怪談4「雨が邪魔をする」
この話は今から20年ぐらい前、そのころは暇があると海釣りにでかけてました。
その時のメンバーは4人。
私と、霊感ありと豪語するT、ちょっとだけ霊感がある?後輩K、霊感など皆無の後輩Mというメンバー。
その日の夜は雨もなく、星も綺麗な夜でした。
Tの車が一番大きいバンタイプの車なので、Tの車で行くことに。
途中の釣具屋で餌や足りない道具などを買い、準備万端で海へ。
いくつかの橋を渡り、釣り場へ向かうのですが、Tがそのうちの一つの橋を渡った時に「あ・・・・今日は無理かも・・・」と言い出しました。
「は?まだ釣ってもいないのにどういうこと?」と聞くとTは、「行ったらわかるよ多分」と言いました。
後輩二人はというと、そんなの話をよそにはしゃいでました。
そしてやっと釣り場へ到着。
釣り場で道具を出し始めた時でした、急に風が強くなり、星空が雲で覆われ、それでも大丈夫だろうと釣りの用意をしていると、雨が降り始めました。
普通なら少々雨が降っても釣りを始めるのですが、みるみる雨が強くなったため、断念して道具を戻し、車へ入り込む。
「さっきまで晴れてたのになあ」と後輩たちがぼやく。
私がTの「あ・・・・今日無理かも・・・」というセリフを思い出していると、Tはやっぱりなという顔をしながら「場所移動して、雨の降っていないところに移動しよう」と車を動かしました。
Tが運転を始め、釣り場を離れてしばらくすると、雨も収まり、そして次の釣り場に到着。
今度こそと車を降りて道具を出しはじめると、また風が強くなり、そしてやがて雨が降り出す。
「ちょwマジだりい」と後輩たちがぼやいていました。
「仕方ねー移動するぞー」とTが言って、また一同、車に乗り込む。
そんなこんなを5、6回繰り返しました。
Mが「今日、なんか運悪いっすね~」と愚痴っていると、Kが「ほんとっすよね・・てか車酔いしたかも・・なんか気分悪い・・・」と言い出しました。
それを聞いてTが「ああ、横になれよ、たぶんしばらくはそうだよ」と言っているんですね。
そう言っているうちに、次の釣り場へ。
そしてまた同じように雨が降り出すのですが、もうその時は車から降りる前に突然豪雨(笑)。
さすがになんじゃこれ?と私が思っているとTが「ああ・・・お前見える?あれ・・・」といって車から堤防の一部を指さしました。
私には豪雨以外、小さい祠があるということしかわからない場所でしたが、そういわれるとなんとなく違和感があるような・・・という感じでした。
Tが「見えないか・・・今、その祠のあたりに集まっている奴らが、赤い目でこっち見てるんよ、原因はKなんだよね」と言いました。
Kが「もしかしてあれっすか?連れてきました?」とTに聞く。
Tは「そうそう、途中の橋でお前、拾ったんよね。やっと気が付いた?」とか話していました。
そこから、Tに説明を求めると、こういうことでした。
釣り場に行く途中にある橋は自殺で有名な橋なんですが、そこで、Kが男の霊を拾ったとのこと。
そしてその霊は、居場所を探すため、そのままKにひっついていたが、その男の霊は、釣り場などの他の霊などから歓迎されないようなタイプで、そのため、私たちが車を降りるたびに「帰れ~」と天候を悪くしていたらしいという話でした。
「でもね~今まではいいけど、ここはその祠に神様がいて、その神様のもとにいる他の霊たちも結構攻撃的なんだよね~。みんな目が真っ赤に光ってるし・・」とTは少しイラついた感じでそう言っていました。
まあ、私は時々そのようなものが見える?程度のものですし,Mはもちろん霊感0なので、あまり納得はいかないものの、雨が、今日は解散しようというTの意見に従い、釣りはあきらめるころに。
そして帰り道、Kが霊を拾ったという橋を通過しました。
それまで横になっていたKが突然跳ね起き「あ!今、外れました!」といいました。
Tは「ああ、そうだね~。もう大丈夫と思うよ~もとの場所に戻ったみたいだし、でもそんなに嫌われるような奴(霊のこと)だったのかなぁ」と言っていました。
その後、特に異常はなく、車を降りても雨は降らず、懲りない私たちは結局、橋を渡らなくてよい釣り場を探しにいきました。
あんまり、怖い話ではありませんが、そんなことで、あんなに雨と風で攻撃食らうのは嫌だなぁ・・・と思った出来事でした。
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