2024/08/29ブックガイド 無銭横町

無銭横町
西村賢太

「てめぇ、この乞食野郎!チリ交まがいの、せこいバタ屋商売をしてやがるくせに、いっぱしの古書店ヅラをしてんじゃねぇよ!どうせこんな場所でのしがない雑本売りじゃ、すぐと惨めに店を畳むことにもなるだろうぜ。借金かかえて首吊って死ね!」名文である。孤高の私小説家、西村賢太の短編集。その表題作の中で、古書店の店主相手にこの暴言が飛び出す。その後、走って逃亡し、この店を二度と利用できないように自分を追い込む様が非常に美しい。その後も気に入らない他店の主人に対して、聞こえないように悪態をつきまくる。筆者の作品はこの怒りの爆発によって支えられている。西村賢太を読む人間はこれを今か今かと待っている。そして北叟笑む。最高!

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