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「死神トーナメント」第3話

無人の廃墟と化した団地の夕暮れ___
静寂の中、風が吹き抜け、瓦礫がかすかに音を立てる。
シンは、両腕にメルメラの鋭い剣を同化させながら廃墟の中心に立っていた。

空は赤く染まり、長い影が地面に伸びている。
彼の前には、死神トーナメント2回戦の相手、マモルが立っている。
マモルの背面からは無数の針が生えており、まるでハリネズミのように見えた。
その光景はさながら異世界の戦士たちのようで、廃墟には極限の緊張感が漂っていた。

マモルは針を振りかざして構えた。その目には決意が宿っており、彼もまた譲れないものを抱えているようだった。

シン「お前も相当な覚悟を持ってこのトーナメントに参加してるんだな…」

マモル「そうだ!僕はこの力を手に入れた以上、引き返せないんだ!」

二人の間の空気がピリピリと張り詰め、一瞬の静寂が訪れる。
次の瞬間、マモルの背面から無数の針が一斉に放たれた。その動きは雷光のごとく速く、シンに向かって猛スピードで飛んでくる。

シンは瞬時に両腕の剣で針を弾いた。しかし、針の勢いは凄まじく、数本が彼の肩をかすめた。痛みが走るが、シンは動じることなくマモルに向かって突進した。

「お前を…倒す…!」
シンは叫び、両腕の剣を振り払った。
マモルはその攻撃をかわし、再び針を放つ。
針はシンの剣と交差し、激しい金属音が廃墟に響き渡る。

「僕はここで終わるわけにはいかない!!」
マモルは力強く叫び、全身を使って攻撃を繰り出す。針が次々とシンに向かって飛び、彼の動きを封じ込めようとする。

二人の攻防は激しさを増し、マモルの針とシンの剣が衝突する瞬間、まるで爆発のような衝撃が周囲に響き渡った。

シン「数が多過ぎるッ…!」
全ての針を捌くことができず、少しずつダメージが蓄積されていくシン。

メルメラ「シン、あれを使え」

シン「…そうか!」

次の瞬間、シンの背中から無数のウロコが生え、針に向かって発射された。

マモル「何だぁ?!!」

シン「一回戦の勝利で手に入れた能力だ!お前の針と互角とまではいかないが、軌道を変えるぐらいはできそうだな!」

マモル「無駄な努力を…!これならどうだ?」

マモルの攻撃が一層激しさを増す。
シンはマモルの猛攻を何とか受け流しながら、一瞬の隙を狙って反撃の機会を伺っていた。

徐々にマモルに近づき、ウロコの一閃を放ったシン。
ウロコはマモルの肩をかすめ、血が飛び散る。
マモルは一瞬怯むが、すぐに体勢を立て直し、さらに激しく針を放つ。

「この力で、僕は自分の道を切り開くんだ!!」
マモルは叫び、全力でシンに向かって攻撃した。針がシンを取り囲み、一斉に襲いかかる。シンは両腕の剣とウロコで、必死に針を弾く。

「君にはわからないんだ!僕の苦しみが!!」
マモルは怒りを込めて叫び、さらに激しく攻撃を仕掛けた。針が再びシンに向かって飛んでくる。

シン「お前は…何のためにトーナメントに参加したんだ…?」

マモル「僕はッ…!僕自身が生きる為に戦ってるんだぁぁあ!!」

シン「そうか…お前、自分の命を…」

シンは一瞬、戦いを躊躇ちゅうちょした。だが負けるわけにはいかない。ミコトを生き返らせるために自分も引くわけにはいかなかった。

シンは防御に徹していたが、マモルの針は次から次へと放たれ、シンの周囲に雨のように降り注いだ。シンはその猛攻をかわしつつ、マモルに接近しようとしたが、針の壁が彼の行く手を阻んだ。

「一回戦を勝ち上がっただけはあるね?でも、これはどうかな?」
マモルは不敵な笑みを浮かべ、さらに針を放ち続けた。その数は増え続け、シンは次第に押されていった。

「くっ…このままでは…」
シンは苦しみながらも、冷静に状況を分析した。彼の剣とウロコは次々と針を叩き落とすが、マモルの攻撃は止まらない。シンは体力が削られていくのを感じながらも、諦めずに隙を見つけようと必死だった。

「終わりだ!」
マモルは叫び、全力で針を放った。その瞬間、シンは目の前の針の壁を突破する決意を固め、一瞬で前に飛び出し、両腕の剣を一つの閃光として振るった。その動きはまるで雷鳴のように速く、針を斬り裂きながらマモルに接近した!

「何!?」
マモルは驚愕し、反射的に背面を向けて防御を試みようとした。しかし、シンの動きはそれを超えていた。彼の剣がマモルの針を払い落とし、ついにマモルの体に迫った。

「この一撃で決める!」
シンは叫び、全力で剣を振り払った。
マモルはその動きに驚き、避けようとするが、シンの速さには追いつけなかった。

剣がマモルの背中に深いダメージを与える。
「ぎゃぁぁぁぁあああああ!!!」
マモルは苦痛の叫びを上げ、地面に倒れ込んだ。



夕日が二人の姿を照らし、影が長く伸びていた。

マモル「嫌だ…死にたくないよぉ…」

シンは動けなくなったマモルを見つめ、表現し難い気持ちになっていた。

マモル「せっかくチャンスを手に入れたのに…これから僕の人生が始まるはずだったのに…」

シン「死神トーナメントに参加した以上、全員が幸せになることはできないんだ…すまない…」

マモルはその言葉を聞くと絶望の表情を浮かべ絶命した。
と次の瞬間

バクゥッ!!!


メルメラの口が大きく開き、マモルを丸呑みした。

シン「…ッ!」

メルメラ「何を甘っちょろいことしてんだ?さっさとトドメを刺せ。お前、まだ迷いがあるな?」

シン「うるさい…」

日が暮れて夜がやってきた。

死神トーナメント
第3話
終わり

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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