる駐車場を見ることができます)。
 その視線は明らかに私の横にいるその白い女性を見ています。
 しかも、めちゃくちゃ「うわぁ・・」というような恐怖の表情で硬直していました。
 そして、私が待っているにも関わらず、おもむろに雑誌を手にして、立ち読みし始めたんです。
 「この野郎・・・なにやってんだ!」と私は思うのですが、なんだかその場から動くのも良くないという怖さがあったので、動けず、ひたすら待つことに・・・。
 体感的にはすごく長く感じましたが、実際は数分だと思います。
 しばらくすると、赤いスポーツカーを運転した女性が買い物から戻ってきて「○○ちゃん(この○○ちゃんという名前は聞いていたはずですが、なぜか思い出せません)、待たせてごめんね~・・・・・うんうん、すぐ帰るからね~」と言って車に乗り込み、バックして駐車場を出ていきました。
 私はというと、振り向く勇気もなく、ただ、車が出ていくのを待つばかり・・・。

 車が遠のくにつれて、強く感じた視線も無くなっていきました。
 私がほっとしていると、Sがコンビニから出てきました。
 「ちょっとSさん、遅いっすよ!てか、人待たせといて雑誌読むとかありえんでしょ!」というと、Sは・・・

 S:「お前すげーよね~・・・あんなんが横に来ても平気でタバコ吸ってんだから、いやマジすげ~」

 と言うんです。
 私は「は?」と聞き返しました。
 するとSはことの次第を話はじめました。
 Sは、さっさとタバコとコーヒー買って店を出ようとしたらしいですが、店内になかなか好みの女性が入ってきた(つまり赤いスポーツカーを運転していた女性のこと)ので、「お?」と思ってたそうです。
 ナンパしようか少し考えましたが、もう夜中だし、まあいっかと思って店を出ようと私のほうを本売り場から覗くと、私がタバコを吸っていて、そして横に赤いスポーツカーがある。
 そのスポーツカーの助手席見たら、黒い長い髪の白い女性がSのほうを見ていたそうです。
 ・・・・見ていたというのはちょっと誤解があり、正式には「見ていたであろう」というのが正しいそうで、その女性の目と口は「真っ黒の空洞」だったそうです。

画像はイメージですが、肌の色はこれに近く感じた。

 それがSのほうをまっすぐ向いている。 「はぁ?」と思って私を見ると、私は運転席のドアにもたれかかりながら、その女性を斜め後ろから見ている状態で動かない。 (実はSは私よりはるかに霊感?持ちで、各種体験のうち1割はSと遊んでいるときに起こります)。

 うわ~怖え、外出たくねぇ・・・と思ったらしく、その女性を見ないように雑誌を読み始めたという内容でした。

 ・・・Sは「このコンビニ、「変」だから、あんまり寄りたくないけど、俺の集落に行く道でこのコンビニすぎたらもう店無いからなぁ・・」と愚痴ってました。
(一応、昼間なら集落の中に1件、おばあちゃんが経営する雑貨屋というなんでも屋はありますが、夕方5時には閉まるし、消費期限切れのものが大量に売られてるし(笑)という感じです)。

 しかし、私が見たときはうつむいて動かなかったし、そもそも運転していた女性は普通に話しかけてたし・・・と思うのですが・・・。

 やっぱりこの世ならざるものだったのでしょうか?そして運転していた女性は憑りつかれている?みたいな・・・。

 というそんなに怖い話ではありませんが、そんな体験がありました・・という話です。

 あんまり怖い話はないのですが、不思議な話はいろいろ体験していますので、ぼちぼちこちらで書いていこうと思っています。

※話は登場する「S」に該当する人から許可を得て書いていますので、無許可での無断転載、転用、YouTube、その他各種媒体への転用、転載、引用などは禁止とさせていただきます。


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