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10. 日本語クラスなのに大根料理フルコースレッスン

 どこにも所属することなくフリーランスでプライベートレッスンをしていると、ときどきクライエントからユニークなレッスン依頼が来ます。
そんなレッスンの一つに「大根料理フルコースを作ってみせる」というものがあります。

 もともとは日本語上級者のクライエントと「始末」の概念を勉強していたのが始まりでした。
「始末(しまつ)する」という意味は、「片付ける」とか、「処理(処分)する」という意味だけではありません。「浪費をしないこと・倹約すること」という意味もあります。
そこから「大根も葉から皮まで捨てずに使い切れる人は、始末が上手な人よね。まあ、私もそうだけど。ふふふ」という話になりました。

 その話にクライエントが食いついたのです。
「大根は葉も食べられるんですか?」、「皮も食べられるんですのか?」、「どうやって食べるんです?」と質問が続き、「先生、大根を1本買ってくるから、大根を葉から皮まで使って料理してください!」。
結局、自宅の台所を使って、大根料理フルコースのお料理教室を開くことになったのです。

 他のクライエントで興味がある人がいるか確認をしたところ、もう一人、興味があるとのことだったので、1コマ 90分×2人分ということで3時間の枠を取り、

・大根おろし
・大根の葉とナッツと鰹節のふりかけ
・大根の皮のきんぴら
・ぶり大根
・風呂吹き大根
・大根のステーキ
・大根の皮と油揚げのお味噌汁

の7品を作り、そのまま晩ごはんに突入。

 レッスン中は、「使えるものは最後まで使ってあげること・使い切る」意識の強さが話題となって盛り上がり、クライエントには「日本語だけでなく、文化と料理まで習えた」と非常に好評でした。

 実はこのレッスン、すでに3回やっています。もうすっかり定番です。
いやあ、料理が得意で良かった。

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