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TOUR 2022【30】~あとがき

2022年12月8日(木)、3週間の旅を終え無事に成田空港へ到着しました。

出発前に心配していた2年9か月のブランクも、終わってみれば大きな影響を及ぼすまでには至らず、程よい起爆剤となって旅を盛り上げてくれたように思います。とはいえ、最初の訪問地トレントでは、自分の会いたかった選手2人が練習に不参加で見れなかったり、ポーランドに渡る際には怒涛のトラブルに見舞われたり、これまでにないほどの不運の連続で、呪われているんじゃないか!?と、旅を決行したことを後悔したのも正直なところでした。しかし、直後の観戦がなにもかも覆してくれ、一瞬で幸福の絶頂に。旅を盛り上げるための演出にしてはかなりハードでしたが、結果、大きな感動となりより思い出深い旅になったように思います。

2年9か月のブランクで、旅をするのに体力はなくなってしまいましたが、その中で何を優先すべきかを考えるようになり、よりシンプルに楽しめるようになりました。衰えていた英語力も、もともとあるとは言えないほどでしたが、気が付けば、文法や前置詞など細かいことを気にせずに、とにかく思いついたまま発するようになり、なんとか相手がくみ取ってくれることでコミュニケーションが取れました。コロナ前は文法や形の正確さにこだわることが多かった分、言いたいことが言えずにいましたが、このブランクで基本さえも分からなくなり、開き直れたのが逆に良かったのかもしれません。これまでの旅以上に人とのコミュニケーションが重要な旅だったので、そうならざるを得なかったのかもしれませんが、思いの外これはいい影響でした。

コロナ禍を経て交通が不便になりましたが、その状況を把握できれば大きな混乱はありませんでした。不便になった一方で、イタリア鉄道のチケットがネットで買えるようになったり、スマホひとつでチェックイン・アウトが完了できるようになったり、便利になった部分も多くあり、慣れれば以前よりスムーズに旅ができました。
旅の勘はさすがにすぐには戻りませんでしたが、日を重ねていくうちに、だんだんと戻ってきたように思います。イタリア到着直後、預入荷物受け取りのターンテーブルを間違えたり、列車のホームを確認せず間違った場所に追ってしまったり、はじめは散々でしたが、それも笑って過ごせるレベルだったので問題はありませんでした。

心配していたブランクの中で一番大きな不安要素だったのが、友人との距離感でした。連絡を取り合ってはいても、いざ行ってみたら忘れられていたり、私が思っているほどに相手は再会を望んでいなかったりするのでは…という不安がありました。しかし行ってみて驚いたのは、想像以上の歓迎。素敵なプレゼントに食事会、自宅への招待…。少ししか会えなかった友人は次に来るときはご飯に行こう!と言ってくれたり、今度はうちに泊まって!と言ってくれたり。2年半のブランク…コロナ禍を乗り越えた友情は、予想外にもより強い絆で結ばれたように感じました。
コロナ禍で疎遠になった友人もいます。コロナとは関係なく自然消滅した交友もたくさんあります。でも、それはたまたま縁がなかっただけで仕方のなかったことなのだと思います。その代わり今繋がっている関係こそ、自分に必要なホンモノの友情だと感じました。きっと、旅をしなければそれに気づくことなく、日本で孤独に暮らしていたはず…。友人との絆は思い出と共に私に信頼という強い力を与えてくれました。

旅に出る前、勤務先で大きなトラブルが起こり、勤務環境が一転しました。それによって増大した仕事量に伴いストレスも増え、口を開けば愚痴ばかりの日々でした。そんな自分が本当に嫌でした。周囲に腹を割って話せる友人も少なく、行動制限が緩和されたとはいえ、県外の友人とは頻繁に会うことができず、仕事の多忙さ故、連絡を取ることさえも億劫になっていました。このままではダメだ…と、何かを変えなくては…そう思いながらも行動に移すことができずにいた時、いろんな偶然が重なって、長期のお休みをもらえることになりました。

タイミングよくバレー旅を再開できる機会に恵まれたことは、本当に幸せでした。強く願えば叶う…という言葉を信じていたわけではありませんが、思えば、無謀だと思いながらも強く願い始めたころから、いろんなことが変わり始めたように思います。
バレー観戦旅という目標が私を前に向かせてくれ、そして実際に現地を訪れ目標が現実になったとき、全てが変わったのを感じました。ネガティブ思考は一転し、ねたみ、憎しみなどブラックな感情が削ぎ落され、まっさらな気持ちでまっすぐに物事を見られる心を取り戻したように思います。自分が自分らしくいられるバレー会場で、ここにいる自分が一番好きだと改めて確信。2年9か月ぶりに会場でみることができた試合は、忘れていた感情を取り戻すにはあまりにも刺激的で、今でも鮮明に覚えています。キラキラと輝く選手のオーラ、まばゆいばかりのパフォーマンス。勝利の歓喜に満ち溢れた輝き。これがその後のエネルギーとなって今もなお、私を息づかせています。

人は仕事やお金があれば生きていけます。でも私が私らしく生きるためには、「バレーと旅」が必要だと改めて感じた旅でした。
自分らしく生きるために…「Volley and Travel」。私の生きる糧です。

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