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連続小説「アディクション」(ノート50)

ギャンブル依存症から立ち上がる

この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。

〈「常連」〉

玉井さんの運営するバー「スリップ」の常連客として、「正力クリニック」のアディクショングループのメンバーが若干名定着してきております。

酒は飲めないけど私もたまに顔を出してますが、ノブさんと淡河さんは週イチペース。相羽さんや柳田さんもたまに顔を出すとか。

そして「ほぼ毎日」が魚さんで、いつもカウンターの右奥に鎮座し、カルーアミルクを舐めるように飲みながら、アディクションメンバーが来るのを待ち伏せ盗み聞きをしていました。

この日はノブさんと申し合わせて、店に来ています。

「相変わらず来てますね。」

「もうあそこは、魚さんの指定席か。」

「はい、もうアソコの席はずっと開けてます。居場所くらいは作ってあげて、他でお金落とされるよりいいかとw」

「玉井さん、さすがです。」

「まぁ、話を盗み聞きして、知り合い関係にラインばら撒くくらいで、特段害はないですからね。」

「それがかなり有害かと思いますが。」

「まぁでもこないだの『ゆっかー』の情報とか、なかなか面白いんですよね。」

「話を盛ってるし、多少の悪意は加わっていますが、まぁ面白いですw」

「あと、文章レベルが小学生にも満たないくらい稚拙なのが味ですよね。」

「『つば九郎』以上に漢字が書けませんからね。」

「『よこで性感しています』は笑いましたね。」

「『静観』なんですけどね。ああいう字だけは攻めてきてますよねw」

ディスられているのに気づいたのか、カウンターの奥でうなだれています。

「で、ノブさん、仕事決まったんですって?」

「はい、某タブロイド紙の風俗担当記者に採用されました。」

「それはおめでとうございます。」

「で、早速あおたんを取材して記事にすることにしました。顔出しは一応NGなんですが、了解取りました。」

「おお、それは楽しみですね。で、例の『体当たり取材』はノブさん?」

カウンターの奥から、鼻血を出しながらオレオレと立候補しているポンコツ詐欺師もいますが、敢えて無視して、

「まぁ、ボクがやらなきゃ記事になりませんからね。費用は会社持ちですw」

「いい仕事だよなぁw」

「そうでもないんですよ。あおたんだからいいけど、たまには朝●龍みたいなのを取材しなきゃいけませんからね。」

「●青龍なんか出てきたら萎えますよ」

「屑星さんはD専だからいいんじゃないんですか?」

「顔が朝青●なら萎えますし、実際そういうのに当たって萎えましたw」

「で、卒業はいつですか?」

「あ、もう週末には。」

「淡河さんも寂しくなるかな。」

「まぁここには、ちょいちょい顔出そうかなと思ってるので、そこで会えればいいかなと。」

そして、ノブさんから、「衝撃の相談」がありました。

「で、屑星さん、実はですね。」

「はい?」

「僕、道程なんですよ。」

「え、そうなんですか。」

「はい、洞庭です。」

「てことは、英知の経験なく取材なんですか?」

「どうすりゃいいすかね?」

奥のカウンターの男がマウント取ったような勝ち誇った表情をこちらに向けたので、取りあえずあかねんにハリセンで全力で殴ってもらいました。

「しかしそれでよく、その仕事する気になりましたね。」

「まぁボクも自分を変えてみたいと」

「一皮剥けたいと。」

「あ、そっちは剥けてます。」

「そうですか、火星の私には羨ましい次第です。」

また奥のカウンターの男が私に対して勝ち誇った表情をしますが、あえて無視させていただきます。

「でもまあ、それを含めて正直に記事にしたらむしろ面白いんじゃないですね」

「そうか。そういうのもありますね。あおたんにもその辺相談しつつ記事にしてみようかな。」

「おー、楽しみになってきました。」

「それに、屑星さんのようにどんだけ小さい火星人でも、堂々と風俗行けて子供作れるんだから、少し自身が湧いてきましたよ。」

「ノブさん、人と比べるのはよくない」

ノブさんの復活初仕事のあおたんの取材記事は「40歳同定記者、これにて自立」の見出しが大反響を呼び、大成功裡のスタートが切れました。

で、奥のカウンター男がご丁寧に、私が火星人であることをラインで一斉にばら撒いておりました。

「自分だけは許していい」〉

どうせ、色んな人にはゆるされないんですからw

倉骨さん、ゆっかーを悲しませないためにも、もう痴漢は絶対にするなよ、と私からは敢えて言いません。それをやらかすとどれだけ悲しいことになるかを一番知っているのはアナタですからね。まぁ、やらかしても私は驚かない。これは誰にでも言えることです。だって依存症だもん。

淡河さん、一番ウソつきなアナタが実は一番自分に正直だと思います。本来、人ってこう生きるべきかもしれません。そういうわけで、ギャンブルやめろとは言いません。てか、間違いなくアナタが生きて行けているのはギャンブルがあるからでしょう。

玉井さん、何事においてもいつも私の一歩前にいる人でした。本当に頭のいい人ってこういう人をいうのかなと。だから、スリップしたら私は笑いますw。たぶんアナタがスリップしても私は悲しくならないでしょう。そういうわけで今後スリップしないと思うので、あかねんとお幸せに。

大北さん、心から尊敬いたします。ギャンブル依存症に真摯に向き合い戦う姿勢はとても真似できるものでなく、他人にどれだけ煙たがられ押し付けがましく思われても、何よりもギャンブルをやらないことを軸にしていることは素晴らしく誇らしいと思います。こないだスリップされてしまいましたが、私はむしろそれを打ち明け、再び向き合い取り組む心意気にむしろ感動しました。私もギャンブル止めることが果たしてライフワークにできるんだろうか。茨の道ですね。

迫丸さん、過去の栄光にしがみついてもいいと思います。それを励みと癒やしにできるなら。過去はどんどん語りましょう。語れる過去があるのは素晴らしいことです。私は人の自慢話を聞くのが大好きです。これからも色々と聞かせてください。

ノブさん、卒業「自立」おめでとうございますw。新生活でのご活躍が何よりも嬉しいです。共依存を恐れて人を好きになるのをためらうとか。でも当たって砕けるしかないのなら、それでだめならまたクリニックに通いましょう。あ、別に誰とくっつこうが構いませんが、あおたんだけはやめといた方がいいと思いますwww

さて、魚さん、特にありませんw

まぁ、やる気がなくても、向上心が無くても、他人任せでも、自己中心でも、卑怯者でも、生き延びることがなにより大事で、どんなに迷惑なポンコツでもむしろ迷惑かけ倒して生き延びることが大切です。実はこういう私も見る人によってはポンコツで役立たずで消えて欲しいと思われているかもしれません。だから、それに憚らずにのうのうと生き延びてやればいいんだと、もしかしたら魚さんが鑑なのかもしれません。

アディクション主要メンバー?を、思い起こして、とにかく周りが自分を許さなくても、自分はどんなことがあっても自分を許そうと思うのでした。

今回はここまでとします。

GOOD LUCK 陽はまた昇る
くずぼしいってつ




















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