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面接で挫折経験をどう見るか?


採用において「挫折経験」を重要視することに異論はないが、私が問題提起したいのは「挫折経験の評価手法」である。盲目的に採用基準で挫折経験を求めるのではなく、挫折経験の解像度を高めた上で面接することが重要なのではないだろうか?


今回は私がどのように挫折経験を整理しているかを共有させて下さい。これが正しい・絶対の正義だというつもりはありませんが、1つでも参考になる部分があれば嬉しい限りです。


挫折経験を整理する

挫折経験を面接で判断する上で私自身がフレームワークとして活用するのは下記の図です。挫折経験を確認するというよりは、ゾーンを確認するイメージです。

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コンフォートゾーン(安全領域)

コンフォートゾーンとは「快適な空間」を意味する語で、心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指します。

ラーニングゾーン(背伸び領域)
別名ストレッチゾーンなどと呼んだりするケースもありますが、ラーニングゾーンとは快適な空間を飛び出し、未知な領域へと挑戦している状態の事を指します。私はコンフォートゾーンを「個人が認識する限界領域」、ラーニングゾーンを「本当の限界領域」と定義したりします。

パニックゾーン(混乱領域)
パニックゾーンとは個人の許容範囲を完全に超えて、ストレスや負荷が強すぎる領域のことです。確かに圧倒的な成長領域ではあるものの、成長する前に自分自身が潰れてしまい挫折する可能性が高い領域。

デスゾーン(絶望領域)
デスゾーンとは個人の許容範囲を大幅に超えた状態。ストレスや負荷が強いとかではなく、ストレスと負荷しかない環境。この領域には挫折しかない。


なぜゾーンで確認するのか?
パニックゾーンやデスゾーンでも挫折しないメンタルお化けみたいな学生もいるから。そのため挫折したかどうかよりも、困難な環境に身を置く行動をしているかを判断する。



相手のエピソードを色で識別する

図のように小学生のころから遡って色で識別することは稀ですが、少なくとも高校までは色で識別します。色で識別して確認したいことは「困難な環境」の前後。

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困難な環境(前)の確認
困難な状況が「親から言われた」「たまたま厳しい部活だった」「たまたまキャプテンになった」などといった偶然から生まれたのか、自分が自ら求めて生まれた必然だったのかを確認します。

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困難な環境(後)の確認
パニック・デスゾーン後にどのような行動パターンになっているかを確認。相手の「考え方」よりも「行動」を先に見ます。その上で疑問に思ったことがあれば考え方をヒアリングする。

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活動の強度を確認する

挫折経験があるから良い、悪いではなく、活動の強度を確認することはとても重要です。A君のように強度が低い環境でパニックを起こす学生もいれば、C君のように強度が高くてもパニックを起こしにくい学生もいます。必然とA君は挫折経験がC君よりも豊富になるでしょうが、こういったケースをどのように評価するべきかの統一見解を社内で持つべきかと思います。

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C君は高い強度でも「コンフォートゾーン」でいられる人材のため、辛い・大変・苦しいに対する感度が鈍い可能性が高いと予測できる。


コンフォートゾーンは成長する

部活動などで「地獄のような練習」があり、1年生のころはパニックゾーン・デスゾーンだったのに、4年生になると「こんなもんか」と思う事がある。これは強度の高さが習慣化されたケース。当たり前の基準が高くなり、安定的に生産性を産み出すことが可能になっている。

そのため挫折経験ばかりに目を向けたり、困難な状況の確認だけでは相手を理解することが難しい。挫折経験後の「コンフォートゾーンの強度」についても確認してみると良いです。



人間の本質

困難な環境でこそ人間の本質が見えやすくなる。学生のコンフォートゾーン内でのエピソードよりも、ラーニング・パニック・デスゾーンでのエピソードをヒアリングするほうが相手を知る上では効果的である。

人間は一度パニックゾーンを経験すると、苦い記憶が脳に残り「もう2度とあんな経験をしたくない」と思うのが普通だ。だけど未来に強く実現したいと思える「なにか」と出会った学生は、自らパニックゾーンへと足を踏み入れていく。そしてどんなに困難な状況でも心が折れることなく、向き合い続ける人間もいれば、心が折れても何度も立ち上がり挑戦する人間だっている。

心が折れたかどうかではなく、困難と向き合う勇気・困難と向き合い続ける意思の強さも評価してあげてほしい。

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