2024/06/25ブックガイド 無分別

無分別
オラシオ・カステジャーノス・モヤ

おれの精神は正常ではない、の一文から始まる本書。主人公は、千百枚に及ぶ大量虐殺の報告書の校閲という仕事に従事するなかでバッコリ精神を病んでいく。想像力はさかりのついた犬だ、の言葉通り、妄想が妄想を呼び分別を失っていく。それは勘繰りすぎじゃないか?というこちらの気持ちを完全に無視して暴走する姿にシリアスな笑いを感じた。夜勤明けでしんどい時の気持ちとフィールして、妙な実態感があった。「思い出すということは、もう一度生き直していると感じる」という破格な言葉があり、嫌なことは絶対に思い出さないという教訓を得た。

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