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ドアチャイムは歌う

玄関のドアチャイムって、結構、人の感情を伝えるものだと思っている。
来客はみんなドアチャイムを指で押すわけだが、その押し方に、その人のそのときの、心理状態が出るというか。

経験上、ドアチャイムを連続して鳴らす人と、ドアチャイムを鳴らしたあとにすぐに手でノックをする人は、99%セールスだ。
ヤマトや佐川の配達の人は、これをしない。

どうしてなんだろう? と思っていたんだが、これはたぶん、
「自分を受け容れてもらえると思っているかどうか」
という、気持ちの問題なんだよね。

配達の人は望まれて訪れているわけで、邪険にされたりはしない。
だから、一回ドアチャイムを押したあと、ちょっと待つ余裕がある。もちろん急いでいる時もあるけど、それでも待てる。
それで、(気づいてないかな? 不在かな?)と一瞬考えたあとで、もう1回押す。それでも出なければ、不在票を入れる。

この、ほんのちょっとの間が、セールスにはないことが多い。
それは急いでいるからとかではなくて、(相手に歓迎されていない、どうせ邪険にされるだろう)という不安感や拒絶感のせいだろう。イライラしたときにコツコツ机を叩いたりするのとかと、同種のストレス反応だ。
ドアチャイム越しに、それが伝わる。
で、こちらは出る前から、出たくないな……と思ったり。

たぶん、フられ続けた男がどんどんドツボにハマっていくのと、おなじことなんだろうなぁ。歓迎されていないのを本人がわかっていて、その焦りが相手に伝わってしまうという。
もちろん、そうでないセールスもいるんだが、そういう人は、きっちり割り切って仕事をしている感じがする。
まぁ、こちらとしてはどちらにしろ、丁重にお帰りいただくだけなんだが。

ちなみに僕のいまの家のドアチャイムは、一回押すと「ピンポーン…ピンポーン…」って2回鳴って、鳴ってるあいだにもう一回押しても反応しない、一番スタンダートなやつ。
1つ前の家のは、一回押すとみじかく「ピンポン!」って鳴って、連打が可能なやつだった。

このタイプ

個人的には、このタイプの方が、よりダイレクトに感覚が伝わってきて好きだ。

「ピンポピンポン!」って連続で鳴らされても、セールスのものか配達のものかわかる。
(これは『アナと雪の女王』で、エルサがアナの部屋をリズミカルにノックしてる感じのチャイムだな…。おそらく、なにかプライベートでいいことあったヤマトか佐川のあんちゃんが、荷物をここまで運んできたノリで、タターン! って押したんだな…)
みたいなのが、音からわかるというか。
あとは「ピン…………ポン…………」って息を潜める感じできたりすると、配達でもセールスでもなく、宗教だったりする。
結構、バリエーション豊か。


今の「ピンポーン…ピンポーン…」って自動で2回鳴るやつだと、そこまでは伝わってこないので、それが物足りない気もしつつ。
いや、まぁ、やっぱいらねえか、その伝わり……という気もしつつ。

内と外の境界、ドアチャイム。
注意して聞いていると、ちょっとおもしろい。

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