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役員インタビュー vol.1社長兼CEO 中村達生さん

今回はついに中村社長にインタビュー。起業家になるまでの道のり、米国市場参入の難しさ、日本と米国の仕事スタイルの長所、そして2つの国を定期的に行き来しながらのワークライフバランスについて語ってもらいました!

三菱総合研究所に15年間勤務した後、2006年にVALUENEX(旧称創知)を設立されました。その経緯について教えてください。

私は三菱総合研究所(以下MRI)に1991年4月から2006年8月までの15年と4ヶ月勤務しました。その間、1994年4月から1997年10月までの3年6ヶ月は東京大学工学部の助手としても働いていました。

VALUENEX設立(当時の社名は創知)の動機はいくつかあります。まず、私が開発した可視化手法の応用範囲が非常に広いことに気づきました。ある有名な職務発明訴訟に関わった際、自分が密かに考案した可視化手法を適用したところ、予想外の展開を生み出し、別の訴訟でも活用されることになりました。

また、他者の事業を手伝うだけでなく、自分自身で事業を起こしたいという思いが強くなってきました。そして、MRIの外部の複数の方々からも、私の手法を事業化し、社会に貢献することを勧められました。当時は、土日祝日もほとんど取得できないような高残業環境だったため、働く環境を変えたいという思いもありました。また、MRIでの売り上げが、MRIブランドのおかげなのか、それとも自分の実力によるものなのかを知りたくなったことも理由の一つです。

起業してから4ヶ月後には、ウエルインベストメント、早稲田大学、三菱商事、NTTから出資をいただくことができ、翌年には経産省主催のベンチャービジネスモデルコンテストのIT部門で大賞を受賞しました。これをきっかけに多くのVC(ベンチャーキャピタル)から声をかけていただき、既存の投資家に加えて複数のVCからも投資を受け、資金面では順調なスタートを切ることができました。

起業直後には、自分がいかに未熟で世間知らずであったかを痛感しました。毎日が緊張の連続で、生き残るために資金調達、顧客開拓、サービス・システム構築の三つをバランスよく行う必要がありました。また、MRI時代の顧客には一切連絡を取らないという妙なプライドもありましたが、実際には以前の顧客の方から私にコンタクトを取ってきてくれました。オフィスの場所柄、乃木坂周辺のレストランの食事がとても美味しく、内神田の定食とは断然違いました。

1991年、MRI入社直後


設立から20年近く経ちますが、特に刺激的だった時期やチャレンジングだった時期はありますか?

設立からの20年近くの間で、特に刺激的でチャレンジングだった時期はいくつかあります。まず、右も左もわからないまま、日本発のアルゴリズムを世界に広げるために、アメリカでビジネスをスタートするのが一番だと考え、San Joseにあるインキュベーション施設に入居しました。日本とアメリカを出張として往復する日々が始まりましたが、日本の事業がまだ軌道に乗っていない中でのアメリカ進出に関係者は戸惑っていました。しかし、San Diegoで開催された展示会でお披露目した際には、多くの人たちから関心をいただき、手応えを感じました。とはいえ、2008年のリーマンショックが発生し、VCをはじめとする関係者たちから日本での足固めを優先するように諭され、米国市場の開拓は一年半で終了することになりました。

それから、2012年頃から再び米国市場に進出するために、出張ベースでの活動を開始しました。しかし、2008年とは異なり、私が日本に戻っている数年の間にBig Dataブームが起き、Data Visualizationが広く認知されていました。当社のコンセプトである、「大量の情報を俯瞰して知見を得る」というアイデアの最初の部分については、市場は驚かなくなっていました。そこで、何が差別化ポイントになるのかを探るために、さまざまな企業を訪問し、自分たちのツールとそのコンセプトを説明して回りました。その中で、UI/UXをグローバル仕様に変更した方が良いということと、精度の高さがVALUENEXの特筆すべき特徴であることに気づきました。特に俯瞰図上で空白を正しく表現し、潜在的なアイデアを見つけることができるという点です。そこで、Silicon ValleyのベンダーにUI/UXの改良を依頼し、精度の高いVisualizationを実現しました。米国人工知能学会(AAAI)やIPの国際コンファレンスであるIPBCで発表を行い、VALUENEXブランドの確立と俯瞰解析市場の醸成に成功しました。

そして、2020年の新型コロナウイルスの影響です。VALUENEXに限ったことではないのですが、お客様からのコンサルテーションサービスの発注が一時的に止まり、財務的に大きな影響を受けました。潜在的なニーズやお客様の関心が変わっていないことはわかっていましたが、1四半期分の売り上げがないことは、売上に大きな穴を空けてしまいました。幸い、コロナ禍が始まる半年前にリモートワーク(当時は在宅勤務と称していました)の体制と設備を整えていたため、ロックダウンが開始されても社内プロセスに問題はほとんどありませんでしたが、お客様のリモートワークの体制が整うまで、打ち合わせすらまともにできない日々が半年ほど続きました。

このように、それぞれの時期に直面した困難を乗り越え、成長してきたことを実感しています。


日本とカリフォルニアで「50/50の拠点」を構えながら、どのように仕事と生活のバランスをとっていますか?

仕事と生活のバランスを保つためには、まず体調管理が重要です。毎日の運動と睡眠を最優先事項としています。時差の解消にも効果的です。

また、世界中どこにいても同じ情報、同じプロセスを維持できる体制と仕組みを整えています。紙と印鑑を廃止することを大前提とし、2019年にはこの体制がほぼ完成しました。2020年のロックダウンを経て、世の中に認知され、大手を振って取り入れることができるようになりました。

人は慣れ親しんだ方法を変えることに抵抗する傾向があります。慣れ親しんだ期間が長ければ長いほど、さまざまな理由をつけて変化を拒みます。国が「働き方改革」を推奨したり、プレミアムフライデーを設定しても、多くの企業では改革の微風しか吹きませんでした。しかし、コロナ禍に入って1年もすると、以前は抵抗していた人たちが推進派に変わっていました。

こうして、体調管理と柔軟な仕事環境の両方を重視することで、仕事と生活のバランスを保っています。


米国のワークスタイルの特徴を日本で実践したい、あるいはその逆はありますか?

アメリカのワークスタイルで日本に導入したい点はいくつかあります。まず、タスクの切り替えの速度が非常に速いことです。会議において次のアクションを明確にし、そのアクションまでの期間が短いことも大きな特徴です。また、好奇心が非常に高い点も素晴らしいと感じています。世代の違いもあるかもしれませんが、みんながやっていることではなく、誰もやっていないことに価値を置く考え方は非常に新鮮です。

逆に、アメリカに導入したい日本のワークスタイルもあります。お客様への接客態度です。普段はフレンドリーでカジュアルな方が良い関係を築けることが多いですが、報告会や公式な場では丁寧な接客が効果的だと思います。また、身の回りの整理整頓やジャンクフードを摂らないという点も重要だと思います。

こうした異なるワークスタイルの良い点を取り入れることで、より良い仕事環境を作っていきたいと思っています。


2016年の10周年記念イベントは大成功でとても盛り上がりましたが、20周年記念のお祝いのアイデアはありますか?

2025年8月から20期目に入りますが、翌年の2026年8月1日には設立から20年を迎えます。20周年記念イベントは重要なお客様もお招きして、VALUENEXがさらに10年、20年先にどのように発展していくのかをさまざまな形でご理解いただける場にしたいと考えています。

具体的には、未来を描ける有識者との対談やエンターテイメント、演奏、マジック、歌などを予定しています。これを通じて、皆さんにVALUENEXのビジョンを共有し、楽しんでいただけるイベントにしたいと思っています。

VALUENEXの働き方にはどんな人が向いていると思いますか?

VALUENEXはリモートワークが中心であり、自由度が高いため、知的好奇心と向上心があり、自律的に活動でき、それでいて、チームワークを大切にすることが求められます。

高度な知識を有するお客様との信頼関係を築き上げるには、次の全部または複数の特質をもっていることが望ましいです。

*長期的な視点で物事を考えられる。
*利他の心と自制心を持っている。
*いつもにこやかにしている。
*普段はロジカルに物事を考えるが、ウエットな思考も大切にできる。
*井戸を掘った人を大切にする文化に共感できる。一方、既存の概念にとらわれない。
*人の話をしっかりと聞いて理解し、会話のラリーを建設的に展開できる。*相手の立場にたって、難しいことをより簡単に説明できる。
*どのような厳しい状況下においても、ユーモアを忘れない。

自分もこうありたいといつも思っています。

(執筆:PR部)

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