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商いの「正負の法則」

 何かを得れば何かを失う、何かを失えば、何かを得る。この世の中には、世にも恐ろしい法則があります。それは、ミワちゃまこと美輪明宏さんが発見した「正負の法則」です

 「正」というのはプラス、「負」はマイナス。つまり陰陽です。「正」は「幸運」、「負」は「災い」に例えることが多いようです。

この法則は昔からいろいろな表現の仕方で伝えられています。「苦あれば楽あり」「吉凶禍福はあざなえる縄のごとし」「栄枯盛衰は世の常なり」など、昔から手を替え品を替えて世代から世代へと伝えられてきました。

 人間は誰しもが「正」だけを望みます。五体満足に生まれて、お金持ちの家に生まれて、家族愛に恵まれて、学校も成績優秀で、蝶よ花よと育てられる。そのうえ、器量がよく、才能にも恵まれて、トントン拍子に進学学校を卒業して、一流大学に入って、一流企業に就職する。そして、誰もが羨むスバらしい相手と結婚できて、子供にも恵まれて、ドンドン出世して財産も増えていく。そう望むのは「正」だけの法則です。

 これは宇宙の法則に反するとミワちゃまはいいます。「正」のみというのは「宇宙法則」に反した「エゴの法則」なのです。だから、あまりにも「正」に恵まれた人は早く命をとられます。そうかといって、ミワちゃまによると「負」ばかりでもあの世からすぐ呼ばれるそうです。地獄も人手が足りないからです。あんまり悪いことばっかりやって、全部が「負」ののみという人も死刑になったりして、すぐに呼ばれてしまうわけです。

 なぜそうなるかというと、私は、「正」と「負」は波動だからと思います。「正」と「負」は流転し続けます。「正」が大きくなりながら遠ざかっていきます。極限に達すると反転して、小さくなりながら近づいてきます。「負」はこれと逆の動きをします。「正」が大きくなりながら遠ざかっていくときに、「負」は、小さくなりながら近づいてきます。「正」が極限に達したとき、「負」は太極(根源)に到達します。「正」が反転して、小さくなりながら近づいてくると、「負」は大きくなりながら遠ざかっていくのです。

 だから、良いことが極まるとあとは悪いことが起きるのです。悪いことが極まると、今度は良いことが起きるのです。波動の原理は、「正負の法則」にピタリと当てはまります。

 また、いくら「正」に恵まれた人でも、必ず「負」の部分を抱えています。ある人の一生、家族の幸せ、会社の盛衰、国家の興隆など「閉じられた系(関係性を排除した系)」でみると、「正」と「負」のトータルはチャラ、総和はゼロなのです。

 例えば、事業で成功して、一見すると「正」の部分に脚光を浴びている人でも、家族に病人を抱えていたり、孤独に苛まれていたりと必ず「負」の部分があります。「負」の部分から目を離そうとして、「正」の部分に没頭しすぎると、栄華を極めたのちに一気に没落する場合も多いのです。「人は好みに滅ぶ」という言葉は、「正」の部分に没頭しすぎて、「負」の部分に目を向けないことを戒めているのです。

 家族の幸せも同じです。兄弟が何人もいると、上の兄弟は出来が良く、いい大学に入って、エリートラサリーマンや学者になっているのに対して、下の弟は、出来が悪く、高校は中退、不良グループの仲間入りをして、警察に厄介になることもしばしばです。

 家族は下の弟の将来を心配するどころか、いっそのこといなくなってしまえばいいように考えたりします。ところが上の兄弟の「正」の部分は、下の弟の「負」によって、賄われていたのです。下の弟を厄介者扱いして、追い払うのではなく、下の弟を大事にして、優しい言葉を投げかけ、優しい態度で接するのです。

 「お前は、家族みんなの『負』の部分を一人で抱えてくれたんだね。辛かっただろうね」と感謝の心で受け容れると、「正」の部分が保たれます。一方で、「お前なんか生まなきゃよかった。家族の面汚しだ」と罵って、「系」の外に放り出すと、残された家族の中で「正」と「負」のバランスをとることになり、一気に「負」の現象が雪崩れ込むのです。

 企業の興亡も同じです。昔から、業績がいい会社ほど、あえて、「不採算部門」を抱えています。収益の面では、「負」である「不採算部門」があるからこそ、本業の「正」の部分が保たれるのです。

 「負」の部分は、誰しもが持っていて、それをどこまでも自分が承知して、納得して、それを上手にだましだまし抱えて生きていくことが上手な生き方なのです。

 商売も一緒です。まず、損をして、「負」を抱え込むのです。すると雪崩のごとく「正」が押し寄せます。「正」が極みに達する前にまた「負」を抱え込むのです。それは、お客に還元するのでもよいし、困っている同業者を助ける、従業員にたっぷり賞与を奮発する、慰安旅行で大盤振る舞いするのでもいいのです。

 常日頃から、付き合いは損から入る、与えっぱなしで見返りを求めない「愛の大売り出し」をして、「負」を抱え込むのです。さすれば、雪崩のごとく「正」が押し寄せます。

 借金をたくさん抱えたお店があります。年商に近い借金です。借金を早く返して、楽になりたいと考えて、儲けることばかり考えて高い値で売ったり、お客を騙してインチキ商品を正規品の値段で売ろうとすると、「正」からますます嫌われて、「負」を抱え込む一方です。

 逆に、開き直って、「借金はいくらあっても命まで取られることはない。商売続けられればそれで十分だ。こんな店でも来てくれるお客がいる。そんなお客にお礼がしたい」と儲けは少なくてもいいから安く売るのです。これは「負」の先払いです。「負」を先払いすると、「正」が雪崩のごとく押し寄せます。これが「商いの『正負の法則』」です。

 国の財政も一緒です。税収を増やすには減税すればいいのです。減税すれば、一時は税収が減るかもしれませんが、消費活動が活発になって、経済が回りだし、企業の収益が増えれば、結果として税収が増えるのです。

 名古屋市の河村たかし市長が断行した5%の市民税減税により、その後の10年あまりで他の主要都市と比較して税収が大きく伸びている事実があります。5%でもお金を市役所に預けるより、市民が自分で自由に使った方が、景気を刺激し、結果として税収が増えるのです。
 
 現在、日本の税収は68兆円。うち消費税と所得税が22兆円、法人税は13兆円です。これに対して、コロナ関連予算は3年間で77兆円です。これは政府が信用創造してお金を刷ったものです。信用創造してお金を刷る、その手があるなら消費税など導入することも、増税することも必要なかったのです。国民を騙して「正」を溜め込んでいる政府はすぐに早死にしますよ。


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