販売モデル『九式』開発秘話
はじめに
オッス!!オラVain!!
オリジナル3Dロボットモデル二足歩行重突撃戦車『九式』及び改修を施した『九式改』がひとまずの開発を終えたので開発秘話を書き綴っていきたい。今後販売モデルを作成される方や創作活動をされる方のヒントになってくれれば幸いである。あとなかなか長文になるのでお暇なときにでも読んでね。
開発の発端
事の起こりはVRChatで主に活動している皆さんご存じ悪役結社ヴァリアール主催のイベント「ヴァリアールフェスティバル」を訪れた時から始まった。
悪の組織としては同業他社だし何名かのヴァリアール所属の怪人の方々とも時々お話したりするので応援の意味と偵察も兼ねて乗り込み、たまたま出会ったRP組織「PMC パラソル」の方々と一緒に各ブースを楽しく回っていたところ、あるものを見て大総統に電流が走る――
そう、ヴァリアール所属の怪人の一人
『ウサガエルス』くんである
正確には彼本人ではなく彼のフィギュアなのだが、どんな見た目か超ざっくり説明すると彼はロボットにウサ耳を生やしたカエルちゃんがちょこんと乗っている怪人である!!いやマジで控えめに言ってもかわいい。
彼を見て大総統は思わず思いました
「俺様もバンピーでトロットな専用機がほ゛し゛い゛!!!!!」
これが最初期案『総統専用マッスィーン』開発に至り、巡り巡って量産型重戦車『九式』に繋がるのである。いや巡りすぎだろ。
開発の経緯
最初期案『総統専用マッスィーン』はさっくりと2.3日で完成を迎えた。残念ながら当時の資料が残っていないので文面で見た目を説明すると半分に切ったジープに手足をくっつけただけである。う~ん大正ロマン。腕もクリップ方式。大正時代にジープないけど出来るだけ古臭い見た目&ポンコツ感を出したかったのでこれでよかったのだ。
しかしここで大総統の悪癖が始まり、完成したモデルに色々と武装を付け始めてしまったのである。これが悪夢の始まりとも知らずに…
武器を付けよう!!→なんかしっくりこないから武器腕にしちゃおう!!
脚も強そうにしよう!!→素敵(すてき)性能欲しいから獣脚にしようぜ!!
ジープは流石に似合わなくなってきた!!→んじゃ戦車を載せよう(狂気)
そんなこんなで出来上がったのがコレである。
原型ないなった
ちなみに胴体にデンッと乗っている棺桶みたいなのはドイツ帝国が第一次世界大戦時に開発した「A7V」戦車というドマイナーなポンコツ戦車である。ついで言うと武器腕の機関銃も「マキシム機関銃」というこれまた戦時に活躍したものがモチーフである。改めて見るとすっげぇデブだな
しかしもうこの時点で販売モデルにしようという方針転換と人様に売っても恥ずかしくないデザインにしなきゃという使命感があったためここから地獄のデザイン変更が続いた。
こちらはもっと悪役っぽい頭部にしようとした通称ボバ・ヘッド。(友人になんか俗っぽいなとダメ出しされたのでボツ)
やっぱ戦車はねぇわと思い直し胴体と頭部を作り直した製作途中の機体。この辺りでおおまかなデザインは『九式』の形を成してきている。しかしそこから何度もデザイン変更は続けられていく…
最も悩んだのが頭部のデザインで、ボバから始まりモノアイタイプやカメラアイタイプだったり約4種類のデザインが考案されたが、全部しっくりこなくてボツになってしまった。もっとシンプルにかつ恐ろし気な頭部を…
唐突にあるタイプの頭部を試していないことに気が付いた。実は既に作っていたのだがかなり初期の話だったしとっくに削除してしまっていた
バケツ頭である
正式には「グレートヘルム」と呼ばれるものだが、モンハンではネタにされダクソでは太陽万歳に用いられアーマードコアでは何故かゲイヴンにされてしまったあのバケツ頭である。しかしシンプルながらも威圧感たっぷりの説得力は確かなモノなので作ってみると……ベストマッチ!!
/ デェェェェェェェン \
という経緯で完成したのが『九式』である。次はもっと上手くやろう(決意)
開発後のごたごた
無事に販売も開始した矢先、購入者から一通のDMが
「フルトラッキングにしたら地面に埋まる」という報告である。膝まで埋まるとかいうレベルではなく前代未聞なレベルで埋まる不具合をしょっぱなからかましてしまったのである。(さながらZガンダムのウェイブライダー形態みたいになってしまった九式を見て思わず絶句)
実のところフルトラ適正は事前にチェックをしていたのだがいくつか思い違いがあり不具合に気付かなかったのだ。不具合の修正に際しフルトラ適正サービス「るふとの試着屋さん」には大いに助けていただき無事に原因が掴めた。至極単純な話
腕ボーンが長すぎた
VRCにおいてフルトラの基準となるのは両手(ボーン)を伸ばした長さ=身長の公式が基準となっており、腕が長いぶん地面に埋まり腕が短いぶん地面から浮くのである。『九式』の不幸なところはあまりに腕が長すぎたので地面に埋まるにしても誰も見たことない埋まり方だったためにモデラーの方々に聞いても原因がハッキリしなかったのである。
実はこの公式自体は昔から口酸っぱく言われているのでそれを念頭に置いて腕を短く作ったつもりでいたのも原因の一つである。慢心、ダメ絶対
結果的に身長を伸ばす大改修を経て『九式改』がリリースとなり今に至る。
最後に
たった一つの3Dモデルを作るのにこれだけ二転三転したモデラ―がかつていただろうか。多分結構いるとは思うけどここまで書いて皆に伝えたいのは、下絵の重要さである。人によってはモデリング作業より下絵のイメージの出力に時間がかかってしまうだろう。でも大総統みたいにノリと勢いで作ると大体地獄なので設計図はしっかりと用意しておきたいもんである。
どーしても設計図無しで作りながら考えてしまうという大総統みたいな人は全体のバランスを何度も見直すことが重要である。そしてテーマやコンセプトをしっかりと定め、モデルがそれに準じているかも確認してほしい。
『九式』の開発は難航に難航を極めたが、学んだことが多かったぶん大収穫である。むしろ初めての販売モデル製作にしてはよく頑張ったと褒めてやりたい。片頭痛起こしながら作った甲斐があった。
今後も素敵な兵器たちを作っていく予定を立てているので『九式』がそれらの礎として存在していけるように技術を研鑽していくこととしよう。
『九式改』はBoothにて絶賛発売中!!この機会に覗いてみてね↓(*´ω`)↓
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