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【198日目】天保銭

ご隠居からのメール:【 天保銭】

「理想の家族がどのようなものか」という問題意識をクリエイターである作者は持っていたほうがよいと思う。書いているうちに答は見つからないかもしれないが、考える姿勢が大切だ。

江戸末期の「ふゆの家族」と令和の「長女の家族」を比較して考えるのも面白いね。 ふゆさんには実家から分家して貰った財産があり、長女には自分で稼いだ預金がある。つまり、いつの時代にも、動産、不動産を持っている女性は強い立場にある。逆に考えると、夫婦はそれぞれに自分が自由に処分できる財産を持っており、パートナーはそれを認めなければならない。

サザエさんはフグ田家の一人娘だから当然サイフを握っており、マスオくんを尻にしいている。

長谷部氏でいうと、曾祖母のいしさんが亡くなったとき、おびただしい量の天保銭などの古銭が発見されたという。昭和二十七年だから古銭の換金価値はゼロに近いが、昔はいしさんが「どえりゃぁ財産」を持っていた証拠かもしれない。

それに対して、祖母の津弥さんは古銭などは持っていなかったが、戦死した息子がいたので遺族年金の受給者だった。そのおかげで、孫たちはおこぼれにあずかったはずだが、オレは中途半端な年齢だったので、あまり恩恵に浴していない。

義母は金を持たせて貰えず、小遣い銭はもっぱら妹の和子叔母さんからの送金に頼っていた。父が死んでから、やっと家計の管理権を握ることができたが、それまでは金に不自由していた。

岡村はるさんも、オレが競馬に負けてスッカラカンになって、貸してくれと頼んだとき、金を持っていなかった。昔の老人は年金が貰えないから貧乏だ。でも、たぶん潔叔父さんに頼んでくれたらしく、二万円送金してくれた。親切で、やさしく、すぐ涙ぐむようなおばあさんだった。

以上から、理想の家族は主婦がある程度の動産・不動産を持っている家族といえるが、財産だけではない。「穏やかで器量よし」という特質が望まれる。


>>碧南市にある岡村家の墓には、素さん、はるさんの墓があるのかな。

ーーそれは、合祀されているかもしれないが、遺骨は納められているはずだ。


>>潔さんはご存命なのかな。

ーー三十年ほど前、六十代前半で亡くなられた。死因はガン。


返信:【Re_天保銭】

いしさんが亡くなったとき、おびただしい量の天保銭などの古銭が発見されたという話は、面白いね。調べると、天保通貨は明治24年に通用停止になっている。昭和27年に亡くなるときまで持っていたのは、何故だろう。

高祖父の友次郎さんは、お酒好きの優しいイメージだけど、お金には、疎かったのかな。それとも、いしさんが、へそくりをコツコツ貯めたのか。明治24年というといしさんが、19歳のとき。若い頃におびただしいお金を稼ぎ、そのまま使わなかったと考えると、何か理由がありそうだが、ふゆ物語を想像するヒントになりそうだね。

義母さんは、相当苦労したようだね。與一さんの人をマネジメントするチカラというか、自我を押し付ける能力が異様に高いのだろう。

自分の息子をみていると、思い込んだときの集中力は半端ないし、口論になったときの理屈は、めちゃくちゃだが、「売り言葉に買い言葉」というか、絶対に負けないという、プライドが見受けられる。自分をみているようで恥ずかしくなるときもあるが、自分は、もっと弱さをみせて、人に頼れるようになればよいと言われることが度々ある。人前では突っ張ってるのだろう。

「理想の家族がどのようなものか」という問いに、子供への期待というか、願いというものもあるだろう。自分の場合は、普通の生活を送るという期待でさえも早々に諦めてもらうことになったが、大人になって逆転できた。


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