2024/06/18ブックガイド ブンバップ

ブンバップ
川村有史

これほどストリートのフレイバァがムンムンと薫る歌集はいまだかつてなかったのではないだろうか。当たり前のように韻が踏まれていたり、スケートボードやヒップホップなど作者のバックボーンが感じられる言葉が連なっている。すごく直感的というか、遊びの延長に短歌があるような身近さ、ページ数も丁度いい短さ。短歌の枠組が広がるような新感覚。そもそも閉じられてもいなかったのか。『ぼくは貧乏ぼくの家族も貧乏でだから貧乏なんて気にしない』『つまんねーって君が言うとき面白いひとりで来た時つまらなかった』『エミネムがまた怒ってる15年前からずっと股を持ってる』『重心が左へ寄ってたのに気づく推力のなか肘をすませば』『年相応を気にする日々が都市構想になるまで作業着のすそが濡れる』

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