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高校部活から日本語教育を考える

12月19日(日)は大学アメフトの日本一を決める甲子園ボウルです。今年の対戦は法政大学オレンジVS関学ファイターズ。この2チームそれぞれに息子の高校時代のチームメイトがいます。息子は高校卒業でアメフトを辞めてしまいましたが、大学に進んでも競技を続けていた子たちがとうとう晴れの舞台に立つのです。高校の顧問の先生、嬉しいだろうな~と思いました。それで今回は、息子たちの高校時代の部活の取り組みについて、そこから日本語を教える時にも得られるヒントについて書いてみようと思います。

この学校のアメフト部は元々熱血タイプのA先生が顧問をやっていたのですが、その後、大学でアメフト選手として活躍した若手のB先生が中心的に指導を担当するようになりました。このB先生の指導に感心させられたのです。

①ITツールも利用した科学的指導
高校部活は根性、根性、ど根性!グランドで重いコンダラ引っ張らなきゃ(いや、思い込んだら。分かる人には分かる)先輩、先生には絶対服従、スマホ禁止で全員坊主でしょ?
なーんてことは全然ありません。
アメフトはスカウティングがとても重要なスポーツなので、それまでも相手校の分析のため、動画撮影をし、DVDを部員でシェアしていたのですが、コピーに大変手間がかかりました。それでB先生になってから動画共有もできるアプリを部で導入したのです。部員はスマホなど自分のデバイスで動画を確認したり戦術を研究したりできました。もちろん毎回1試合での平均獲得ヤードなど個人のスタッツも明らかにされました。経験と勘!じゃなくて科学的データと戦術。

②自主性を重んじる
アメフトはポジションによって動きが全く違います。(すごく不思議なのは、ボールを前に運ぶスポーツなのに、ボールを触っちゃいけないポジションもあるのです。)それでポジションごとにチームになって、そのチームリーダーが海外のYouTube動画などを参考にして練習メニューを決めていました。部のルール等もキャプテンを中心にみんなで話し合って決めていたようです。その中には期限までに目標体重に増やせなかったら坊主にする、みたいな決まりも。(息子は嫌々かなり長めの坊主にしてました。でもみんなで決めたことだから仕方がないと)

③先生は一人ひとりをちゃんと見て、声掛け
部員たちで練習を考え、ITツールも多用するので、先生は何もしないかというともちろんそんなことはありません。部員はみな試合後に自分のプレーについて振り返りシートを書くのですが、先生はそこに叱咤激励や温かい励ましなどを丁寧に手書きで書いてくださっていました。そう、当たり前と言えば当たり前ですがちゃんと一人一人を見て適切なアドバイスを与えているのです。盗み見をしていた私もどんなに励まされたことか。

本当によく考えられた指導でした。B先生は教育系の大学出身だからなんだな~と思います。でも、試合ではとてもとても熱く、不利な判定には猛抗議。客観的な冷静さと情熱の両方を持った先生でした。

さて、今回のタイトルは「高校部活から日本語教育を考える」です。
今ここに書いたこと、私のお仲間、日本語教師の皆さんどうでしょう?

①ITツールも利用した科学的指導
②自主性を重んじる
③先生は一人ひとりをちゃんと見て、声掛け

日本語のクラスでもできるじゃーん、って思いませんか?

そしてたまたま、さくましろうさんのTwitterでこれからの日本語教育のトレンドについて
・マルチコンピテンスの視点
・(学習者・教師)個人へのまなざし
・デジタルツールとのかかわり
・ファクト(科学)に基づいた行動
と書かれていて、2番目から4番目は重なるじゃーんって思ったのです。

日本の高校の部活だってこんなに進化しているのです。だから日本語教育も進化しなきゃ。

とりあえず甲子園ボウルでの2校の奮闘を見ながら、日本語教育のこれからも考えよっと。

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