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イヤイヤ園のチェゲバラ

自分は割と幼少期に思い、感じていたことをハッキリと覚えているタイプである。



保育園時代のわたしは、園の方針や先生たちに全く従順でなく、かと言って実際に反抗する訳でなく一応みんなに混じっているので、行動しないチェゲバラのようだった。

遊具やおもちゃで遊ぶこと、お母さんごっこにはウンザリで、園の敷地内にある小さな森の中にいるのが大好きだった。


それって本当にそう?こっちの方が断然楽しいよね、と思わずはみ出ちゃってみんなと違うことをしてしまい、園長先生に叱られることもあったけど、だいたいはみんなに紛れ、保育園のルーティンに流され続ける毎日だった。

先生たちって親の前だとコロッと態度が変わるよね!マーチングの練習は軍隊みたいでイヤ!と、批判的でまったく可愛げのない子供であったと自負している、笑。



お昼寝の時間も、スヤスヤと天使の寝顔の園児達とそれを見て癒される先生たち、を薄目で見ながら、っつかぜんっぜん眠たくないよ〜あんなかわいい顔で寝たフリもできないしよ〜(涙)とお昼の時間は永遠に終わらない『時の間』に投獄されている時間のように感じていた。

『ね〜、もうこれ本当に何の時間?』と交感神経バリバリ、目もギラギラのまま、先生たちの『はい、みなさん起きましょ〜!おやつの時間ですよ〜。』の合図まで、タヌキ寝入り。

やっと地獄のお昼寝から解放されるのに、さっと立って布団を畳めばいいものを、え?もう?まだ寝てたかったのに〜みたいなフリをするところまできっちりとタヌキの皮を被っていた、笑。



そんな、行動しないチェゲバラが、一度だけタヌキの皮を脱いでベレー帽を被り行動に出た時があった。


『はい、明日は予防接種がありま〜す!おうちの人に必ず問診票を書いてもらって来てください。』


え!注射!?
あの、チクッって痛すぎる注射??
しかも、予防なんでしょ?
なんで全員しないといけないの?おかしくない?
絶対にそれはおかしい!しなくて良い!!
と、何かストンと腹に落ちて、保育園にお迎えにきたお母さんと近所のお母さん達が子供達の帰り支度を待っている間に、ミッション開始!
園の裏側に行き問診票を丸めて溝に捨て放ったのだ。

やった!ついにやってやった!!
ゲバラのベレー帽脱いで、タヌキの皮を被り直しふわふわしたお母さん達のピンクの輪に合流し、帰宅。

台所から母の声がする



母『Anri〜!問診票どこ?』 


なぜ母上は予防接種があることを知っておるのだ!!


Anri『えーっ、風で飛ばされちゃった。』


母『ウソつきなさい!』


敢えなく、ゲバラは翌日また『イヤイヤ園』に勾留され、右腕に注射を撃たれてしまったのだった。



そう言えば昔『いやいやえん』という幼児向けの本があったね。
内容はあまり覚えていない。
友達が好きだった本。あのコ元気にしてるかな?



作: 中川 李枝子 絵: 大村 百合子 出版社: 福音館書店 発行日: 1962年12月




集団行動と、そのためのルールと、そのルールの中にもっともらしく隠れている、それ本当かなあっていうモヤっとしたもの。
そのモヤっとしたものを、子供の頃よりも感じにくくなってしまったなぁ。


内なるゲバラにたまにはベレー帽被ってもらって、愛とか優しさとか盛り込みながら、ナチュラルな内なる自分感覚をもっと豊かに取り戻していきたいな。




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