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2月7日(夜)

自室に戻ると、やけに暑かった。

―おっとおっと。ヒーター点けっぱなしだ。

未だに夜は冷えるとはいえ、さすがに部屋を温めすぎた。
ただでさえ、風呂上りで体温が上がっている。その上、私はもこもこパジャマを愛用しているので、暑い。
寒がりには丁度いいのだが、やりすぎもよくない。
未だにその辺の調節が上手くいかない。
ただまぁ、寝ている間は電源を切っているので、今のうちに温めておかないと、寝ている間に冷える。
「……」
携帯を机の上に置き、ヒーターのスイッチに手を伸ばす。
とりあえず、少し下げておこう。また冷えてきたら上げればいいか……。それも割と面倒だが、仕方ない。
暑すぎても集中できないし。
なんだかんだ、面倒な体質というか性格というか。めんどくさいやつなのだ私は。

―こりゃ、妹のことも言えないな。

さて。
さてさて。
今日も、いつも通りに。
「……」
机の上に置いた携帯に、充電コードを刺し、置きなおす。
時間を横目で確認……丁度いい時間だ。やるとするか。
「……」
椅子に座り、頭上にある棚から、一冊のノートを取り出す。ついでに、下敷きと、メモ帳代わりのノート。
PCの電源をいれ、音楽アプリを起動。
今日は……これで良いか。どうせ、聞き流しているだけだし。
「……」
机の右端に置いてあるペン立てから、シャープペンシルを手に取る。
芯の太さは0.2。濃ゆさはHB。
細くても折れないと流行った、あのシャーペンを使っている。
昔は芯が回るやつを使っていたが、どうもうまく扱いきれずに、今はこれを愛用している。
この固い感じが、何とも言えない。
「……」
右手にそれを持ち、芯をだす。
左手で、ノートをめくり、マグネットのしおりが挟まっている部分を開く。
そこには、何も書かれていない、見開きのページ。
―正確には、左上の方に、三つの言葉が書かれているが。
はて、今日は何を書くんだったか……。
「……」
あぁこれか。
昨夜かいた適当なプロットもどきを見て、思い出す。
今日書く、物語を、頭の中にインプットする。
書出しはどうしようか……もう2月だが、未だに冷えるしなぁ。そんな感じでいいか。とりあえずは……。
どうせ、Wordに書き出すときに、違和感があれば変更するし。
「……」
書出しが決まってしまえば、あとは流れに任せて書いていく。
何度か止まることもあるが、それは意識のなかで、何かに引っかかったときくらいで。ほとんど止まることなく、書き進める。
頭の中で、流れ出している。
どこかの誰かの物語を。
「……」
これに、意味なんてものはない。
書いて、生み出している、この子達に。
正直言って意味はない。
私のただの自己満だ。
―読み手に何かを伝えるなんて、烏滸がましいにもほどがある。
「……」
言ってて虚しくなるなぁ。
「……」
確かに、評価が欲しい時はある。
今だってそうだ。
誰にも評価されずに、ただ生み出すだけの行為が。
はたして何のためになるんだと。
思わないわけでもない。
「……」
それでもまぁ、書かずにはいられないし。
書かないで、私の中にだけあるのも、なんだか持ったないように思えてくるのだ。
そんなことは、絶対ないだろうけど。
「……」
だって、万人受けなんて知らないし。
今の流行りとかも知らない。
書きたいものをひたすらに、書いているだけだ。

それでも、まぁ。
いつかは報われるだろうかとか。
想うぐらいはいいだろう。

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