鶯たちとお爺さん

仕事場で黙々と作業をしていたら、外から鶯の声が聴こえてきた。
ホー、ホケキョ、、、ケキョ。
ちょっとまだ練習中っぽいヤツ。

そういえば、例年は家にいても盛んに聴こえてきてたのに、今年は全然聴こえない。

あぁ、アレだ。
先日火事に遭ってお爺さんが亡くなったあと、全ての樹木を伐採されてしまったあの家の、森みたいな庭で鳴いていたんだな。

↓これな。


今年もいつも通りに鶯が来ようとして、アレ?いつもの樹がない!ないないない!!ってなったのかな。

お爺さんの家は、少しずつ片付けを進めているようで。
まだ焦げ臭さ漂う家から、すっかりハゲになった庭にいろんなものが投げ出されている。

ブラウン管テレビ、二層式洗濯機、古ぼけた赤ちゃん人形、カローラみたいな普通のミニカー数台、半分焼け爛れた古い冷蔵庫、溶けた赤いポリタンクがなぜかいくつも。それと、山のような瓦礫クズ。。。

古い古いものたちを通して、在りし日のお爺さんの暮らしぶりが見えてくるようで、ちょっと胸が痛む。
生前は時々家の前にカブが停まっていて、役所だか信金だか民生委員の人だかが訪ねて来てるんだなと思っていたけど、その人以外に訪れる人はいたのかな?

時が止まったような家の中で、番組の映らないブラウン管テレビをぼーっと見て過ごしていたのかな。それとも、卧して天井だけを見つめてたのかな。

今年からはきっともう、家で鶯の声を聴くことはなくなってしまう。
次の場所は見つかったかな。
お爺さんはもういないけど、鶯たちはどこかで元気に鳴いていることだろう。

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