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イギーという誇り高き犬

初見では「ヤバい動物」という印象だった。
犬という概念はそこにはなく、世間一般に言う犬とは全く違うからである。

品種はボストンテリア。
高い知性を持つ。
懐かないどころではなく、機嫌を損ねると人の顔に飛びついて髪の毛を噛み千切ってむしり取る。
そして掴んだ顔の前で放屁をするのが習慣。
好きな食べ物はコーヒー味のチューイングガム。

どうだろうか。
"犬"とは違う印象を受けるだろう。

そのイギーのスタンド、"ザ・フール"の特殊能力は砂を操る事。
砂で構成されているので物理的攻撃は受け付けない。
砂を利用してグライダーのように滑空する事も出来る。

人間には懐かない。
むしろ人間を舐めている。

そんなイギーだが、主人公達と旅を共にする中、成長こそしないものの本質がわかるようになる。
自分の意思ではなく、"たまたまマグレ"で5回程仲間を助けた事もある。

イギーに焦点が当たるのは物語終盤。
ペット・ショップというハヤブサの敵とのバトルから始まる。

イギーはニューヨークでトップの野良犬であった。
イギーに2匹の猛犬が近付くが、イギーの凄みで一蹴する。
その2匹の犬は、ハヤブサに興味を持ち、そのハヤブサがいる門に近付き殺されてしまう。
2匹の犬の飼い主がやってきた。
男の子だ。
男の子はその門にある飼い犬の首輪を見つけ、門の下をくぐろうとする。

その門には決して近付いてはいけない門である。
ラスボス(ディオ)の砦の門だから。
その番人がハヤブサ、ペット・ショップであった。

「自分はいい女と結婚して、なんのトラブルもなく平和に過ごしたかった」
「なのに主人公達に無理矢理連れてこられた」
「自分の意思でここに来たんじゃあない」

しかしイギーは、その門をくぐろうとする男の子を助けた。

「犬好きの子供を見殺しには出来ねえぜ」と。
初めて自分の意思でバトルを始めたのである。

イギーはその戦いで左前足の一部を欠損するが勝利する。
そこでまたイギーは戦いの理由を見つける。
「自分の前足を怪我させたディオを許せない」と。
その嗅覚で敵の居場所に気付き、倒す。

ついにヴァニラ・アイス戦。
仲間のポルナレフごと球体に後ろから食い殺されそうになったが、身を挺して仲間のアヴドゥルに助けられ、救われる。
ヴァニラはディオに自分の命を簡単に捧げた程に忠誠を尽くしている。

そのヴァニラのディオへの強い忠誠心を利用して、砂で作った偽物のディオを使って背後から不意打ちを狙うが「吸血鬼のディオ様は陽の光を浴びない」と見破られ、「ディオ様の姿を破壊させた」事に激昂したヴァニラ。

イギーはヴァニラから一方的に蹴りを複数回喰らい、肺に骨が突き刺さるほどの重傷を負う。
しかしイギーの砂のスタンドで空中に砂が舞った事が、ポルナレフが球体の軌道を読むヒントとなり、致命傷とまではいかないまでもヴァニラに大ダメージを負わせるきっかけとなった。

瀕死の状態にありながら、球体に飲み込まれそうになったポルナレフを、最期の力を振り絞りスタンドを使って、ポルナレフを天井に砂で貼り付けて助けた。
ポルナレフとイギーの間柄は決していいものではなく、むしろ1番悪い意味で絡み合っていた。
イギーは最期、笑みを浮かべながら力尽きた。

ヴァニラを撃破した後、アヴドゥルとイギーの魂が、天に昇っていくかのような舞う砂となって窓から散った。

これがイギーである。
あれだけ人間を舐め切っていて、仲間とも思っていなかったであろう主人公達を、最終的には命をかけて助けた。
アツいヤツだったのである。

気になる方はぜひアニメやマンガで観てほしい。

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