2023年の展望(CEO中村)
こんにちは!
2023年も引き続きVALUENEXはデータの力を使ってお客様の課題解決を支援して参りますが、今年初の投稿は弊社CEOの中村より今後の展望について語って頂きましたのでぜひご覧ください。
AIの台頭
アルビントフラーは、1993年に著した「パワーシフト」の中で政治、経済、日常のあらゆる場面で権力構造が変化し、21世紀を迎えることになると訴え、2006年の「富の未来」ではデータ、情報、知識への昇華が起き、仮想空間がもう一つの市場として機能し、人々が「生産消費経済」という概念の中でボランティア的に活動する機会が増えると予言していました。
2023年の初頭にあたり、引き続き情報爆発は勢いを失わず、各社が環境負荷を気にかける一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)への傾倒を進め、業務プロセスや日常のさまざまなシーンにAI (らしきもの)が入り込んでいることを勘案しますと、権力構造はITプラットフォーマーに、データはAI が活用し、我々は、そのアウトプットにしたがって動いているだけにすぎない存在になり下がってきている可能性があります。
気づきと直感
そもそもデータは網羅的ではありません。ダークデータと呼ばれる隠れた情報を炙り出し、背景にあるストーリーを読み取る必要がありますが、現在の学習型のAIでは実現が不可能です。AIは我々に気づきを与えてくれますが、直感力は発揮してくれないからです。
気づき(Insight)と直感(Intuition)は概念的には似ていますが、私の独断で違いを整理してみました(表1)。Insightはデータや情報にもとづいて発見することができます。可視化することによりさらに明確になります。したがって、自分の気づきを他人に説明することができます。一方、Intuitionは、その人が時間をかけて経験してきた数々の事象を踏まえて得られた結論であり、人により異なる直感に至ります。しかも本人も論理的に説明が不能な場合が多く、瞬発的に得られた考えであるため、人に説明することは困難です。ただし、人の第一印象と似ていて、直感は多くの場合は、正しい選択をもたらすことが、経験上知られています。
AIとの共生
残念なことに、AIが私たちの生活空間の中に入り込むと、この直感力が失われてゆくのではないかと危惧しています。文章編纂時にPCの漢字変換を使うことで、日本人の多くが漢字を手書きですらすらと書けなくなったのと状況は似ているのではないでしょうか。
現在のAIは、統計にもとづく過去のトレンドをみている学習型が大勢で、新しい事象は生み出すことはできません。知らない世界に踏み出すときには便利なツールですし、当該分野では当たり前とされることは出てきますが、新しいことや創造的なことを出すことはまだ実現されていません。いわゆる0to1ができません。もちろん、AIを使うことにより、ルーチンワークや調べ物など、人が苦手とする業務の効率は良くなるうえ、人に特有のエラーも排除できます。したがって、多くのちょっとした出来事にはおおいに役立つため、爆発的に普及する可能性を秘めています。
ビジネスにおいては、AIによる探索、翻訳、要約、訓練などの作業は、産業分野によらず適用できますが、創出、判断、決定は人が行う必要があります。前者は学習効果により、後者は経験や意思に関係しているからです。学習効果は、効率もからめて、気づきが影響しています。創出、判断や意思決定は直感力がものをいいます。意思決定がなされるAIは、技術的制約から当面は実現しないと考えられるため、AIは気づきを得るために限定利用し、意思決定は人の経験に照らした直感を大切にすることが肝要です。
2023年以降のサバイバル術
2023年は、引き続き変化が加速します。2022年の年初にもそのように述べましたが、指数関数的に変化しているため、変化率が昨年よりも大きくなっています。データから気づきを得て、直感力を働かせて、素早く意思決定を行う。これからの世の中の生き残り方となるでしょう。
VALUENEX株式会社 代表取締役社長CEO 中村 達生
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