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【335日目】:コペルニクス的転回

ご隠居からのメール:【コペルニクス的転回】

コペルニクス的転回とは、旧来の天動説に対するコペルニクスの地動説のような180度の発想の大転換をいう。ニワトリが先か、タマゴが先か、という問いに対してニワトリが先だと主張していたのに、突然、タマゴが先だと言い出すようなものである。

心が先か、体が先か。従弟のトオルさんは、心が先だと言っていた。Mind creates everything.(すべての現象はこころがつくる)。私も三つ子の魂百まで、と思いたい。

ところが、「個性」は心ではなく、体に宿る、と解剖学者の養老孟司先生は言う。心は脳の中にあるタツノオトシゴのような形の海馬にある神経細胞の発火現象だと脳生理学者や脳神経学者は言う。

では、「個性」を体に宿らせるように厄介なな設計図をつくったのは誰だ。神経細胞の発火現象で心の伝達ができるようにこまごまと複雑なDNA進化の設計をしたのは誰だ。私はもう一度、コペルニクス的転回が起こるのをひそかに期待している。

この老いさらばえて、ウイルスの餌食になり、今にも朽ち果てそうな体のどこに「個性」があるというのか。


返信:【Re_コペルニクス的転回】

先週の金曜の夜から、土日と酒を飲み、週があけて再び平日断酒がはじまった。すると、今朝の目覚めが明らかに違う。睡眠の質があがったのだろう。昨年くらいから本能的にはじめた酒の量を減らすという取り組み。「ファミリーヒストリー」を通じて、酒をコントロールするコツを覚えたのはありがたい。

これは大きな変化だ。あのまま、毎日浴びるように酒をのみつづけていたら、身体がボロボロになり、下手したら嫁や子供に愛想をつかされ見捨てられていたかもしれない。45歳にして見える世界が変わっている。

コロナ前までは、金や権力に取りつかれていた。会社で梯子を外されたことを恨み、不平不満を重ねる毎日であったが、「ファミリーヒストリー」を通じて「足るを知る」ことができた。いまだに、金への欲望は残るが、以前ほどでもない。正義を明らかにすれば、お金は後からついてくると思っている。

自ら家事を手伝う姿勢も大きく変化した。これは、貴美子お祖母ちゃんの手紙がキッカケだ。あのときあの手紙に出会わなければ、じぶんは再び大切な人を失うところだった。七難八苦はあるが、夫婦の関係も徐々に回復してきている。

じぶんにとっては、これがコペルニクス的転回かもしれない。



ファミリヒストリーの研究は、だいぶ核心をついてきた。やはり、後醍醐ごだいご天皇が、隠岐の島に流されたところがターニングポイントだった。

足利尊氏たかうじは鎌倉幕府倒幕の意思を、おなじ源氏の血筋である佐々木道誉どうよに打ち明けると、後醍醐ごだいご天皇の命を守ることと足利一族の反乱に手出しをするなと願い出た。

すると、佐々木道誉どうよは、島を警護する者と内通して後醍醐ごだいご天皇に隠岐島脱出の意思を促した。

隠岐島の守護は、佐々木(隠岐)清高きよたかで、平安時代末期の源平合戦に参戦した佐々木4兄弟の腹違いの弟。敵対する平氏大将・大庭景親かげちかの娘と結婚した佐々木義清よしきよの子孫となる。

なので、隠岐島を警護する者は、ふつうに考えて、佐々木(隠岐)清高きよたか配下の者だが、遠戚の佐々木道誉どうよであれば、手引きの者を潜り込ませることは可能だったのだろう。

さらに、出雲国を領地としている同族の佐々木(塩冶えんや)氏に援助を依頼しにいった。塩冶氏は、佐々木(隠岐)清高きよたか一族の枝分かれが塩冶えんや氏と称していた。

すなわち、佐々木道誉どうよは、同じ佐々木一族とはいえ、血筋の縁戚関係にある塩冶えんや氏に、従兄弟の隠岐おき氏を裏切れと謀をしたことになる。

そして、後醍醐天皇が小舟に乗り脱出に成功すると、伯耆国の名和港に到着した。そのとき、地頭である名和長年なわながとしに保護を頼み、船上山に籠城することになるのだが、名和長年なわながとしは、挙兵するにあたり、近隣の武士たちに声をかけたといわれている。

そう、近隣の武士には、長谷部信豊のぶとよさんはじめ、長谷部一族がふくまれていたのだ。

佐々木(隠岐)清高きよたかは、後醍醐天皇の監視と幽閉を鎌倉幕府から命じられているわけだから、後醍醐天皇を奪還する必要がある。兵をあげ船上山に攻め込んだ。すると、塩冶えんや氏が後醍醐ごだいご天皇側に寝返り、佐々木(隠岐)清高きよたかは敗戦、自害したのだ。

以前、長谷部信連のぶつらが流された鳥取県日南市の日野下榎へ旅行に行ったとき近隣の金持神社へ参拝をしたが、そこには、名和氏が祀られていた。金持氏は名和氏と共に戦ったのだ。

そう考えると、やはり、伯耆に残された長谷部氏は、そのまま金持氏の庇護をうけ、長谷部氏と金持氏は同族だったと考えてよいのだろう。


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