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EURO VOLLEY 2019 観戦記録12~表彰式

喜びを体いっぱいに表現する選手たち。
もうどこを見ていいのか
どこを見るべきなのか分からなくて、
自分の気持ちもどこにあるのか、
どこに持って行けばいいのか
それも分からずただただ、
焦ってしまいました。

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セルビアの優勝の瞬間を見たら
もっと、喜びに溢れて
王者の世界に入り込めると思っていたのに
現実は何かが違う…?

優勝を味わう余裕がないのか
どうしても目の前の状況に
追いつけない自分…
そのときはそこにある壁が
何かわからずにいました。

選手やスタッフのハグを見続けていると、
セレモニー用の舞台設営開始。
会場の隅っこに集まったセルビアチームは
観客に声援を送り、
そのままアタナシエビッチの掛け声から
コバチ監督の胴上げが始まりました。

選手にいじられるように持ち上げられ
満面の笑みを浮かべるコバチさんを見ていると
私の中に喜びの感情が
ようやくじわじわと込み上げてきます。
こんな風に監督と選手が
一緒に喜べるチームになるなんて…。
この今の時代のセルビアチームには
これがピタッとはまり
今まで形を成しえなかった「チーム」が
完成したと言っても過言ではありません。
2013年から見続けてきて
こんなに笑顔溢れる
輝くチームを見たのは初めて。
改めて、コバチさんに感謝の思いが
溢れてきました。

設置が終わり照明が落とされると
ユーロバレーのオフィシャルソング
Let’s Go Togetherを歌っている
Eva Pavli の登場。
多国籍の観客に合わせ
英語での掛け声のあと熱唱。

その隙に私は舞台正面に移動し、
選手の登場に備えました。

表彰式…まずはMVPの発表。
呼ばれたのはコバチェビッチ。
そっか、そうだよね…
決定力、存在感はセルビア内で
文句なしのナンバーワン。
でも、密かにアタナシエビッチの受賞を
期待していた身としては、
ここだけの話、若干寂しい気持ちにも
なってしまい…
だって、予選の試合でコバチェビッチは
一時、決定率一桁ってこともあったんだから!
…なんて(笑)。
でも、最終的にセルビアを優勝に導く
大きな力を与えたのは彼。
それがこの世界でいう
「強さ」なのだと納得するのでした。

続いては銀メダル授与。

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重い足取りのスロヴェニアに
一人一人贈られていきます。

選手の表情に反し、観客は
彼らを讃える温かい拍手。
そんなサポーターに救われたか、
最後の記念撮影には、
少し表情を取り戻したようにも見えました。

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そして、登場したセルビアチーム。
金メダルを授与され
表彰台に一人ずつ昇っていきます。

念願の金メダルを手にした選手たち…

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続いて国歌の演奏と共に国旗掲揚。

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セルビア国歌「正義の神」を聞きながら
一番高く上がるセルビアの国旗を見上げます。
過去2回現地で見た表彰式では
どちらもロシア優勝で
ロシア国歌を悔しく聞いていました。
いつかここでセルビア国歌が聴けることを
夢見てきて、ついにそれが叶った瞬間!
待ち望んでいた光景が
今、まさに目の前にありました。

全ての行程を終えたらみんなで撮影

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正面に回ったおかげで
最高の笑顔をガッツリ見納めることができました。

そして、これまた夢だった
金銀紙吹雪に埋もれる選手たち…

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これもまた私の中で
いつか見たい!と思っていた景色の一つで、
キラキラの中の選手たちの姿をしっかり、
見届けることができました。

こんなにも思い続けて
ようやく目にした優勝の景色。
だけど、、、
悲しいかな、なぜか心は遠いままでした。

それは今大会をネット観戦し、
現地応援しなかったことで
馴染めずに感じる心の距離なのか、
それとも、単純に
この広い会場の距離なのか。

ふと隣を見ると、国旗を手に
喜び合うセルビア人グループの姿。
それを見た時に、この空虚な心の理由が
分かった気がしました。

私はセルビア人じゃない…

それはあまりにもわかり切ったことでした。
そんなことを前提に
どこへでも追いかけてきたはずなのに
ここへ来て、これが
大きな壁になることを
全く想像していませんでした。

同じ国に生まれ、同じ言葉を話し、
同じ歴史を共有してきた彼らには
先祖から続く強い強い絆があるのです。

国を背負ったチームが優勝するということは
そういう背景も含めて
「応援する」という気持ちがある…。

私のようなミーハーな
セルビアバレー面白い!では
踏み込めない世界がここにありました。

私は部外者。

それがこの距離を感じさせる
大きな理由でした。

もしこれが日本チームだったら、
おめでとう!!と近づいて
お祝いの言葉を口にする行為に
違和感はなかったと思います。

遠く日本を離れたパリで、
たとえチームと何のつながりがなくても、
選手のことを知らなくても
同じ国を生まれ故郷とするものとして、
目に見えない強い絆から無条件に
祝福する気持ちが芽生えていたと思います。

どんなに強い思いで応援し続けていても
超えられない世界がある…
まさか優勝を見に来て
こんな感情を抱くとは全く思っていませんでした。

目の前の景色を別世界のように感じながら
最後まで会場で彼らを見届けました。

今まで見て来たものと
なんら変わらない世界大会。
だけど笑っている選手たちがどこか
遠くに感じるのでした。


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13へつづく…




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