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もうレッテル貼りをやめませんか

 人間には、右派か左派、こだわりか安売りか、レッテルを貼り区別しないと安心しない習性があるようです。連日地上波では、「悪」とレッテル貼りされた対象を司会者とコメンテイターが無差別攻撃をします。

 スーパーマーケットも、①高質スーパー、②レギュラーチェーン、③ディスカウント店にレッテルを貼り区別されます。

 ➀高質スーパーは「こだわり」商品をメインに扱います。「こだわり」と「本物」は異なります。「こだわり」は自分評価ですが、「本物」は他人評価=世間評価です。「本物」はお客を惹き寄せますが、「こだわり」はお客を遠ざけます。

 ②レギュラーチェーンは巨大食品メーカーの支配下に置かれています。巨大食品メーカーの特約販売店と言ってもいいでしょう。品揃えの自主権はとっくの前に巨大食品メーカーにはく奪されています。

 巨大食品メーカーが販売しているのは食べ物ではなく“毒物”です。いつから“毒物”を販売するようになったのか。巨大食品メーカーが②レギュラーチェーンとダミー問屋を介して直取引を開始した1960年頃からだと思います。いつの間にか、巨大食品メーカーの協賛金とリベート、運営支援なしには企業が運営できなくなってしまったのです。巨大食品メーカーの支配下にある②レギュラーチェーンの店頭は“毒物”だらけです。

 “毒物”を避けるために、農薬やホルモン剤を極力使わない国産品を使い、添加物を最小限に抑えた「御当地メーカー」の商品を仕入れようとしても、③ディスカウント店のレッテルを貼られた地方スーパーには卸してくれません。①高質スーパーが「御当地メーカー」と③ディスカウント店が取引することを拒むからです。

 地方スーパーが玉子や牛乳、納豆、ヨーグルトを安売りするかと言えば、安く売らなければ、経営が成り立たないからです。

 資金もない人材もいない、売場は狭くてまともな品揃えもできない、駐車場もない・・・。こんな店が何とか経営を維持するためには、回転率を高めるしかないからです。②レギュラーチェーンが30%の粗利益率を取るところ、③ディスカウント店というレッテルを貼られた地方スーパーは同じ品質の商品なら例えば10%の粗利益率で3倍、15%の粗利益率なら2倍売ることを狙わないと経営が成り立たないのです。

 訳あり商品でもない限り、仕入原価は②レギュラー商品より高くなりますから、身を削って販売しているのです。

 当然従業員には負荷がかかります。負荷がかかってもお客の「ありがとう」と言う言葉で疲れがぶっ飛ぶのです。それがお客との距離が近い地方スーパーの醍醐味です。

 2012年公開の映画「のぼうの城」では、武州・忍城は、石田三成率いる2万強の軍勢に囲まれます。城を守る側は、「虎口(城の出入り口)」を一瞬開け、守る側がまず打って出ます。

 その部隊を率いる侍は攻める側から集中攻撃を浴びます。その攻撃をかわしながら、敵を「虎口」まで呼び込みます。城門をこじ開けた攻める側は、一気に城内に突入しようとします。その瞬間、「桝形:虎口の内側にある四角形の空間」に敵を閉じ込め、分断化した敵をせん滅していくのが城を守る側の常道です。映画では、ぐっさんこと山口智充さんと成宮寛貴さんが名演技をします。

 1割の兵が損耗したら、攻める側は戦意を喪失すると言います。「この城を攻めるのは諦めよう」となるのです。地方スーパーが安売りするのはこのためです。戦わなければ、安く売らなければ、独立は維持できないのです。

 ➀高質スーパーは特権階級です。高質スーパーは、「御当地メーカー」の商品を扱う見返りに特定地域でも独占販売を約束させます。「御当地メーカー」の商品を扱うと言っても定番ゴンドラの片隅に、1フェイスか2フェイス売場があてがわれるだけです。エンドや大陳スペースで大々的に売り込まれることはありません。1ヶ月2、3本売れればいい方です。

 地方スーパーには、「金カゴ」に「釣書きPOP」を取り付け、担当者が売場に立ち、商品説明をします。時には試食販売をします。1回当たりの仕入れ本数は仕入原価が@500円なら100本、5万円です。これを1週間か2週間で売り切ります。売り切ったら追加発注(おかわり)します。販売数量は1ヶ月200本、仕入金額は10万円になります。

 高質スーパーに特権を与えて、半年かけて1ケース(12本など)売るのと、地方スーパーに育成を任せて、100ケース売るのでは、どちらが「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」なのでしょうか。

 「飼い殺し」にするのが①高質スーパーの常道手段です。さらに②レギュラーチェーンは店舗数が多いため、製造能力に限界がある「御当地メーカー」の中には、ヒットしてブームになったら、供給が間に合わなくなり場合があります。供給が間に合わないとペナルティを課す企業もあることを知っておくべきです。

 急激な円安は千載一遇のチャンスです。現在は1ドル=150円ですが、すぐに200円、300円になります。私が学生の頃は1ドル=250円でした。ユニクロも100円ショップもありませんでした。

 トヨタの高級スポーツカー「ソアラ」が若者の憧れでした。スーツは「BIGI」などデザイナーズブランドが大流行しました。1985年8月の日航機墜落事故、8月のプラザ合意を経て、「ソアラ」が「カローラⅡ」に、「BIGI」がアオキの格安スーツに変わりました。あの時代は熱く、夢も希望もありました。

 賽は投げられました。地方スーパー、個店経営のスーパー、そして「御当地メーカー」にとって最大のチャンス到来です。今すぐ立ち上がって前進あるのみです!

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